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音調140字小説まとめ②

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【No.336 携帯電波】
知らない番号から電話がかかってきた。無視をしているとやがて「他の女に浮気しようとしてるでしょ。あなたが私の体を触ったり、撫でたり、指でこすったりする度に、私の体は熱くなるのよ」とメールが届く。どうして自分の連絡先を知っているのかこわくなり、早く機種変更しようと店に急いだ

【No.340 収束する光】
その夜、国の至る場所で花火が上がる。夜空には光と音が広がるばかりで姿は見えなかった。誰もが色のない花火を探して空を眺める。頼りのない透明な合図だ。下ばかり向いて歩いてきた日々が、意味が。今、多くの人が上を向いて、標として浮かぶ月をただ、ただ言葉を飲み込んでは見つめていた

【No.342 誰かの声】
ある日、飼っているオウムが「すきだよ、すきだよ」と教えてもいない言葉を喋り出す。テレビからは恋愛ドラマが流れていた。次の日は「わたしのほうがいいおんなよ」と喋る。全く、変に影響されてしまったもんだ。オウムが暴れる。「いっしょにしのう」え?「きづいて。べっどのしたにいるよ」

【No.343 ミツデス】
その生き物は「ミツデス、ミツデス」と鳴き続ける。視力が良くないのかマスク着用、十分なスペースな確保、手の消毒などの対策をしていても見えていないようだった。「ミツデス、ミツデス」と収束に向かう明かりも見つからないまま、その生き物は最期まで鳴き続けた。「ミツデス、ミツデス」

【No.344 氷水】
喫茶店でメニューを眺めていると、氷水なるドリンクが置かれていた。一見するとただのお水なのに、コップを揺らすと氷同士がぶつかったようなカラン、コロンという音がする。まるで氷が入っているかのように、時間が経つと水かさが増していく。口に含むとバリ、ボリと見えない氷の塊が砕けた

【No.351 少女風鈴】
朝、目覚めると体が透明になっていた。血管も筋肉も見えなくて、まるでガラス細工の風鈴にでもなったみたいだ。窓から入り込む風が私の体を揺らすと、リリン、リリンと音が鳴る。『透明になって誰からも忘れ去られたい』と、そう願ってしまったからだろうか。リリン、リリンと鈴がまた鳴った

【No.357 炭酸電池】
残業も終わって帰宅する。最近は肌荒れが酷いので、アルカリの炭酸電池を湯船に投げ込むと、バチ、バチと音を立てながら炭酸が弾ける。疲れ切った体を電流が刺激した。少し勢いが弱いかなと思って確認してみると、充電用の炭酸電池だった。繰り返し使っているから弱まっているのかもしれない

【No.367 光の陰る速度】
ジリリリ。と、地面で蝉が這い蹲っていた。「あ、タンポポだ」意識してないのか、意図してなのか、花を避けた彼女は代わりに蝉を踏み付けた。ジリリリ。という鳴き声が止まる。「秋が過ぎる速さで光は陰るの」彼女の言葉を思い出す。長い夏が終わりに差し掛かり、もうそこまで秋が迫っていた

【No.375 不在着心】
『この心は、現在使われておりません。気持ちを御確認の上、もう一度心を御繋ぎ下さい。この心は、現在使われておりません。気持ちを御確認の上、もう一度心を御繋ぎ下さい。 この心は、現在使われておりません。気持ちを御確認の上、もう一度心を御繋ぎ下さい。この心は、現在使われて――』

【No.380 責任点火】
同僚が仕事でやらかした。残業続きで溜まった愚痴を吐き出すと、あろうことか同僚が逆ギレして俺に掴みかかる。罪のつまみを捻ると、体の中からチッ、チッ、チッと音が鳴り響く。「やめろ!」やがてボッと熱がこもると、その途端に上司や部下から俺に非難が集まる。しまった、責任点火だ

