自転車に乗れ(6):バカ締めをするな
よく来たな、お久しぶりです。SUMIYUだ、です。
なんか前回のこのコラムからずいぶん間が空いてしまったことを神々にお詫びしたい。
その間はおれは同人原稿行為により膝に矢を受けていたのであまり自転車にのっていない。
まぁ俺の話はどうでもいい。
前回までのコラムで自転車の素材とか車種とかそういうことを書いたので、お前たちは興奮して福沢諭吉をポッケットに突っ込んで自転車屋さんに走り、休みの日に乗り回しては爽やかな風を感じたり、金属片を踏んづけてタイヤを破裂させたりしているはずだ。そういう前提でいく。
今日のテーマは「バカ締め」だ。
俺の予想ではそろそろお前たちはバカ締めの害にむしばまれているころあいだ。
バカ締めはいたるところに存在する。
お前たちの家族もバカ締めかもしれないし、ご近所の善良な老夫婦もたぶんバカ締め。同級生のアイツも、嫌味な上司も、お隣の色っぽい人妻も、パチンコとパスタがねえと生きていけねえ大親友も、駅前を歩いている見知らぬ通行人も… 実に国民の7割がバカ締めだ(要出典)。
さて、バカ締めとは、ボルト(足の速い外人じゃないよ)を過剰な力で締め付けてしまうことだ。自転車のみならず我々の生活のあらゆるところに存在するボルトには、各々適正な締め付け具合が存在する。
だがよくわかっていない人がとりあえず目いっぱいギュウギュウ締めてしまう。これがバカ締めだ。これは非常に危険ん!
バカ締めするとボルトが壊れ、パーツが壊れ、自転車が壊れ、心が壊れ、家庭内の口論が絶えず、地域の治安が低下し、経済不況を招き、町は失業者であふれ、国家は衰退し、紛争が泥沼化し、最寄りのコンビニにプリウスが突っ込んだりしてしまう。我々人類は必ずやこの破滅への道筋を避けなければならない。
そのために、まずボルトというものがどうやって止まっているのかを考えなければならない。
レンチでボルトを締めていき、ボルトが頭まで埋まり、そのあとグッと締め上げると、ボルトの鉄が伸びる。すると伸びた鉄は元に戻ろう(縮もう)とするので、その縮む力によって、固定されるのだ。
だが、そのあともグイグイ締めると鉄が伸び切ってしまい、そうすると縮む力が発生しなくなるので逆に緩むようになってしまう。
(※つまりステンレスボルトは鉄より伸びないので、もともとこの能力が低い)
また、ボルトは大丈夫な場合でも、単純に過剰な締め付けによって、締められている方のパーツが歪んだり割れてしまうこともある。過剰な締め付けの力は必ずどこかに影響を及ぼすのだ。
自転車に使われているボルトは、六角の4mm~6mmくらいのが多い。この辺りのサイズのボルトは成人の力でグイグイ締めるとやりすぎになりがちなので気をつけろ。バカ締めすればハンドルバーが歪んだり、シートピラーが歪んだり、カーボン製だとふつうに割れる。
だいたいボルトのサイズというのは、締め付けすべき力(トルクという)のだいたいの目安でもあるので、小さいボルトを渾身の力で締めるやつは愚かだ。だが、自分が今まで愚かだったからといって恥じることはない。バカ締めでぶっこわすのは大体みんな一度はやる。おなじ愚かを繰り返さなければよいのだ。
あと、自転車のハンドルとかは力いっぱい回すとちょっと動くぐらいの強さで固定しておいた方が良い。なぜかというと、転倒したときにハンドルがガチガチに固定されていると衝撃エネルギーが逃げずどっかのパーツが折れたりする可能性があるからだ。ハンドルが曲がってくれればそれを戻すだけで済む。
自転車のメキシコを生き抜くにはそういうトルクのコントロールが重要なのだ。
今日はすごいためになる話だった。
バカ締めは、ダメ。
では次回の更新をお楽しみに。
金くれ