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223.丸鶏を最もおいしくするスパイスは何か? 問題

クリスマスが終わり、年末年始を過ぎると、丸鶏の売れ残りが目立つ。買いたい放題、焼きたい放題である。そこで、タイミング遅れのローストチキンでも焼いてみて、スパイスとの相性を検証してみようと思った。が、本当のことを言うと僕は丸鶏のローストチキンはあまり好きな調理方法ではない。普段、鶏肉は丸鶏で買って部位ごとに切り分けて、個別に調理に使っている。
火の入り方が部位ごとに違うから、できることなら、ローストチキンを作るとしたら、たとえばせめてむね肉ともも肉は別の火加減で調理したい。丸ごとは華やかだし、豪快だし、盛り上がる場にはちょうどいいけれど、個人で味わうなら切り分けてから焼く方が好きだ。
なあんてことをグズグズ言ってないでともかく丸のまま焼こう。

スパイスを合わせようとして、またもうひとつ、気に入らないことを思い出した。鶏肉の表面にスパイスやらハーブはらをオリーブ油などと一緒に塗り込んで焼くのも、あまり好きではない。高温のオーブンの熱が最も早く届く表面にスパイスが長時間いる状態は、スパイスの香りにとってよくないと思うからだ。
香気成分は揮発しまくり、一応、ある程度は皮面の脂分に定着するけれど、その状態で30分、1時間と熱が入ったら、やはりスパイス本来の香りは飛んでしまう。意図的にスパイスの香りを部分的に諦めて香味を立てる方を優先するなら、それもありかもしれないけれど……。ローストチキンでスパイスを使うなら、お腹の中(丸鶏の内側)にスパイスを忍ばせるのが最善のような気がする。
なあんてことをグズグズ言ってないでともかく丸のまま焼こう。

●ローストチキン スパイス塩

【材料】
丸鶏 1200g
オリーブ油 少々
塩 12g
スパイスA
 ・ローズマリー 適量
スパイスB
 ・スイートマジョラム 適量
スパイスC
 ・パンダンリーフ 適量

【作り方】
1.    塩をオリーブ油を肉の内側に塗り込み、スパイス(ハーブ)をそれぞれ入れる。
2.    オーブンを250℃に温めておく。耐熱皿に鶏をのせ、オーブンで5分間焼く。温度を180℃に下げ、さらに55分間焼く。焼いている間、20分ごとに取り出してたまった肉汁を鶏全体にまわしかける(合計2回)。

ローストチキンにはやはりハーブがいい。ローズマリーは定番。スイートマジョラムはかなりマイナーでこれを入れてローストしているのを僕は見たことがない。でも合うと思った。パンダンリーフは僕の好み。これも見たことがない手法だが、パンダンリーフ独特のジャスミンライスっぽい香りが混ざると、チキンライスやカオマンガイを食べているような感覚が得られそうでやってみた。
どれもとてもいい香りが生まれ、成功。

『食べ物 香り百科事典』(朝倉書店)を元に香気成分をチェックしてみた。

◆ローズマリーの香気成分
ローズマリーの香気成分を改めて調べてみると、なかなかすごいラインナップ。主要成分として、αピネン、βピネン、カンフェン、シネオール、カンファ―、カリオフィレン、pシメン、リナロール、リモネン、γテルピネンなどなど。さまざまなスパイスが含有する香気成分のオールスターのようなラインナップである。これはローズマリーが汎用性の高いハーブとして活躍している証拠を再確認するような顔ぶれだ。

◆マジョラムの香気成分
合計34種類の香気成分を持つとの情報アリ。主要成分として、テルピネン(10%前後)、pシメン(5%前後)、リナロール(3%前後)などローズマリーと共通する項目が多い。違う点として、サビネン(2%台)が挙げられる。サビネンはグリーンカルダモンやブラックペッパーにも含まれる。カルダモンはローストチキンとはあまり相性がいい感じがしない。ブラックペッパーとマジョラム、よさそう。

◆パンダンリーフの香気成分
ランペ、ニオイタコノキなどの別名があるが、香気成分のDATAは存在しなかった。ネットなど(J-Stageというところを参照することが多い)で調べたところ、「2-アセチル-1-ピロリン(通称2AP)」が特徴的で、香り米に見られる香気成分だ。カオマンガイのような……、という狙い通りの効果が得られたのはここに原因があると思う。

もっと他に相性いいスパイスがあるかもしれないし、ないかもしれない。
ま、僕には何もわからない。

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