【No.382 そらねこ】
2歳の娘が「ままー。おそらにねこがいるよー」と話す。なんのことかと空を見上げると曇り空が広がっていた。しばらく眺めているとゴロゴロと雷が鳴る。娘が「ごろごろー、ごろごろー、にゃーん」と猫の声真似をした。なるほど、そういうことか。雨が降り出すと「ねこさんないてるね」と呟いた

【No.420 人間の種】
人間の種というものを買ってきた。興味本位で植えてみると、土から目を覗かせる。僕のことを見つけた途端、歯が剥き出しになって鼻が咲く。このまま育てばやがて人間になるのか。気味が悪くなって庭先に捨てる。あれから数日後、外から「ヨ…ブン……ヨブ…ン」という呻き声が聞こえてきた

【No.432 歩道橋と走馬灯(いろは式「ほ」)】
歩道橋の真ん中で寂びた街を見下ろす。幼稚園児だった妹は、私の呼ぶ声で駆けてきてトラックに轢かれてしまった。キシ、キシ、と鳴る音が妹の悲鳴にも聞こえる。それから、私は声を出すことができなくなってしまった。階段を蹴る音が上っているのか、下っているのか、今でも分からずにいた

【No.434 といぼっくす(いろは式「と」)】
止まったままのオルゴールがおもちゃ箱から出てくる。タイヤの取れたミニカー。笑わないフラワーロック。子どものころ、幼なじみだった女の子のおもちゃが紛れ込んでいた。あの日、本当のことを伝えていれば。止まったままのオルゴールを回す。音は鳴らない。回す。鳴らない。回した。音は、

【No.445 その訳を(いろは式「そ」)】
騒音で目が覚める。なかなか起きない僕に痺れを切らして、彼女が不機嫌になりながら僕の頭を掃除機で小突く。「この家に住むのも今日で最後でしょ」と笑って音楽をかけた。スピーカーからは『思い描くことさえ 僕らは忘れたよ』と流れる。嘘のように、別れにしてはおだやか過ぎる午後だった

【No.447 ネジ巻き式(いろは式「ね」)】
ネジ巻き式の幸せなのかもしれない。オルゴールのネジを巻くと、巻いた分だけ透明感のある音色が流れる。綺麗なものはいつだって機械仕掛けだった。そうやって自作自演の幸せを聞いている内に、ネジは錆びれて、音は歪んで。巻いて、巻いて。いつのまにかオルゴールは鳴らなくなってしまった

【No.450 無音(いろは式「む」)】
無観客試合、撮影、公演が多くなった今、自分の価値観を確かめる術が希薄になっていった。無声映画のワンシーンだけを切り取ったように、正しい情報が伝わらない。正しい評価が下されない。ネットの正しい声だけが大きくなっていく。正しい街の、正しい人達によって、正しい終焉を迎えていく

【No.455 くるみ割り人形(いろは式「く」)】
くるみ割り人形でくるみを割っていると、木の上の家にリスが忍び込んでくる。僕と目が合うと割れたくるみをさっと奪って消えていく。そんな関係が続いたある日、目覚まし代わりにセットした音楽で起きると、すでにリスが横にいた。流れていたのはチャイコフスキーの『くるみ割り人形』だった

【No.456 ヤなことそっと(いろは式「や」)】
「ヤなことそっとミュートすればいいんだよ」と誰かが言っていた。人生はアカウントによって管理されている。フォローした人とだけ話すことができて、会いたくない人はブロックすれば関わらなくて済む。ミュートした言葉は耳に届かなくなる。何も解決しないんだけど、生きやすい世界になった

【No.459 フカシキ(いろは式「ふ」)】
風鈴の音が街に鳴り響くと、季節は強制的に夏へと侵食されていく。付夏式の準備は春の初め頃から行われる。大量のラムネ瓶と海砂が敷き詰められた部屋に、無作為に選ばれた人が長い時間を過ごす。窓もなく娯楽もない。誰かの犠牲が溜まったラムネ瓶を風鈴にして、また今年も楽しい夏が始まる

