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地方起業して4年経った元リクが転職エージェントを15個くらい使って転職した話

お世話になっております。表題の件、いくつかの要素で、誰かの参考になるのではないかと思い、書かせて頂きたいと思います。

転職にまつわる、いくつかの噂や疑問

私は、2021年春で35歳(年度で36歳)の男性です。大学を卒業し、リクルートで9年3か月、地元の福井県小浜市で起業して3年10か月のところで転職活動を行いました。友人に相談したり、ネットで情報収集する中で、何が正解なの?と感じる噂がたくさんありましたので、自分のデータを共有して、1つの解を出してみたいと思います。

1、「転職応募の書類通過率は15%ぐらいだから、15~30社応募した方が良い」or「2~3社で決まるから、そんな大変なことしなくていい」
2、地方のキャリアってどう見られる?起業経験ってどう見られる?
3、35歳で未経験の業種に転職ってどうとられる?
4、転職サイトの求人条件って本当?
5、結局どのサイトやエージェント使えばいいの?

これらの疑問に対して、【①時系列で振り返り】【②定量データで振り返り】【③疑問に対する回答】という流れで書いていきたいと思います。
最後に【刺さったアドバイスやフィードバック】についても共有したいと思います。

時系列で振り返る

2021年3月下旬に、コロナ禍や成長感などのモヤモヤから、次の更新タイミングの業務委託契約から随時終了し、自社事業の規模を縮小して、キャリアを変更することを決めました。

4月上旬、まずはリクルートエージェントとツイッターで知ったエージェントの2社に登録し、WEB面談をお願いしました。35歳ですが人生で1回も転職経験がなく、退社後すぐに起業したため、転職の流れがわからなかったので、まずは流れやお作法を聞きました。そこでリクルートに言われたのが「転職の書類通過率は平均で15%だから、15~20社は応募した方が良い」というもの。(後日、友人から、そんなにいらんと言われる。)また別のエージェントから、「転職面接のリードタイムは約3か月ぐらいなので、現在応募しているのは6月入社か7月入社くらい。(僕は9月1日か10月1日予定だったので、)少し早いですね。まずは書類(履歴書・職務経歴書)を書いてもらって、添削しますよ」と言われました。

4月中旬、書類づくり。転職のイメージがわかないので、カジュアル面談(0次面接のような感じ)で受けてもらえるところがあれば、という形でお願いして2社と面談をさせて頂きました。1社は面談後辞退、1社は不採用となりました。

4月下旬、いよいよちゃんと時間をとろうということで、書類を仕上げました。元々起業の際に、経歴を説明する必要があったため、履歴書と職務経歴書のリクルート時代のものは作っていました。それに起業後の経験を追加し、整理して完成しました。ここで、転職に関する話が各個人の経験に基づく話しかないし、エージェントでも言ってることが違うなと感じたため、「35歳でおそらくエージェントを使った転職のラストチャンスに近い年齢だから、とことん情報をとって、納得する形でやろう」と決めました。

5月初旬、ここから怒涛のスケジュールが始まります。登録したサイトは、全部で8つ。【ヘッドハンティング/スカウト系サイト】①ビズリーチ②キャリアカーバー、【転職エージェントサイト】③リクルートエージェント④DODA⑤リクナビNEXT⑥JACリクルートメント⑦type⑧アマテラス、さらにスカウトをくれたエージェントにはほぼ全て対応し、延べ21社のエージェントと話しました。ちなみに、転職には結局活用されませんでしたがSNS系のLinkedin、YOUTRUST、CORAL CAREERにも登録しました。

5月中旬、約2週間で20コマのエージェント面談を終え、面接がスタートします。当初考えていた志望先はこういうものでした。

①「テクノロジーやイノベーションを使って事業をしている会社」
②「またはスタートアップ界隈に対して業界知識や人脈ができる事業会社」
③「CXO(候補)など裁量権を多く持ってビジネスの経験を積める会社」
④「リクルート時代の最高年収は1000万、最終年収は800万。スタートアップやベンチャーに行きたいので、最初から金額は望まないが、それぐらいを目指せるポジションや期待がある会社にいきたい」
⑤「偶然の学びや刺激がほしいから、東京か関西」

