大切が重なる
それぞれ4月はよっぴの実家、GWは私の実家にふたりして帰った。
よっぴの大切
よっぴの実家は緑がたくさんある公園の中にマンションがある。
鳥のさえずりを聞きながら、四季折々の木々や花が楽しめることを想像しながら、少年のよっぴは虫取りをしていたことを教えてもらってそれも想像しながら、少し緊張しながら歩いた。
おみやげのケーキが傾いてしまわないように注意を払いながら。
最近リフォームをされたというおうちのなかは、センスに満ち溢れていて、それはもうどこを切り取っても素敵なインテリアだった。
グレーがかったペールグリーンの壁、アンティークの小さなテーブルと椅子が置いてある。アクタスで注文したダイニングテーブルは指触りが気持ちよかった。
持参したケーキがのったお皿も丸みのある四角形で、一枚ずつ柄が違う。紅茶のティーパックを入れる耐熱ガラスの器もディテールが美しい。
おしゃれなのに気張っていない。暮らすための快適さがつまっている。きっと朝起きたら、ふと窓の外を見たら、食事をしながら小さな幸せがつもっていくようなおうち。
よっぴのお母さまの性格がそのままおうちづくりに出ている感じがして、緊張はしたけれどずっとしあわせな気持ちだった。
ケーキを持って行ったのだけど、プリンを用意してくださっていて、帰るころにはお腹ぱんぱん。
「近所のケーキではここが一番」とのことで、確かにバニラビーンズがたっぷり入った、でも材料は必要最低限のシンプルおいしい味。
お母さまはやっぱりチャーミングで優しくておちゃめで。よっぴの親だからというわけではなく、シンプルに女性としての憧れが止まらない。
「次は(よっぴの)姉家族も交えて会いましょう」と言ってくださった。
帰りは、少し足を伸ばして、よっぴ自慢の川沿いの桜を見ながらゆっくり歩いた。
もう時期も終わりかけだったけど、走り回る子どもとステップを踏むように歩くごきげんな犬、ストイックにランニングをする人たちを見るのも楽しかった。
よっぴに「相変わらずお母さんかわいらしいねぇ」と言ったら「そうやろ?俺もオカンに似たんやな」と嬉しそうだった。
私の大切
ふたりで実家に行ったのは昨年の8月が最初で最後。年末年始は私だけ帰省した。
2月に私の両親に来阪してもらい、大好きなお店でランチを食べ私たちの家に招いた。
その際、父は「今後うちにも来てください。魚がおいしい店に行きましょう」とよっぴに言っていた。
愛犬もなかが昨年夏に虹の橋をわたり、老夫婦ふたりの生活となっているため、GWくらいは顔を見せようと思った。
母親におみやげのリクエストを訊くと、「ブルトンヌのお菓子、パン」と明確な答えが。はっきり言ってくれると迷わないからありがたい。
梅田でおみやげを買い、新梅田食堂街で明石焼きをお昼に食べた。あんまりお腹いっぱいにすると、父親行きつけのお店であんまり食べられないから明石焼き。
実家はいつも通り、ものすごく歓待するわけでもなく、「あぁ、ようこそー」という感じ。絶対照れくさいんだな。平静を装っている感じ。
先代のあんこ、もなかの仏壇にお線香をあげて、アルバムをふたりで見た。
よっぴは犬のことをあまり知らないから、私たちがいう犬あるあるがおもしろいみたい。
「この写真、なんでこんなもの着せられんねんってめっちゃ不機嫌」「目が三角やもんな」と言うと、犬でも顔に出るものなのか、と驚く。
「そうだよー、怒られたら拗ねて呼んでも無視するし」「人間がトイレ行った隙に、座り心地のいいソファに陣取ったりね」。犬ってそんなに感情豊かで会話しなくても気持ちとかわかるもんなんやな、とよっぴ。だからめっちゃかわいいのよ。早く犬かいたいね。
ずっと家で野球を観ているのもなんなので、「家の近くに川あるよ」と言うと「行く!!」とよっぴが言うので、晩ごはん前に散歩した。
自分が小さいころ遊んだ川をふたりで歩く。あまり地元は好きになれないけど、よっぴと歩くと落ち着いた田舎の風情がしみてくる。おすすめの豆腐と漬物も買った。
晩ごはんは、「うちは好きなものを各々が頼んで、それをみんなで食べるスタイルやから、気にせずどんどん頼んで」という号令を合図に、よっぴも遠慮することなく選んでいた。
おいしいものを食べて、思いついたなんでもない話をして笑う。とてもよい時間が流れていた。
父がテニスをしているので、よっぴに「ぜひ観に来てほしい」と熱く語っていた。私と母は、またいつもの酔っぱらい発言…と受け流していたけれど、よっぴが「絶対行きます!」と答えていたのがうれしかった。
最後はなぜか恒例の握手。初めて会った日によっぴから両親に握手を求めていて、それを喜んでいたことを伝えたら毎回両手でしっかりとするようになった。これもうれしい。
次は、6月の野球観戦。ちょっとは親孝行できてるかな。
母のよっぴ評は「強い自己主張をしたりせずに、すごく優しく接してくれる。怒るところが想像できない。お姉ちゃん(私)が幸せそうでよかった、とお父さんと話してた」とのこと。おっしゃるとおり。
よっぴは「ろっかの両親はたくさん話しかけてくれるし、優しいから俺も無理せず自然体で接してる」とのこと。本当にありがとうね。
なんでもないおでかけ。
ふたりの大切を交換して、重なり合った日。
しばらく余韻に浸っていたら、秦基博の「May」の歌詞そのままやん!と嬉しくなって、久しぶりに聴いたら泣けた。
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