【No.460 言葉が回る(いろは式「こ」)】
コインランドリーで回る洋服の様を、ただ、ただ眺めていた。金麦を飲みながら「生きる」について考える。クソ上司に言われた言葉が頭の中をぐるぐるぐるぐると回った。生乾きの服を取り出して、代わりにドラム式洗濯機の中に大声で叫んだ愚痴をぶち込む。淀んでしまった言葉を回す。回した

【No.484 冬の音ずれ】
冬が深く積もると、街のありとあらゆる音がずれていく。朝方の雪の上を歩く調子、薬缶が沸騰する時間、寒さで震える声が遅かったり低かったりする。静かに、静かにずれは大きくなった。正しいリズムがわからないまま、ふいに通学路で彼に会うと、落ち着いたはずの心拍数が早めにずれていった

【No.504 らむねこ】
らむねこが夏を告げる。鈴の代わりに喉元のビー玉を鳴らすらむねこは、薄青い透明な体をしていた。頭を撫でてやると「しゅわ、しゅわ」と気の抜けた声で甘えてくる。夏の間、高校生の男女が一緒にいるときにだけらむねこは現れる。弾ける音がした。大人には見えない、不思議な不思議な生き物

【No.512 こねこねこの素】
ストレスが溜まったので「こねこねこの素」を買った。ボウルの中に粉を入れて水を流し込む。手でこねていると生地が「にょん、にょん」と鳴き声を上げては子猫の形に変わっていく。こねて、鳴いて。間の抜けた声ともちっとした柔らかさで、完全な子猫の姿になったときにはとても癒されていた

【No.515 陸橋】
私の呼び掛ける声で駆け出した妹は、トラックに轢かれて死んでしまった。妹を殺した醜い声を聞きたくなくて、私の両耳は不自由となった。命日になると私は陸橋の上で道路を見つめる。イヤフォンから流れる音量を下げた。キシ、キシ、と鳴る陸橋の軋みが、亡くなった妹の悲痛な叫びと重なった

【No.530 声】
声から感染するウイルスが蔓延して、人々は外出自粛を余儀なくされた。電波を介して広がるウイルス対策のため、電話をするときはイヤフォン着用が義務となる。もう何年、買い換えられないまま音質の悪いイヤフォンを使い続けただろう。繰り返し、繰り返して、君の、本当の声を忘れてしまった

【No.546 声退】
鼻の下に不自然な部分があるのは、『口』と呼ばれる器官があった名残らしい。ある時期を境に人間は言葉を失った。会話をしないように。歌を歌わないように。そんな時代が長く続いたそうだ。「言葉にしなくても」と「言葉にしたって、どうせ」が溢れていた。いつからかマスクは付けなくなった

【No.567 【歌わせてみた】】
最近は【歌わせてみた】が動画投稿サイトで流行っているらしい。歌うのが苦手な人達に「あなたには歌の才能がある」や「その声には独特な雰囲気がある」などとおだてて、MIXして動画投稿サイトで笑い者にするのだ。馬鹿にして、晒し上げてお金を稼ぐ。誰かの夢を蔑ろにして生活は回っていた

【No.577 誤字の鐘】
誤字の鐘が街に鳴り響く。不協和音は神経を鈍らせて、一度聞いてしまったが最後、文字が正しく認識できなくなる。図書館や本屋にある木の文章は五時だらけになり、文章力も著しく定価してしまう。誰かの離す言葉も美味く返還できない。時膜も、メモ餓鬼も、刑事版も、事場が膿から失れていく

【No.582 晴れのちラムネ】
「今日は晴れのちラムネです」と天気予報士が告げる。わざと傘を持っていかなかった私は、案の定ラムネに濡れてしゅわしゅわになってしまう。同級生の男の子が「何やってんだ」と笑いながら傘を差してくれる。ラムネは降り止んだはずなのに、ずっと、どこからかしゅわしゅわと音が弾けていた

