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B'zの『ペインキラー』について-共依存の行き着く先は

こんばんは🌱
本日はB'zの「ペインキラー」という曲の歌詞について考えていきます。突然ですが、皆さんはB'zに、そしてボーカルの稲葉さんにどんな印象をお持ちでしょうか。力強い応援ソングやハードロックらしい暴れ狂うような歌詞が多いと思われている方いらっしゃるかもしれないですね。わたしは稲葉さんが書かれる、人間味に溢れた歌詞がとても好きです。弱いところを隠さず、嫉妬や後悔を気にしながら生きているような姿が所々に見えて、あの大スターもわたしと同じ人間なんだなあと思えます。

曲について

B'zからは数年に一度の頻度でメンヘラソングがリリースされるのですが(代表格はLOVE PHANTOM)、久しぶりにこの世に放たれたメンヘラソングがこのペインキラーなのです。54枚目のシングル「STARS」に収録されていて、このシングルの中で最も早く沼に落ちたのがこの曲でした。他の3曲は何度も聴いているうちにどんどん好きになっていったのですが、この曲は歌詞カードを見ながら一度聴いただけで「うわあああああ!好き!!!」となりました(語彙力はどこへやら)。ライブで聴けるといいなーと思っていましたが演奏はされませんでした。まあデビュー35周年のお祝いのような雰囲気のライブでこの新入りメンヘラソングが歌われるとちょっと場違いな感じもあるので、そこまで落ち込みはしませんでした。ちなみにそのライブでの一曲目はB'zのメンヘラソング代表格でした。こちらは問題ないのです。だって代表格ですから。しかしながらこの曲もメンヘラという一言では片付けられない名曲であるため、考察していきます。


1番

こちらが1番の歌詞です。ペインキラーは痛み止めという意味です。ワタシはアナタの痛み止めとはどういう意味でしょうか。私でもわたしでもなく「ワタシ」と書くことで語り手の傲慢な部分が見え隠れするようですね。ワタシは「アナタ」が笑う姿を見ると怒りや悔しさが沸き起こってくる、という意味の「震え」だとわたしは読み取りました。相手が幸せそうにしているのを見てネガティブになるのはどんな関係性でしょうか。
感情の動きによって自分が生きていることを実感できるんだから惨めなんかじゃないわよ。何だか強がっているように見えますね。自分や周囲に言い聞かせることで、アナタの隣に堂々といられない立場であることの哀しさが余計に伝わってきます。
もっとワタシにハマってほしい。この思いが通じることはないけれど、ワタシだけを愛してくれる可能性を無意識のうちに願ってしまう。わたしはこの二人が不倫関係にあると仮定しました。

2番

次に2番です。「フィラー」というのは、建築や建設の現場で壁や凹凸を埋めるのに使う部材だそうです。なんで専門用語までご存知なんですか。歌詞を書かれる方や小説を書かれる方の知識量には何度も驚かされます(わたしが無知であることもありますが)。
ワタシはアナタの心のヒビを埋める存在。ワタシはアナタのマイナスをゼロにすることはできますが、ゼロをプラスにする存在は他にいらっしゃるのでしょうね。「期限付きの魔法」とは会っている間だけアナタを幸せにするという意味でしょうか。魔法はいつか解けてしまうので、会っていない時間はアナタの中にワタシはいないのでしょう。「アナタから漏れ出る歌」が何を意味するか、まだよく理解できていません。思いついたらまた追記しようと思います。
1番のサビでは「もっと」ハマってほしい、でしたが2番は「今は」になっています。いつか魔法は解けてしまうけど、ワタシと一緒にいる時だけでもどっぷりハマってほしいということですかね。不倫相手なんていない方がいいに決まっている。ワタシにとってもアナタがいない方が楽なんだ。そんなこと分かっているし、そう思わされる瞬間は何度もあるけれど、時間が経つとその思いが薄れてしまう。くらいにはワタシはアナタにハマっているんですね。

