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227.真鯛を最もおいしくするスパイスは何か? 問題

魚のアラを見ると手が伸びる。焼いても煮てもうまい。出汁を取るのもいい。真鯛のカシラとアラが手に入ったので、出汁を取ることにした。野菜のきれっぱしのようなものを適当に加えれば、いい味が出る。今回は、普通にねぎの頭としょうが。この時点でしょうがというスパイスが入ってしまうが、気にせず、相性のいいスパイスを試してみたい。

『食べ物 香り百科事典』(朝倉書店)に「タイ」の項目があってびっくりした。が、さすがに隊の香気成分については情報が少なそうだ。

天然と養殖のクロダイをそれぞれ分析した結果が出ている。顕著な違いとして、テルペン類の揮発成分が天然ものから7成分検出されたが、養殖ものからは3成分のみだった。テルペンとは、植物の精油成分に含まれる成分で、 特有の香りや苦みを持っているとある。スギやヒノキなどにも含まれ、「森の香り」という印象がある。鯛の香りからそれを感じることはないが、森の爽快感の強い香りを意識してスパイスを選んでみる。

一つ目は、すっきりと爽快感のあるレモンピール。
二つ目は、爽快感をビリビリとした刺激的な方向に持っていったホワジャオ。
三つ目は、爽快感に甘いフレーバーを加えたアニスシード。

●真鯛の冷製ジュレ×スパイス塩
【材料】
真鯛(頭とアラ) 2尾分
水 たっぷり
しょうが(厚切り) 2片
ねぎの頭 1本分
塩 適量
スパイスA
・レモンピール 少々
スパイスB
・ホワジャオ 少々
スパイスC
・アニスシード 少々

【作り方】
1.    真鯛とアラを200℃のオーブンで15分ほど焼く。
2.    たっぷりの水とネギ、しょうが、塩と共に煮る。アクを引きながら弱火で30分ほど。
3.    濾して粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす。
4.    器に盛り、スパイスをふりかける。

『食べ物 香り百科事典』(朝倉書店)を元に香気成分をチェックしてみた。

◆レモンピールの香気成分
レモンの原産地はインドらしい。知らなかった……。
さらに検出されている香気成分は、194成分! ただ、最も特徴的なのは、Citral(シトラール)。そして、βピネン、などのテルペン類。ここに鯛との共通項がある。含有比率が圧倒的に高い香気成分は、リモネンで、60%以上となっている。「爽快感+鯛」という組合せとしては有効なスパイスと言える。

◆ホワジャオの香気成分
実は主要香気成分がレモンピールと同じ、リモネンとβピネンである。その時点で鯛との相性もレモンピールとの相性も良い。他にはβフェランドレン。このあたりの3香気成分で他のスパイスとの共通項を探してみると、リモネンでキャラウェイやブラックペッパー、βピネンでクミン、βフェランドレンでカレーリーフが挙げられる。このあたりもブレンドの参考になりそうだ。

◆アニスシードの香気成分
主要香気成分はダントツにアネトールで、80~95%を誇る。リコリス(カンゾウ)に似たような甘い香りが生まれる。爽快さはあるものの、この甘い香りが強いのが特徴。ちなみにスターアニスとアニスシードは植物が違う。アニスシードはセリ科アニス属の一年草。スターアニスはシキミ科シキミ属。ただ、スターアニスの主要香気成分もアネトールで70%以上含まれるから、煮た香りを持つ。その点でいえば、スターアニスと鯛はあまり合う印象がない。今回の3スパイスの中ではアニスシードが最も相性としては合いにくいのかもしれない。

もっと他に相性いいスパイスがあるかもしれないし、ないかもしれない。
ま、僕には何もわからない。

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