見出し画像

出版1周年記念会 in 大阪の開催報告②

先日開催した出版1周年記念会 in 大阪の開催報告、その2です。

第1部の神田くみさんに引き続いて、ゲスト講師の関西ブライダルミッション代表・岸本誠さんにご登壇いただきました。

第2部のテーマは、「パートナーズ婚が世界を救う!?」。

LGBTQの人々を含めすべての人のウェディングwpサポートする活動をされている岸本さんが、牧師の立場からみたSOGIを超えた世界についてリアルなお話しをされました。



岸本さんは、関西ブライダルミッションの牧師として、今までに5,000組以上のカップルの結婚式の司式をされてきましたが、その経験を生かして最近では「パートナーズ婚®」の活動に取り組み、イベントの開催やラジオ出演などの啓発活動にも力を入れています。

これらの活動をベースとして、2017年には、民間では全国初となる「パートナーズ婚Ⓡ証明書」の発行を開始した、滋賀県大津市のLGBT啓発推進アドバ
イザー(2022年度より大津市LGBTQ啓発推進アドバイザー)に就任し、官民を超えたさまざまな取り組みを行っています。



パートナーズ婚に近い取り組みは地方自治体などでは事例が広まりつつありますが、国全体としての制度は存在しないため、なかなかリアリティが湧かないという人もいると思います。日本では世間体を重視する和合文化が根づよいことから、当事者の内実に触れずに何となくタブーだと考える人も少なくないでしょう。

岸本さんのセミナーでは、そうした一般的な考えの方にも親近感を持ってもらえるように、前半部分では、そもそもの性のあり方や自然界でのメカニズム、日本におけるLGBTQの実際、当事者に対する言葉や行動で気をつけること、といったテーマについて、とても丁寧にきめ細かく説明されました。

参加者の一人ひとりに問いかけるような優しい口調で終始話しが展開されたので、思わず自然な流れで質問する人もいたり、終了後の交流会でも打ち解け合ったりして、人間的な輪が広がったように感じます。



とくに「ハラスメントととらえられかねない言葉の例」のトピックでは、会場の反応が鋭かった場面が多く見られました。普段私たちが何気なく使っている言葉でも相手を傷つけることがあるのは想像できますが、それが単に不快や軋轢をもたらすだけでなく、人間関係によっては意図しない方向に発展することも少なくないという事例のお話しには、頷きを新たにする人も多く見られました。

マイノリティは傷つきやすくてかわいそうだから配慮しなければならないという発想ではなくて、心から相手と認め合うフラットな人間関係を自然につくっていくことが、お互いが違いを超えて生きやすい社会や空間になっていくための第一歩だと強調していました。笑顔でやさしく諭すような岸本さんの言葉は、多くの人の心に素直に響いたと思います。



パートナーズ婚という発想については、当事者にとって安心と利益がもたらされる取り組みという面だけではなくて、そうした取り組みを通じて社会全体に安心感が行き渡ることで、地域や職場での生きやすさにもつながるという面があるといいます。法律や制度といったハード面を超えて、自主的な取り組みとしてソフト面を後押ししていく努力は、個人の幸せを超えて社会全体の幸せにもつながると考えられます。

今回参加されたみなさんはさまざまな属性や立場の方々であり、必ずしもパートナーズ婚という考えに同じ理解をする人とは限りませんが、むしろ「人によって受け止めや考えが違うのは当たり前」だと話す岸本さんのおおらかで愛情あふれるオーラに、癒しをもらうことができた空間だったのではなかとも思います。



参加者のお声としては、「いかに言葉や思い込みに支配されていたかに気づくことができた」「リアルな事例を通じてさまざまな幅広い価値観を知ることができた」「お話しがとても面白く、聞き入ってしまった」「人として向き合うことの大切さを実感した」「男女ではなく人間として相手を尊重する時代だと感じた」などなどといった感想をいただきました。

私自身も、運営側・主催者としてお話しに触れさせていただいて、岸本さんのあたたかい人間的魅力を間近に感じて幸せなひとときでした。あらためて、貴重な講演をいただいた講師の岸本さん、当日ご参加くださったみなさん、本当にありがとうございました。

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。