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翅脈

朝の陽に透ける、立ち枯れた紫陽花。痩せた翅脈にも見えるそれは、うっとりと目を細める生き物のよう。
でも、そんなふうに思う時、きまって私の中では、
「これは紫陽花だよね。生き物なんておかしいよ」
と、常識的な声が響いてくる。

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長く生きていると、それまでの経験が学びになることが多い分、感性が既存の枠にガッチリと嵌められてしまい、そこから外れることをためらう気持ちが大きくなる。

ただこのごろは、敢えて逆らってみよう、自分の中から生まれる声に素直にしたがってみよう、と。

痩せた翅脈はゆっくりと、かすかにうなずくように揺れた。


神社仏閣をとりまく鎮守の森を守りたいと思っています。 いただいたサポートはその保護への願いをお伝えし、参拝の際、奉納させていただきます。