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転校生の腹筋と、腹筋シール。

なぜ、割れた腹筋はあんなにエロく感じるのだろう。
ドラえもん体型の私の場合、それは私には手に入らない「スポーツ少年のシンボル」だからエロく感じるのだと思う。

運動神経が悪くスポーツを諦め、生まれてから万年デブの私。さらに太りやすい体質。腹筋が見えたことがない。人生を振り返ると、私が痩せていた時期は、1匹のセミが地上で過ごす期間よりも短かった。だから、割れた腹筋は、性的な対象であると同時に、「憎しみの対象」でもあった。

小学生高学年にもなると、周りで腹筋が割れた子が現れてくる。

小学校の時、好きな男がいた。転校生のリョウ君。彼は背が低く、かなり痩せてガリガリとからかわれていた。勉強はできないけど運動神経抜群ボーイ。笑顔が眩しい猿顔、小さくつぶらな瞳。

そしてそんな彼も、「腹筋」は割れていた。

私は、その体に、どうしようもないほど欲情した。
肩も細く、腕も細く、ドラえもん体型の力士のような私の1発の「ツッパリ」で、遠くまで突き飛ばせそうな細い体だった。

性の目覚めがめちゃくちゃ早かった私は、その体に少年の魅力を見出し、崇拝の対象として崇めた。

これが「偶像崇拝」のきっかけだった。


その信仰のエネルギーを供給してくれたのは、体育の授業。運動着のまっ白な半袖は、ぴっちりとしたサイズ。どんな体をしているのだろうと想像を膨らませてくれる。そして水泳。あらわになったリョウ君の腹筋に水が滴り、唇が紫になり、ブルブルと震えているのを、今でも覚えている。


腹筋への執着は、その出会いを境に勢いを増し、止まらなかった。


小学校卒業後、リョウくんと離れてからも、性欲で頭がおかしくなった中学生の私。中学生の性欲をみくびってはいけない。

ある日、「ミュージックステーション」でジャニーズ少年たちが裸で水に濡れながら歌っているというシーンを目撃した。当時、ネットもなかなか使えない時代だったので、オカズが手に入らない時代。

中学生が手に入る中で、最高の画像だったのだ。

これを何かに残したい、という謎の欲望が湧いてきた。しかし2010年当時、そんな手段は「録画」以外でなかなかない。そこで、私は自宅にあったプリンターを活用した。

この話の結末は、奇妙すぎてほぼ信じてもらえたことがない。

皆さん、私が何をしたと思いますか?

正解は、

地元のホームセンターで、「プリンタで印刷できるプリクラシール」を購入し、番組のジャニーズの腹筋画像を別途用意して、それを印刷して「腹筋プリクラシール」を作っていた

でした。



このシンボルを何かの形で、私のものにしたいという欲望が、私を暴走させた。

もはや、偶像崇拝だった。


私は日々ノートに書いていた日記に、その腹筋プリクラシールを貼った。

それをすることで、どうしようもない腹筋への欲望と憎しみを、独りで落ち着けていた。


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