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220.ブロッコリーを最もおいしくするスパイスは何か? 問題

ブロッコリーはなんとなく買ってしまう野菜である。売り場での存在感が大きいからかもしれない。茹でてマヨネーズをつければ簡単でおいしいが、それ以外の調理に使う出番は少なそうだ。他の野菜や素材と合わせるときに加熱の進行が揃いにくいのも原因なのかもしれない。要するにちょうどよく火を通すのが意外と難しい野菜だと思う。
ちょうどよく、という点を無視して火を通しまくる料理でよくやるのがブロッコリーのパスタ。いつもの作り方だとにんにく、唐辛子、アンチョビ、チーズ……、とブースト食材のオンパレードになってしまうため、この実験企画の主旨と反するが、まあ、「あったらあったで、ないならないで」の精神で、作ってみようと思う。

『風味の事典』(楽工社)で、「ブロッコリー」と合わせている素材を抜き出してみた。

・  アンチョビ……やはり定番なのだろうか。
・  唐辛子……やはり定番なのだろうか。
・  にんにく……やはり定番なのだろうか。
・  ブルーチーズ……やはり定番なのだろうか。ブルーに限らず各種チーズは相性がいいと思う。
・  ピーナッツ……粒入りピーナッツバターとの相性が記されている。そこにミントが加わるとよさそう。ナッツ香との相性がいいのなら、マスタードをテンパリングしたときのナッツ香を合わせてみたい。
・  レモン……ロンドンにあるイタリアンレストラン『Orso』では温かいブロッコリーにレモンをかけて出すそうだ。レモンもいいが、柑橘系との相性がいいとするとスパイスとしてのチンピは試してみたい素材。

いくつかのヒントから、3種のスパイスを選択した。

●ブロッコリーのスパイス塩パスタ
【材料】
ブロッコリー 小1個(380g)
塩 2g
湯 200g
オリーブ油 大さじ2
にんにく(スライス) 1片
唐辛子(適当にちぎる) 1本
アンチョビ(好みで)  少々
パルメジャーノレジャーノ(好みで) 少々
スパゲティ 2人分(200g)
スパイスA
 ・ブラウンマスタード
スパイスB
 ・ルッコラ
スパイスB
 ・チンピ

【作り方】
1.    鍋にブロッコリーと湯、塩を入れてふたをし、強火で6分ほど蒸し煮にする。
2.    フライパンにオリーブ油とにんにく、唐辛子を弱火で熱し、じっくり火を入れる。途中でアンチョビを加えて混ぜ合わせ、ブロッコリーを茹で汁ごと加えて10分ほど煮る。水分が足りなくなったら、都度、適量の湯(分量外)を加えながら。
3.    ブロッコリーを煮ている間に空いた鍋にたっぷりの湯を入れてパスタを茹でる。このときの塩(分量外)は控えめに。
4.    パスタをソースに加えて3分ほど、ソースが濁ってパスタに絡むまで混ぜ合わせる。

『食べ物 香り百科事典』(朝倉書店)を元に香気成分をチェックしてみた。

◆マスタードの香気成分
ブラウンマスタードには、Sinigrin、Sinalbinと呼ばれるカラシ配糖体が含まれているが、特に前者はすりつぶすか粉にして水と煉り合せたときに加水分解を受けて辛みと刺激性を有する。が、今回は、つぶさずに高温で加熱するため、どちらかというとナッツ香を生む方を目的にしている。ブロッコリーとの相性はよかった。

◆ルッコラの香気成分
ルッコラを選んだのは、なんとなく自家乾燥させたルッコラが手元にあって合いそうだな、と思ったからだが、資料によると、ルッコラを水蒸気蒸留すると主揮発成分として、Sulforaphaneというものが生まれるらしい。そして、これが、キャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、ブロッコリーからも同じ成分が見つかっているというから相性はいいのだろう。

◆チンピの香気成分
資料ではオレンジピールの項目がチンピにあたり、シトラスエッセンスオイルの揮発性成分について記載があるが、膨大な量が記されていて、逆に手がかりがつかみにくい。またオレンジにも無数に品種があるため、特定も難しい。が、試食の感想としてはブロッコリーの風味は際立ったと思う。

もっと他に相性いいスパイスがあるかもしれないし、ないかもしれない。
ま、僕には何もわからない。

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