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哀れなるものたち

ここ数ヶ月、深く沈み込んでいた。

どうして世の中は、こんなに私を強くさせるのだろうか。

そう思った。

私が素朴に疑問だったのは、もっと私は誰かに甘え、穏やかで心の振り幅のない人生を送りたかったはずなのに、なぜこんなに本質に迫られるのかということだった。

かすかな甘えさえ、許されない状態だった。

泣きながら理不尽を叫んだ。

叫んでも叫んでも、自分が「弱者である」と馬鹿にされた気がした。

自分でも自分に自信が持てなかった。

人からは、「そんな君は強いね」と言われた。

そのたびに「強くなんかなりたくない。安心できる誰かの腕枕と心の拠り所を下さい」と思った。

また、ある人は私に言った。

「確信を持って、その辛い道を行きなさい」と。

その時、私は「こんなに辛いのに、この辛さに確信を持つなんて、無理に決まってる」と思った。

そんなことを言うのは、無責任だと感じた。

私がこんなに辛いのは、人のせいなのに、その人たちを恨まず、この辛さに確信を持て、だなんてなぜそんな酷なことを言えるのか疑問だった。

しかし、今日、全てのパズルのピースが揃った。

「哀れなるものたち」をみた。

主人公のベラは、私だった。

他人に人生の主導権を何度も握られ、尊敬は消え、思考すら阻止されて。

しかし、それでも、何度も何度も彼女は自分の力で立ち上がった。

傷つくより前に、自分を信じた。

ベラを見ていて、もう人を赦そうと思った。

現実的に許せないことは沢山ある。

しかし、相手がどうであれ、私はこの苦しみから手を引く。

なぜなら今、私は強く自分の尊厳をもって、自分の人生を生きているから。

哀れだねと笑って石を投げつけてくる人もいる。

でも、その人たちも、それなりに元気にやっていて欲しいと思う。

私は、もう誰のことも恨まない。

あの、「確信を持って、その辛い道を行きなさい」と言った人に、今なら感謝できる。

私はもう、その確信をとっくに持っていたのだ。

これからも自分の力で立ち、高らかに笑い、誇りと共に生きていく。

(おしまい)


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