【No.604 言切屋】
「ごんばんば。おびざじぶりでず」と異変に気付いたのは、前職でお世話になった先輩に会ったときだった。「ぎょゔにがぎっで」どうやら言葉に濁音が溜まってきたらしい。「言切屋に行った方がいいぞ」「ぞうでずね」せっかくの再会に申し訳なく思いつつ、言葉の濁りを切ってもらうことにした

【No.608 アンテナショップ】
たまには地方の特産品でも見てみるかとアンテナショップに訪れる。けれど、中には文字通りアンテナしか売られていなかった。店員さんいわく、頭にアンテナをつけるとトレンドの受信と発信ができるようになるらしい。ファッション、音楽、グルメ、全世界の流行はこのお店から決まっていくのだ

【No.619 鶴達の恩返し】
世話好きのおじいさんの元に、助けた鶴が恩返しに来ました。それに続いて助けた亀、犬、猫、豚、狐も恩返しにやって来ます。「これは大変。はたを織る代わりに整列させましょう」と、鶴の一声で動物達は綺麗に並びます。それぞれの恩返ししたい内容を聞いて、順番が来たら高らかに鳴きました

【No.667 伝播塔】
今では一人に一基、頭の上に伝播塔が建っている。悪意も、陰口も、暴論も、簡単に発信できてしまう。受け取った側もまた、負の気持ちが伝播して色んな人を攻撃していく。誰が、誰に、誰へ向けたメッセージなのかもわからずに。「もうやめようよ」小さな声が、今日も伝播に掻き消されていった

【No.674 知らない曲】
友人が曲のタイトルを思い出せないそうなので歌ってもらうことにした。なのに「知らない」と言うから僕もお手上げだ。「ちょっとくらいは覚えてるだろ」「知らない」「どんな感じの曲とかさ」「僕は何も知らない」「お前いい加減にしろよ」「叱られた後のやさしさも」六兆年と一夜物語だった

【No.696 斜陽】
「終わりよければ全てよし」という言葉が苦手になってしまったのは、それまでの挫折や後悔を無意味だと笑われたように感じたからだった。どんなに始まりが悪くても、きっと、その過程に意味があるはずだと願う。新しい年が始まる。冷たい扉を、冷たかった手で開ける。鐘の音がどこかで鳴った

【No. 733 逆応援団】
逆応援団による相手への妨害合戦が始まった。抑揚のない音でやる気を削ぐ淡々七拍子。徐々にリズムが揃っていくけど、最初のテンポが気持ち悪い段々七拍子。タイミングも強弱も全く合っていない散々七拍子などで調子を崩していく。自分を高めるより、足の引っ張り合いの方が元気になるのだ

【No.743 あめのふる】
雷で目を覚ます。ぽつ、ぽつと窓を叩く音が聞こえて洗濯物を干していたことに気付く。急いで外に出ると頭にこつんと小さなものが当たる。毛玉だ。空を見上げれば「ごろごろ、にゃーん」と鳴きながら大量の猫が降ってくる。そういえば、予報では曇りのちアメリカンショートヘアと告げていた

【No.773 讃美歌】
酸欠のように歌う彼女が好きだった。普段は高らかな声だけど、カラオケの採点機能を使うときだけは口を小さめに開く。音程が歯並びみたいに思えて、どうしても気にしてしまうらしい。愛おしくて見つめていると、不機嫌になった彼女が腕を噛む。優しい痛みと共に、歪んだ愛が跡になっていた。

【No.812 テレパス】
「言葉ってふしぎ。声に出さないと聞こえないし、紙に書かないと見えないし」彼女が点字をなぞりながら本を読む。言葉にふれるとは一体どんな感覚なのか。「言葉以外で言葉を伝えるにはどうすればいいんだろう。例えば、  」彼女の指が僕の口を塞いだ。手を繋ぐ。「これで、伝わるから」

