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「ルオトロチン」 裸でやる袖車絞 クリエイティブと温故知新

ONEグラップリング戦線はルオトロ兄弟とマイキームスメシさんの独壇場というか漁場となっていて、ONEグラップリング戦線を見るというよりかはルオトロ兄弟とマイキームスメシさんを見る場だと思います。新しいジャンルを定着させるにはアイコンが必要ですが、良くも悪くもONEのそれは分かりやす過ぎて、一歩引いたところで見てしまうのもまた事実です。「グラップリング」を見るのであれば、アメリカの大会やADCC界隈を見るだろうが(僕でも見ていない)、そんな奇特な層は一握りしかいないので、ONEグラップリングの感じはグラップリング全体を見たときには良いと僕は思います。まあそれはそれとして。

ルオトロ兄弟が先日、バックから裸でやる「袖車絞」で兄弟揃ってフィニッシュしていて、文字通りの衝撃を世界に与えておりました。本来のバックチョークの首を攻める形ではなく、脇下から腕が入った状態で極める形は対戦相手が警戒していない状態で技の形に入るので効果的で、観ている側も「これで極まっちゃうのか」と驚きが強かったはずです。警戒されて知られたら難易度は上がるとは思いますが、それでもしばらくは猛威を振るうような気がします。

脇下から入る袖車締は2000年前半に柔道で流行した技です。コムロックこと小室宏二さんが得意にした技で柔道ルールの抑え込みと絞技を併用した柔道ルールに適した技でした。ルオトロチンに関しても技の構造を理解する意味で道着の袖車絞でやるのが理解が早いと思います。技自体は小室宏二さん以前にもグレイシーマガジンでビトーシャオリンヒベイロが公開していて昔からある技です。シャオリンはダースチョークが流行る前から、ダースチョークを紹介していたりで柔術グラップリングの百科事典です。ちなみに小室宏二さんは慎重な性格でして、格闘技にくればそれなりに好きに稼げたはずですが、今は高校教員に落ち着いています。ここら辺は性格です。まあそれはそれとして。

僕がグラップリングでこの技の有効性を確認したのは2月にイゴールタナベさんに何度か脇下からのこの形で極められてからです。脇下からであれば極められ難いと思っていたので、対処を徹底しなかったところに脇下からフィニッシュされたのに驚きを隠せず、練習後に教えてもらったところでこの技の存在を認識しました。海外のグラップリングシーンでは使い手が増えてきているとのことでした。僕もその後に自分の技の引き出しに組み込みはしましたが、主軸にする技ではなく僕の技の主軸は今も昔も「バックチョーク」が鎮座しています。

技名に関しては全世界配信のONEのプラットフォーム上で、兄弟で同時フィニッシュのインパクトで「ルオトロチン」で定着するのではないかと思います。誰が作ったかよりも誰がどこでやったかが大事。これ事実です。この技はルオトロチンで定着するのだと思います。アオキロックと同じです。

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