自身の事業や生活で感じていたことは、『起業を約4年やってきて、事業や信頼関係も安定してきたものの、学びや刺激は自ら調べて取りに行くしかなく、コロナ禍で更に遠ざかってしまった。このままでは井の中の蛙で終わってしまい、最終的に助けられる人数が減ってしまう。最新技術や投資マネーが集まる業界に行って、そのノウハウを学んで、より大きな人数を助けられるスキルや仲間を得たい。』というものだったので、上記の5つを軸にしていました。

5月下旬~6月上旬、それぞれのエージェントから提案された企業や、転職サイトのエントリーも併せて、延べ60社に応募をしました。その書類通過率や、結果については、データで振り返るパートにて共有します。
その中で、自分の志望軸が変化していったので書いておきます。
なくなったこと①「CXO(候補)などの裁量権」…自らのスキルが足りないから未経験の業種でスキルやノウハウが得たいという動機に対して、CXO候補で上がってくる企業は、過去の「営業」の経験や「地方創生」の経験の延長線上のものが多くなり、これでは学びたいことが学べないと感じ、スタートアップ業界での経験を優先し、裁量権は捨てました。実績を積んで、自ら勝ち取ればよいと判断しました。
なくなったこと②「関西」…転職活動が進むなかで、コロナの制限がどんどんとキツくなり、1月に結婚した東京に出向中の奥さんとも3か月以上会わない生活が続きました。スキルアップを目的に、どこでも行くつもりでしたが、コロナの移動制限は長く続きそうだぞ、と感じ東京に絞ることに決めました。スタートアップ業界の情報はやはり東京に集まっているらしいので、良かったと思っています。

6月中旬、この頃には、行きたい会社そうでない会社がわかるようになってきて、最終面接まで行くまでに絞って4社、内定が2社、オファーを受けて承諾が1社となり、9月からの所属先が決まりました。最後の方は、『僕が望んだ条件は4社全部が満たしてる。35歳の転職でこんなに良い会社たちに出会えると思っていなかった。こんな悩むことになるとは思わなかった。どうしよう。』といった感覚で、悩みに悩んで、周りにも相談して、行き先を決めました。未経験の業界・職種にも関わらず、オファーの金額も想定以上で、さらに今後の期待値まで語ってもらい、泣きそうになるほど嬉しかったです。「他者に認めてもらった」「自分を仲間に入れてくれた」と感じて、痺れる経験というのは、なかなか出来ないです。

最後まで残った企業たちは、35歳での初転職や、地方起業というある種「ビジネスの第一線を離れて潜った」と思われるような経歴や、一人起業で組織貢献に戻れるのか、などの不安材料がある中で、想いや価値観、スタンスを見ようとしてくれる姿勢に、面接毎に感動していました。

逆に辞退させて頂いた/不合格となった企業は、「今のスキル」に集中した面接となり、主にリクルートの経験ばかりを聞かれる面接が多かったです。即戦力を求める中で、定量化/相対化しづらい地方の経験というのは、判断が難しいのだろうなと思いました。しかし「スキル」の寄せ集めでは、良い組織にならないということも感じていて、ビジョンや価値観、工夫の度合い、他者との関わり方などを大事にしてくれるところが、どんどん志望度が上がっていったという印象の転職活動になりました。

一つ感じるのは、一次面接から「責任者」「リーダー」が出てくると組織イメージが湧きやすく『自組織にマッチするか?』という会話になり盛り上がりやすい、対して人事部の若手社員などが出てくると「他部署への申し送りのためのアンケート尋問」のような印象も面接になり志望度が下がりやすいと感じました。大手で人数が多くなると難しいですね。でも自分の組織では、採用は事業担当者が出ていく、という事を徹底したいと感じました。

データで振り返る

次はデータで振り返ります。

書類通過率(1次面接に通過できる数)

・大手サイト(≒リスト形式応募)経由(リクルートエージェント、DODAなど5社)…17.5%(7社/40社)