【No.813 トイレットーク】
トイレの電気が点いていたので消すと、亡くなった親父の怒鳴り声が響いて驚く。急いで開けても誰もいなかった。その日から扉越しに高校の話、彼女の話、将来の話などを語り明かす。「母さんのこと、よろしく頼むよ」「うん」もうすぐ四十九日だ。未練を断ち切るために、思い出を水に流した。

【No.814 声葬】
私の声が嫌いだから人の声を盗む。誰彼かまわず奪った声は、一文字ずつ切り貼りした文章のように見難くて、醜い声になってしまった。なのに、気付いてほしくて言葉が止まらない。耳も口も塞ぐのに両手じゃ足りなかった。泣き喚いてしゃがれた声を、素敵だと褒めてくれる人がいたはずなのに。

【No.827 サンタマリア】
欲しくもない文房具を盗んだ手で、オルゴールのネジを回す。ぐずっていた娘がやわらかな楽曲に喜ぶ。無垢な子どもを抱きしめる感覚は、夫の首を絞めた感触と似ていて恐くなってしまう。昏い部屋にサイレンの音が差し込む。嫌いなことも、綺麗なことも、気味が悪いほどに、機械仕掛けなのだ。

【No.867 マザーグース】
小学生の頃、先生をお母さんと呼んでしまう癖が抜けなかった。その度に先生は複雑な顔になる。家では一度もお母さんなんて呼んだことがないのに。父の再婚で義母になったのが先生だった。「先生はお母さんじゃありません」離婚によって再び他人となった今、先生の悲しそうな声が蘇ってくる。

No.880 亡き声
「鈴虫の鳴き声が好き。他の虫も綺麗に鳴くようになったらいいのに」「でも、蜘蛛が鳴いたら嫌だろ」弟のからかいに彼女は「そうかも」と身震いする。「鳴くのも素敵なだけじゃないのね」そんなことはない。僕が亡くなった日の夜、人知れず泣いていた彼女の声は、とても美しかったのだから。

【No.887 悠久童話】
司書さんの絵本読み聞かせが大好きだった。寄り添うような話し方は僕を安心させてくれるけど、絵本を読むときにしか声を出せないらしい。数十年経って図書館に訪れると、おばあさんになった司書さんの姿があった。絵本を読む声はしゃがれている。けれど、あの日と同じように澄み渡っていた。

【No.895 未確停車】
電車で隣の人と話すのは何も思わないのに、誰かが電話をしていると苛立ってしまうのはなぜだろう。マナーとか常識とか、そういった曖昧なもので他人に嫌悪感を持ってしまう。なんとも悍ましい心情だと悟った瞬間、不規則な揺れが自分をどこに運ぶのか。終着点と進行方向を失って身震いする。

【No.908 夜紛い】
目が見えない彼女のために点字の勉強をしている。思えば、指先で言葉を感じるなんて不思議な体験だ。モールス信号、手話、背中になぞる文字。声以外に気持ちを伝える方法があることを幸せに思う。人差し指で不器用にも机を叩く。ツーツーツートンツー、ツートンツートンツー。彼女が笑った。

【No.−001 anti anti flower】
『花の環境実験』イベントが開かれた。綺麗な言葉をかけると花は綺麗に咲く。反対に、誹謗中傷を続けていると花は枯れてしまうという実験だ。ステージの上で、アクリル板の外から顔の見えない大勢の声が響く。このイベントが終わったら、帰って何を食べようか。何を見ようかと楽しみになった

【No.-014 ラムネと人魚】
その声は物体になることができた。元気な少年の声を出せば元気な少年の姿に、あどけない少女の声を出せばあどけない少女の姿に変容する。声はラムネ瓶にするりと入り込み、知らずに飲んだ人魚の喉元に声が戻っていく。やがて、小日向の射す海岸沿いには人魚の歌を聴く人で溢れていた

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652