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ウイルス共存プロジェクト・3話目往復書簡


「年齢が上がれば子育ては楽なのか?」

緊急事態宣言が始まった当初、実は私は、小学生以上のママさんたちが羨ましかった。
「こどもに自分の指示が通る」という意味では、乳幼児よりも圧倒的に有利な状況だと、勝手に思っていた。
しかし、「船橋ワーキングマザーの会」のメンバーの話を聞く中で、むしろ小学生以上の、学びの時期にあるこどもを抱えることは想像以上に大変であることがわかった。


「乳幼児ママの役割」

乳幼児ママがこどもに行うのは、教育より「生活支援」の意味合いが強い。
(宇井は介護業界に関わらせて頂いているため、保育を広義の意味で「生活支援」と捉えている。専門家の方々、素人発想ですのでご容赦ください。)
生活支援なので、最低限、心身ともに健康であればそこがボーダーラインとなる。
目的も明確であり、非常時であれば様々な優先順位を落として対応することもできる。


「教育者の役割も背負う」

だが教育や学びとなると、話は別である。
文科省からの御触れ云々ではなく、その時期に学ぶべき内容や習得すべき量というのはある一定量ある。
そんなの、このコロナが落ち着くまで一時休戦したらいいじゃないか、とも一瞬思う。
だがみなさん、お忘れなかれ。
このコロナは長期戦であり、このプロジェクト名の通り、ウイルスとは共生していく前提がいい。
つまり、週に5日、安全に通学できて、先生に毎日、学校という専用の場所で学べること自体が、貴重だと思い直したほうがいい。
在宅ワークだけでなく、在宅学習もニューノーマルになっていく。そんな世の中では、保護者も教育者の役割を担う場面が増えていくだろう。


「"10代"という時代はこの瞬間だけ」

それに中学受験や高校受験を控えていく親御さんたちは、なおのこと不安が募ったと思う。
たしかに人生100年時代で足は長いが、だからといって10代という時間そのものが、2倍3倍に増えるわけではない。
学びが遅れたからと言って、若い時代を一時停止できるわけでもない。
そんな状況で、「教育」の専門家ではない親たちが、この緊急事態宣言中、突然教師役をやることになった。
この苦悩と苦労は、とても言葉では表せないものだったと思う。
改めて、日々の生活がある中で、ある日突然、先生役をやることになった親御さんたち全てに、感謝と敬意を表したい。


「強制的に進んだDXの波」

これを受けて、オンラインホームルームを行う団体や、オンライン授業を行う小学校やシステムを提供する民間企業も増えている。
漫画内で行われていたオンライン子ども会もその一つであろう。
だが如何せん、全国あまねく広がったかというと、そうではない。
千葉県船橋市も様々な制約の中で、公立小学校は緊急事態宣言中には実施できずにいた。
※2020/7/22現在はすでに開始済み。行政含めた関係者の方々、本当にお疲れ様です。

そういえば、NewsPicksWeekly Ochiaiの中で、
society5.0などで叫ばれていた話が、セットオン(=社会実装)される前に、ウイルスによって強制的に実装が始まった」という話が出ていた
確かに私たちは、最低限のITツールのある時代には生まれているものの、
オンラインが当たり前の世の中になる前に、ウイルスによって強制的にDXを進めさせられてしまった。
まさに「成長痛」を伴いながら、ある日突然、未来にタイムワープさせられてしまった感覚である。


「ウイルス共生社会に、テクノロジーはどこまで対応できるのか」

ちょっとオカルト的な発想ではあるが、なんだか最近わたしは、この時代にこのウイルスが出現したことが、もはや宿命のようにすら感じ始めている。
無症状ウイルスの出現=不用意に物理的に出歩けない、という条件に、テクノロジーがどこまで対応できるのか。世界の仕様変更を迫られた気がする。

先日あるニュースで、「気候変動の観点から、望ましいCO2排出上限量は以前からわかっていた。でもなかなか達成できずにいた。それが今回、COVID -19の出現により、この数ヶ月のCO2排出量は大幅に減少した。」
と報道があった。
そう、新たな生活様式を身につければ、長年の社会課題であった環境問題にも良い効果をもたらすかもしれないのだ。
私たちは、ずっと目を背けていた、災害対策や温暖化を始めとした気候変動・環境問題への対応を、ウイルスへの対応を通じて、強制的に行動させられている。
宇宙船地球号からのエマージェンシーをずっと無視してきたツケが、”ウイルス”という新たな信号によって伝えられている気さえしている。


「ウイルスが我々に伝えていること」

時代は、我々デジタルネイティブ世代を経て、SNSネイティブな世代に移っている。
彼らはウイルスが訪れる前から、オンラインが日常という日々をすでに過ごしていたと思う。
そんな現役の10代達が受けるべき教育は、紙の教科書を教室で開く授業ではなく、動画コンテンツを試聴しながら友人とzoomでディスカッションする双方向授業だろう。
ウイルスからの信号は、環境変動への警告だけでなく、新しい教育への予鈴も含まれているのかもしれない。

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