・ヘッドハンター/スカウト経由(ビズリーチ等⇒小規模エージェント)…55.6%(10社/18社)

リスト形式応募の各社別書類通過率
大手、中小の表現は分析には最適でなく感じたため、「リスト形式応募」という書き方をしたいと思います。
リスト形式応募とは、マイページ上に推薦された企業リストの中から自ら応募する企業を選び、書類選考結果を待つものです。リストに表示される企業数は約10から200以上もある場合もあります。リストを自ら精査して選ぶ手間も発生しますが、転職期間中の「果たして受かるだろうか?」という不安を行動によって消してくれる効果(しかし、不合格続きで自信を喪失する効果もトレードオフでついてくる)や、200も企業があり選んでいく過程で自分の大事にする軸は何なのかを確認する効果もあります。

・リクルートエージェント…11.8%(2/17)
・DODA(パーソルキャリア)…25.0%(1/4
・type…25.0%(1/4)
・フォースタートアップス…27.3%(3/11)
・ワークポート…0%(0/4)

ヘッドハンティング/スカウトサイトのエージェントの当たりハズレ率
こう見ると、ヘッドハンティング/スカウトサイトの個別エージェントの方が書類通過率高くて、時間も使わず効率的やん!と思うかもしれません。
しかし、一つ抜けている視点が、スカウトが来るエージェントの当たりハズレ率です。そもそも、このエージェントは信頼できるか、ちゃんと話を聞いてくれるか、紹介企業が事前に説明した志望動機と合っているかなどの、別の判断軸が存在してきます。

・利用したスカウト率…50.0%(7社/14社)
うちビズリーチ…62.5%(5社/8社)
・うちキャリアカーバー…33.3%(2社/6社)

最終面接,内定から見る
最終的に迷った4社は、キャリアカーバー経由3社とビズリーチ経由1社でした。また、リスト形式応募の企業も、2社がヘッドハンティング/スカウトサイト経由のため、個人的な感想をまとめると「ビズリーチ」「キャリアカーバー」への書類アップロードや細かな応答が最も有効であると感じました。
スカウトには約50%で当たりハズレがあるという気持ちで、気軽に面談を行い気になった企業だけ応募することが良いと感じます。

疑問に答える

以上の時系列や、データから、冒頭の5つの疑問に対して、答えていきたいと思います。(あくまで自分の経験からです)

1、「転職応募の書類通過率は15%ぐらいだから、15~30社応募した方が良い」or「2~3社で決まるから、そんな大変なことしなくていい」
⇒リスト形式応募の企業が15%程度のことも事実だし、スカウト形式の個別エージェントは2~3社でフィットした企業を提案してくれることも事実のため、両方ウソではないことがわかりました。

2、地方のキャリアってどう見られる?起業経験ってどう見られる?
⇒地方のキャリアは、定量化/相対化しづらいと感じました。例えばリクルートで四半期MVPとなれば数百人のうちの1位という相対価値が想像しやすいですが、地方で150%伸ばしましたといっても凄いかどうかがわかりづらいです。地方のキャリアを語るには、自らデータや定量化を活用してわかりやすく伝えたり、定性的な学び(例、人材育成でやる気のない人を教育して変えた、のような普遍的なエピソード)を用意した方が良いと感じます。
また、起業経験は、特に少人数企業(1人~数人)だと、大きな組織の中で指示を聞いてフィットするかどうかを懸念されます。懸念点も踏まえた、自分のキャリアチェンジの意思を語れるようにした方が良いと感じました。

3、35歳で未経験の業種に転職ってどうとられる?
⇒まず業界によって、未経験を求めてくれるかどうかは全く違いました。大手(エンタープライズ)に対する提案経験や、専門的な経験を求められ、不合格となる場合も多々ありました。逆に、約2~3割の企業は、今までしてきた経験を深く聞いてくださり、自社の事業に転用できそうか想像しながら会話してくれる企業もありました。「成長していて、慢性的に人材が不足している業界」には、チャンスが残っていると感じました。

