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222.サツマイモを最もおいしくするスパイスは何か? 問題

立派な巨大なサツマイモをいただいた。冬だしアウトドアでバーベキューでもして、炭火の中に放り込んでおきたいところだが、オーブンで低温調理にも興味があったので、焼いてみることにした。

『風味の事典』(楽工社)には、「サツマイモ」のページはない。甘味の強い芋という点だけでいえば世界中に同種の味わいを持つ芋が無数にありそうだが、今回は、「甘みを引き立てる」という点で独自にスパイスを3種選ぶことにした。

10年前に出版した「カレーの教科書」で隠し味の効果を何パターンかにまとめたが、その中から3パターンを抜き出してスパイスに当てはめてみる。

・相乗効果……シナモンで、甘み香りを増幅させる。
・複雑化効果……オールスパイスで、深みを出して甘味を印象的に。
・反動効果……アジョワンの刺激的な香りで甘味を引き立てる。

●焼き芋のスパイス塩風味
【材料】
サツマイモ 巨大2本(適量)
スパイスA
 ・シナモンパウダー 適量
スパイスB
 ・オールスパイスパウダー 適量
スパイスC
 ・アジョワンシード 適量
塩 適量
紅花油(他、こめ油など香りのない油) 適量

【下準備】
スパイスと塩、油を混ぜ合わせてスパイス塩オイルを作っておく。

【作り方】
1.    サツマイモを洗って濡らしたペーパータオルで包み、アルミホイルで包む。
2.    オーブンを100℃に設定して余熱段階から含めて90分、それから150℃に温度を変更してさらに30分、それから200℃に温度を変更してさらに30分、焼く。サツマイモのサイズによって時間は変動。オーブン停止後、庫内の余熱を使ってもよい。
3.    串を刺して火の通りを確認する。
4.    芋を割って、断面にスパイス塩オイルをかける。

スパイスA、B、Cはどれも香りよく仕上がった。最もサツマイモの味わいを引き立てたのは、やはりシナモンだったような気がする。
『食べ物 香り百科事典』(朝倉書店)を元に香気成分をチェックしてみた。

◆シナモン
部位によって特徴的な香気成分が違うのが、シナモン。葉ではオイゲノール、樹皮ではシンナムアルデヒド、根ではカンファーが主成分。今回は樹皮を使ったため、シンナムアルデヒドが75%と圧倒的。他は比率は少ないが、リナロール、カリオフィレン、オイゲノールあたり。リナロールを55%も含むのはコリアンダー。カリオフィレンはブラックペッパー、クローブ、カレーリーフ、オールスパイス。オイゲノールはクローブで有名だ。

◆オールスパイスの香気成分
名前の由来は有名だが、このスパイスひとつで、シナモン、クローブ、ナツメグの3種の香りを併せ持つことから「オール」とついたそうだ。そういう点では、上記シナモンだけでなく、さらに複雑な香りを有するというイメージには合致する。インドでいえば、ガラムマサラに近いニュアンスになる。主成分はオイゲノールで80.1%とクローブと酷似。ナツメグにもオイゲノールは含まれる。ほかにメチルオイゲノールが5%、カリオフィレンが4.5%。カリオフィレンは、クローブ、ペッパー、シナモン、カレーリーフなどと共通する。

◆アジョワンの香気成分
「アジョワンの独特の香りを特徴づけているのはThymolやp-Cymeneで、タイムの香気に似ているのは主成分のThymolがタイムの主成分と同様であるため」とある。なるほど、サツマイモにタイムも面白そう。他にリモネンも多く含まれる。リモネンを含むスパイスは、キャラウェイの41%が圧倒的な量。アジョワンがセリ科キャラウェイ属であることの裏付けのようなDATAだ。他にリモネンは、ペッパー、メース、フェンネル、ホワジャオなどにも含まれる。サツマイモにホワジャオもよさそうだ。

もっと他に相性いいスパイスがあるかもしれないし、ないかもしれない。
ま、僕には何もわからない。

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