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色彩140字小説まとめ②

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【No.328 アローンアゲイン】
僕が子どものころ、屋上遊園地で着ぐるみから風船をもらったことがある。当時はそんなに多く風船を持っていて飛ばされないかと本気で不安になった。親になった今、久しぶりに屋上遊園地に訪れる。ふと、風船が手から離れた。空の彼方に消えていく赤い風船が、亡くなった子どもの魂と重なった

【No.330 色の洪水】
入院している同級生のお見舞いに行く。窓際には千羽鶴が飾られていた。彼女が「これ見て」と一羽の鶴を糸から外す。紙を開くとそこには悪口が書かれていた。一羽一羽、たぶん全てに。彼女が千羽鶴の糸を引き抜く。夕陽と混ざって色の洪水を起こした。綺麗なその様を、ただ、ただ、眺めていた

【No.340 収束する光】
その夜、国の至る場所で花火が上がる。夜空には光と音が広がるばかりで姿は見えなかった。誰もが色のない花火を探して空を眺める。頼りのない透明な合図だ。下ばかり向いて歩いてきた日々が、意味が。今、多くの人が上を向いて、標として浮かぶ月をただ、ただ言葉を飲み込んでは見つめていた

【No.347 くろとしろ】
世界中の白と黒が入れ替わってしまった。パンダやシマウマ、ダルメシアンの柄は白と黒が反転して、オセロの駒と囲碁の石、サッカーボールも白と黒が逆転してしまう。世界中の白と黒が入れ替わる。この未曾有の現象に数日は慌てふためいたけど、世界が混乱に陥ることは、まぁ、特になかった

【No.351 少女風鈴】
朝、目覚めると体が透明になっていた。血管も筋肉も見えなくて、まるでガラス細工の風鈴にでもなったみたいだ。窓から入り込む風が私の体を揺らすと、リリン、リリンと音が鳴る。『透明になって誰からも忘れ去られたい』と、そう願ってしまったからだろうか。リリン、リリンと鈴がまた鳴った

【No.358 炉心融解】
牛乳をコップに注いで一分半温める。僅かに張る膜を人差し指で救い上げて口の中に入れる。美味しいわけではないけど昔からの癖だった。ココアパウダーをコップの中に落として軽く混ぜ合わせると、白と薄茶のコントラストがくるくると回転して、やがて一つになる。溶けて、融けて、解け合う

【No.362 透明になる薬】
透明になる薬を飲む。本当に誰も僕のことが見えなくなって楽しくなる。ある日、集合写真から僕だけが消えていた。それだけじゃない。映像、記憶、僕が関わった全ての事象が失わ⠀ て僕の存⠀ が消えな⠀ ように、急いで文字に⠀ て残す。⠀ 葉が届か⠀ くなる。「⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀⠀ ⠀ 」

【No.386 息を吸うように、息を吐く】
私は呼吸が下手だ。馬鹿だから、息を吸っているのか吐いているのか分からなくなる。冬は口から白い煙が漏れ出して、今は吐いているんだなと理解できる。昔、迷子になった私を見つけた姉から「あんたの吐く白い息が目印なのよ」と言われたことがある。思い出して、息を吸うように、息を吐いた

【No.391 黒泥棒】
黒泥棒が現れた。オセロ、碁石、サッカーボール、チェス、パンダ、シマウマ、ダルメシアン、ホルスタイン。世界中から黒という黒を奪っていくのだ。特に困ることはなく今日も会社に赴く。するといつもは横暴な上司がやけに優しかった。変に思っていると、なるほど。ブラック企業だったのか

【No.417 ベストピクチャー】
真っ白な部屋だった。ふと気が付くと、床に一本のマジックが置いてあった。どうぞお好きなように。そんな風に囁かれたような気分になって、次の瞬間には壁を塗りたくっていた。どうぞお好きなように、どうぞお好きなように。次から次へと描きたい事が溢れて、何も考えずにひたすら描き続けた

【No.424 味のある絵】
「私の絵、うまいですか?」と美術部の先輩に評価してもらう。先輩は「見た目はうまいんだけどな」とキャンバスを食べ始める。「ちょっと脂っこいというか、深みがないんだよね」なるほど。その場で小豆色、栗色、蜜柑色を加えてマイルドにする。もう一度試色もらうと「うまいなぁ」と笑った

【No.442 よふかしのうた(いろは式「よ」)】
予習のために参考書とにらめっこする。ふと息抜きに昔はやっていたSNSを開く。赤文字で『新着コメントが1件あります』と表示されていた。昔はあんなに喜んでいたのに。大切になれなかった子の、最後の繋がりだった。赤文字をチェックシートで隠す。あの子の言葉も、思い出も、見えなくなった

【No.461 エンドカラー(いろは式「え」)】
映画の終わりにスタッフロールが流れると一気に熱が冷めてしまう。あんなに感情移入した物語も、所詮は誰かの作り物だったのだと。電車を待つ間にビルの明かりを見つめる。ホームの白線も、信号機の青も、結局は誰かに与えられた色と、仕組みと、理で、それが運命だと思い込むしかなかった