Cメロ

二人が一緒に夕暮れを見ている場面が思い浮かびます。ワタシがアナタといられる時間は短いから、一緒に美しい風景を見ているこの状況はワタシにとって美しい思い出である。でもアナタの人生を構成するものはワタシ以外にもたくさんあるから、とある日の夕暮れなんて別に心に残っていない。愛する人と同じ風景を共有できるとは限らないという表現がより切なさに拍車をかけていますね。

ラストサビ

ワタシに見せられない一面があってもいいし、ワタシの存在を誰にも話せなくてもいい。色んなことを妥協してでもワタシはアナタと共に居たいようです。ラスト2行の歌詞は特に震えました。「ワタシ無しではダメになって欲しい」ワタシ無しでは生きていけない体になってほしい。薬に依存するような感覚でワタシを求めて欲しいということだと思います。「いつか傷だらけで抱きしめ合えたらね」アナタを愛する過程でワタシは傷ついていると思うので、ワタシはすでに傷だらけだと思うんです。だから、アナタも生きていくうえで傷だらけになったらワタシ(痛み止め)を求めてね。お互いの傷を舐め合って一緒に生きていこうね。ということだと解釈しました。

歌詞を読んでみて

わたしと違う解釈はもちろんたくさんあると思いますが、歌詞を読んだ印象としては「こわいよお…」というものが多いのではないでしょうか。でも愛する人・物に対する人間の執着心が素直に歌われていて、美しい歌詞だなとわたしは思います。B'zのいわゆる「メンヘラソング」は他にもたくさんあります。前向きな曲ももちろん好きですが、そればかりだと自分が苦しい時に「前を向けない自分はダメな存在なんだ」と思ってしまいます。そんな時に稲葉さんが書かれた、人間臭いドロドロした歌詞を読むと自分の気持ちをスッと認められるんです。そしてとことん引きこもりきったらまた前を向いて歩き出すというループ。これだからB'zファンを辞められないのです。辞めるつもりもないですが。
そして松本さんが作曲されたメロディーがまたとんでもなくかっこいいのですよ。わたしはギターのことも音楽理論も何も分かりませんが間奏のギターソロは、ワタシがギリギリのところでメンタルを保っているような、ヒリヒリした感じが伝わってきます。まあそのメンタルもラストのサビで全部崩壊しているのですが。

わたしの小話


そしてそして、この曲、CDではBarry Sparksさんがベースを、Shane Gaalaasさんがドラムを担当されているのですが、B'zファンはこのお名前を聞くと「うおおおおおおおお!!」となる方が多いと思います(語彙力はどこへやらpart2)。お二人はB'zデビュー30周年ライブまで長年にわたってサポートメンバーとして活動されていたので、CDとはいえど、久しぶりにお二人の演奏が聴けてテンションが上がりました。ちなみに30周年ライブでBarryさんから直接サインを頂ける企画があり、そちらに参加したのもいい思い出です。拙い英語とハイテンションで「あなたの演奏とってもかっこよくて大好き!会えてうれしい!ライブ楽しみにしてます!!」と伝えたところ「おおおおありがとね!」という、若干わたしのテンションに引いたご様子でサインを手渡してくださいました。顔小さくてかっこよかったです。もちろんサインは大事に保管しておりますよ。またお二人がサポートメンバーとして演奏されるB'zのライブがあるといいなあと思います。

まとめ

なんだかわたしの話が長くなってしまいましたね。しかも前投稿に引き続いて不倫関係の歌を考察してしまいました。偶然です。今の自分の状況と重なるとかそういうことではありませんよ。むしろそこまで誰かを愛せることが羨ましいくらいです(でも語り手がしんどそうなので不倫関係への憧れは皆無です)。次は不倫関係じゃないものについて考察したいな。

最後まで読んでくださってありがとうございました。明日もいい日になりますように🌛