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私とあなたの黒歴史は、博物館だ。

人間は、誰でも「黒歴史」をつくってしまう生き物。28歳の私も高校時代、黒歴史が詰まったオタク日記をネット上で書いていた。
「リア充爆発しろwww」「このアニメ、ネ申」「(´·ω·`)ショボーン」
こういう、懐かしい「死語」と呼ばれるネットスラングを使い、黒光りしている、私の黒歴史日記。顔から火が出るほど恥ずかしい。

しかし私と、あなたの黒歴史は、インターネットに開設された貴重な博物館のような存在になるーーー。

昨年の年末。
私は実家に帰省し、大掃除のために粛々と私物を整理した。高校時代のものを処分していた。ふと、なんだか心がざわつく。「これよりも、何かもっと処分しなきゃいけないモノがあった気がする」とモヤモヤした。ああ、やばい。思い出した。


突然、高校時代に「モバゲー」でぶりっ子丸出しの恥ずかしオタ日記を大量生産していたことを思い出した!!!!!!!!!!!!!!



当時、私はニコニコ動画が好きなアニメ・マンガオタク。そして友人たち向けに、モバゲーの日記でマンガやアニメの感想を超全力ハイテンションで書きまくった。しかし28歳になり、だいぶ落ち着いた丁寧な生活をしている今では、誰にも絶対、見られたくない。

大掃除で真っ先に処分しなければならないのが、あの日記だ。

慌てて、およそ10年ぶりにiPhoneでログイン。
2010年ごろの自分のモバゲー日記を開いてみた。まず、懐かしすぎるネットスラングの多さに唖然とした。


・笑いを表す「wwwwww」
・神のように素晴らしいことを示す「ネ申」
・顔文字「( ^ω^ )」「(о´∀`о)」「(´·ω·`)ショボーン」
・自分の発言に対するツッコミとして使う矢印「←」
・挙げ句の果てに、文章の語尾が「だぬ」(これは意味不明)

ハイテンションすぎて痛すぎる。目をそらしたくなる。

「今日は調理実習だぬ」

ってなんだ、ぶりっ子すんな!!!!!!!!!!!!!

これらの技を組み合わせてみると、以下の通りだ。


リア充爆破しろwwww やっぱりアニメイトはネ申 はあ、今日はテストだぬ (´·ω·`)ショボーン でも僕、天才なんで キリッ←


 
さてみなさん、この全力の「合わせ技」はいかがだろうか?


とにかく恥ずかしい。私たちは当時なぜ、こんな文章を書いてしまったのか!
もうさっさとこんなもの消してしまおう!恥ずかしさで震える手で「退会」のボタンを必死で探した。しかしふと気づいたことがあって、踏みとどまった。

ーーーーーーそれは、この日記には「仲間同士で分かり合える言葉でつながりたい」という、今と全く変わらない思いがこめられていた、ということだ。

たしかに文章の書き方は今と全然違う。しかし、面白いアニメや素晴らしいマンガや萌えをちゃんと「言葉」にして仲間に伝えたい、そして丁寧に「記録」として残したい、という思いは、今も昔も実は変わっていなかった。

結局、消さずに今も残すことにした。

みなさんも、黒歴史と呼ばれる文章を日記やブログで書いたことはありますか?


きっと何かしら書いちゃっている。
ポエムとか日記とか。そして今、きっとこの文章を読んで、当時のアメーバブログやホームページを探して、削除しようとするかもしれません。でも、削除する前にちょっと待ってください。その日記やブログは、貴重な歴史を残した「博物館」になるかもしれません。

インターネットに散りばめた黒歴史は、インターネットの「博物館」なんじゃないか。

インターネットの歴史は短く、その流行は猛スピードで入れ替わるので、歴史の一部を切り取った文章というだけで、実は貴重だからだ。なぜなら、皆が「黒歴史」をとにかく削除したがるから。消せずに残ってしまった黒歴史は、ただ残っているというだけでちょっと貴重な存在だ。

さらに、最近では「レトロブーム」や「バブル文化の再ブーム」など、少し前の時代の文化が流行ることが多い。数年前、数十年前の流行語や文化が知りたい、と次世代の若者が思った時に、もしかしたら私のモバゲー黒歴史日記や、あなたが書いたあのアメーバブログが、もしかすると「博物館」の役割を果たすかもしれない。

インターネット上のネットスラングは猛スピードで入れ替わる。

つい数年前に使っていたネットスラングがいつのまにか「ダサい」「痛い」「古い」と言われる。今書いているこの文章や、Twitterで書いているあの文章も、「草」とか「ぴえん」とかの文化も、黒歴史になるかも、と思う。でも、黒歴史は言葉とともに残していって、生きた証を残してほしい。  

そして、どんどん新しい文化が生まれていって、言葉と黒歴史の力で、インターネットの歴史をどんどん彩ってほしい。

黒歴史じゃなくて、博物館。だから、あなたのあの恥ずかしいブログも日記も、生きた証。できれば消さないでほしい。

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