【No.465 金華猫(いろは式「き」)】
金色に輝く猫が倒れていた。調べてみると金華猫という種類だそうだ。エサは宝石しか食べないという。貧乏な僕にそんな高価なものは無理なので、代わりにビー玉を差し出す。弱々しく食べ始めると、飲み込んだはずのビー玉が宝石に変わって吐き出される。小さく鳴いたあと、金華猫は光を失った

【No.469 仕舞う魔(いろは式「し」)】
白か黒かで物事を分け隔てて、なんでもかんでもお腹に収納してしまう『仕舞う魔』がいるらしい。不倫したミュージャンは、曲に罪はないと白になって、優しい嘘は、嘘は嘘ということで黒に判別される。正しい感情と間違った情報が『仕舞う魔』のお腹の中で、灰になって消化されずに腐っていく

【No.473 青春のヒビ(いろは式「せ」)】
「青春」をテーマに美術の授業で絵を描くことになった。バラ色の日々を表現するために赤や黄色の絵の具を買い込んだり、文字通り青臭さをイメージして青系の絵の具を集めたりした。思い出せる限りの私の青春をキャンバスに描き込む。なのに、なぜだろう。灰色の絵の具だけがすり減っていった

【No.476 デモンストレス】
試食するために子どもがつまようじでベーコンを刺すと、おばさんが「端から並べてるんだから、もっと綺麗に取りなさいよ」としゃがれた声で睨む。そうこうしている間にベーコンに焦げ目が付いていく。無垢な子どもから荒んだ大人へ。まるで、グラデーションのように変化していく様と似ていた

【No.508 未海域】
緑色に濁った海を冒険する。得体の知れない泡が立ち込めて、視界を遮るように煙が発生する。我々より数十倍の大きさである『何か』が海に飛び込むと、怒り狂う荒波が襲ってきた。『バブ』と呼ばれる海域を抜けて、隊員をなんとしても守り抜かなければならない。この、アヒル隊長の名にかけて

【No.519 観覧車占い】
私の住む家からは観覧車が見えた。朝、仕事へ向かうときに観覧車を見ては一日の運勢を占う。一番上の観覧車が赤色だったら恋愛運。黄色だったら金運が良いといった感じだ。辛い日が続く。暗いニュースばかりが流れる。それでも、下を向いてるだけでは駄目だ。観覧車を見上げる。今日の色は——

【No.551 ロストカラー】
歯ブラシが青、黄、赤と並ぶ。僕、母、妹の歯ブラシは信号機のように仲良く揃っている。妹はいつまでも自分の色がわからず、たまに僕の青色を使っていた。それが嫌だった僕は、走ることが大好きだった妹に「赤は進めの赤だよ」と嘘を教える。不必要になってしまった、赤色の歯ブラシを捨てた

【No.553 ぷるぷる】
空から色とりどりのぷるぷるとしたものが降ってくる。落ち潰されないように物体をひたすらよじ登っていく。必ず二個一組で降ってくる物体は街中を埋め尽くした。やがて、見えない天井に阻まれたかと思うと、物体が次々に消えていき、どこからか女性の声が「ばよえ〜ん、ばよえ〜ん」と響いた

【No.595 透明な膜の】
ショーウィンドウに青空と入道雲が映り込んでいた。麦わら帽子を被った顔のないマネキンと無愛想な私が並ぶ。青信号を待っている間に夏が終わってしまう気がして焦っていた。不安も、泥濘も、平穏すらも叩き割ることができたなら。透明な膜の外側にいるのか、内側にいるのか、それはまだ――

【No.620 飛び出す絵本】
娘が飛び出す絵本をねだる。高価だし後片付けが大変だ。しかたなく『浦島太郎』を買って帰宅する。「お庭で開くのよ」という言葉を無視して、娘がすぐさま絵本を開いてしまった。浦島太郎、亀、乙姫が勢いよく現実世界に飛び出しては、部屋中に海水が満たされていく。他の本にすればよかった

【No.638 暗号文】
母からの置き手紙に「【暗号】お買い物に行ってきます。今日の夕ご飯は『たたたたたたたたたたたたたたたたたたカレーライスたたたたたたたたた』です」文章と共に十本足で目が四つもある紫色の化け物が描かれていた。そんなわけ絶対にないだろうけど、たぶんタヌキの絵なのかもしれない

【No.672 色泥棒】
色泥棒が捕まった。高校生達の青春、俳優への黄色い声援、部活の紅一点。多くの色が持ち主の元へと戻っていった。捕まった色泥棒は、色を失った被害者の気持ちを知るために、罰として白黒の塗り絵を塗らされることになる。パンダ、シマウマ、アリクイ。面白味のない塗り絵に泥棒は涙を流した