4、転職サイトの求人条件って本当?
⇒おそらく本当ですが、高年収条件は倍率が非常に高く、結局は自分のスキルや過去経験に見合った年収ゾーンに落ち着くことが多いです。過去年収はオファーの1つの基準となるため、新卒で大手に入って名前や実績を溜めておくというのは、1つの正解と言わざるを得ないかもしれません。

5、結局どのサイトやエージェント使えばいいの?
⇒まずデータから見ると、「ビズリーチ」「キャリアカーバー」で書類をしっかり整えて、スカウトを待つというのが良いと感じます。
そして、行きたい業界や企業が決まっているのであれば、「自社ホームページからの応募」が優先順位が高いです。エージェント経由だと、決定年収の30~35%の費用がかかってしまうので、迷った人材だと、費用のかからない自社応募を優先する場合もあるみたいです。
最後に大手ですが、「リクルートエージェント」か「DODA」どちらかは使っておいても良いかもしれません。それは数多くの求人を見て判断することで、志望軸が整理されたり、気持ちの安心の理由が大きいです。もちろん良い企業に出会える可能性も十分にあると思います。

最後に、中でも、とっても良かったエージェントをいくつか紹介します。

1、JACリクルートメント
…大手ながら、営業担当の両面エージェント制(求職者も企業も同じ担当が対応する)を採用していて、フォローが素晴らしく大変お世話になりました。
2、ブライエッジ、プロトスター、ヒューマンシップ
…スカウトで声をかけていただいて、良い企業を紹介していただき、良い印象を受けたエージェントです。
3、フォースタートアップス
…とても良い感触を持っていたのですが、営業担当の離職と交代により急激にフォローが減ってしまい、ポテンシャルは感じた企業でした。

刺さったアドバイスやフィードバック

最後に、刺さったアドバイスやフィードバックを列記して終わります。

・ビジネスSaaSは、企業の課題解決にはなっているが、社会の課題解決になっているものは少なくなった印象。VCも、再現性のあるビジネスSaaSに投資しており、悪循環。社会の課題解決になっているものは、報酬が安いし、上がりにくい。
⇒マーケットを見た冷静な分析を聞けて、大変参考になりました。

・大手に入っても、上司による。人材コンサルに入っても、その会社が人材を輩出しているかというと疑問。裁量の大きい会社で、当事者として困難を乗り越える経験が一番役立つし、語れる。
⇒納得感がありました。

・リクルート的な文化が正しくないかもしれない環境に身を置いて、幅を知る。
⇒幅を知るの大事だと感じました。

・スタートアップは労務環境が悪い。シード、シリーズABCとステージによって違う。どこにチャレンジしたいかイメージした方がいい。
⇒知らない世界で、こういう情報を生々しく得られることが価値だと感じました。

・dely堀江さんやYouTuberもそうだが、20代が「あいつがやれているなら、自分もやれる」と思えた。勇気を持たせる隣人が大事。社会を変えるには、隣のスターにならないといけない。
⇒隣のスターを目指したいと思いました。

・この20~30年で一番伸びた業界はケータイキャリア。孫さんの経営能力も凄いけど、「伸びる産業に乗った・選んだ」ということが一番凄い。
⇒伸びる業界選び、大事。

・ソーシャルゲームはモバゲーやGREEの時代に、5年で1兆円の市場になった。その5年間でエンジニア・デザイナーの平均年収が1年毎に100万円ずつ上がった。
⇒成長業界にいること、大事。

・Facebook Japanは2013年350人の体制から、現在60人になっている。大手になり利益を目指すと、システム化・AI化・省人化になる。Googleも個人の管理画面に、「次はこの人にこのトーク内容で話せば一番成果が出る」というサジェストがでる。待遇はめちゃめちゃいいが、創意工夫の余地が個人に少ない。
⇒今、求めることは大手の安定ではないかも。

・学生起業CEOは危うい話も多く聞く。大人の意見を受け入れる体制があるかどうかチェックした方がいい。
⇒そんな、あるある知らなかった。

さいごに

誰かの参考になれば幸いです。

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