【No.756 青春の味】
高校生になって初めて彼女ができた。不器用なのにお弁当を作ってくれて嬉しくなる。彼女が「せっかくの手作りなのに茶色ばっかりでごめんね」と目を伏せる。そんなことない。絆創膏から滲む赤色と、薄桃に染まった頬。長い黒髪が揺れる。彩り豊かな、青春にも似たやさしい味が心に広がった

【No.772 拠所】
読んだ絵本の名前は忘れてしまったけど、布団に丸まって私と兄は絵本を眺めていた。大人になった今でも、私達は布団の中で絵本を読み合っている。一つの幸せを得る代わりに、非常に多くの当たり前を失ってきた。『けれどもほんとうのさいわいは一体なんだろう』幼いころに読んだ本の文章だ。

【No.789 キリトリ線】
切り絵作家の記事が載っていた。命そのものを切り取ったような絵は、おぞましさすら感じる。「人間をモチーフにした作品がないのは、何かこだわりがあるのですか?」確かに、作家の切り絵は実在しない動物ばかりだ。本人いわく犬や猫と呼ぶらしい。「えぇ、私もまだ生きていたいですからね」

【No.833 フローライト】
許すことが美徳で、認めることが美学なら、この世は醜いもので溢れていた。「海は青色で塗りなさい。それに――」右利きに矯正させようと伸ばした先生の手が、筆洗いバケツに当たって濡れた絵を思い出す。卒業アルバムに綴った将来は、正しく、正されて、描きたかった色を忘れたままでいる。

【No.848 リペアレプリカ】
『人類の繁栄と衰退展』に訪れる。学芸員に案内されながら館内を回ると、額縁や台座には何も飾られていなかった。「ご存知の通り人類は滅びましたが、その原因としましては──」機械人形の瞳が揺れる。ガラスケースの向こう側で、顔の崩れた聖母マリアとキリストの絵がこちらを覗いていた。

【No.887 悠久童話】
司書さんの絵本読み聞かせが大好きだった。寄り添うような話し方は僕を安心させてくれるけど、絵本を読むときにしか声を出せないらしい。数十年経って図書館に訪れると、おばあさんになった司書さんの姿があった。絵本を読む声はしゃがれている。けれど、あの日と同じように澄み渡っていた。

【No.911 スノーホワイト】
「透明人間の吐く息は透明なのかな」映画館の帰り道、彼女が真剣に話していたのを思い出す。凍結路のスリップ事故で亡くなった彼女を誰も覚えていない。雪のように白い肌も、寒さに揺れる瞳も、今では透明になってしまった。あの夜、僕が彼女を誘わなければ。後悔が積もる。未練が溶けない。

【No.913 斜光】
涙彩絵具で本を読む彼女を描く。嬉しいときに流す涙、悲しいときに流す涙で絵の透明感は変わる。穏やかな別れの午後に、安寧を色濃く塗るほど思い出は淡くなった。後悔も、未練も溶かしたホワイトアイビスの紙が滲む。頬を伝う彼女の涙も知らず。某月某日、某所にて。まがい物の笑顔を描く。

【No.914 思い出の値段】
私が社会人になったことを叔父に報告すると、記念が詰まった領収書を持ってきた。初めての誕生日プレゼント代、一緒に観た女児アニメ映画のパンフ代、絵を描くきっかけになった色鉛筆代。なんだか思い出が印字されてるようで嬉しかった。叔父が笑う。「まぁ、お金は少しずつ返せばいいから」

【No.-017 ベル】
水彩絵の具で手紙に絵を描く。小窓を開けて鈴を鳴らすと、青い鳥が飛び込んでくる。青い鳥は手紙を咥えてどこかへ羽ばたくと、やがて多くの感想や感情を持って帰ってきた。毎日、毎日、鈴を鳴らして絵手紙を誰かに送る。顔も、声も知らない人達に向けて。今、五十回目の鈴が辺りに鳴り響いた

【No.-020 何者】
手作り絵本の最後のページはまっしろだった。小さな女の子が夢を見つけるために、くじらに乗って星々を巡る。確か、就活前に趣味で描いていたものだ。自分が「何者」にでもなれると信じて始めた演劇も、気付けば「私」がいないと知ってやめてしまった。絵筆を取る。最後のページは、まだ――

【No.-061 白線の内側】
子どものころに描いた未来を、大人になった私が塗り潰していく。次の機会を、将来を。心の中のホームで乗るべき明日を見定める。何一つ言われていないのに、小さな私の幻想に向かって「その道を歩くのは危ないよ」と嗜める。自分で引いた白線の内側で、不安が通り過ぎていくのを待っていた

【No.-066 明滅信号】
誰も見ていなくても、車が通っていなくても、横断歩道は必ず青になってから渡る。この先、新しい何かに挑む機会が私にあったとして、ズルをしたという気持ちに苛まれてしまうからだろう。私が未だに立ち止まっているのは赤信号が変わるのを待っているから。なんて、言い訳にして足踏みした

【No.-076 もちもち】
雪見だいふくを食べるときは彼女なりのルールがあった。最初に皮を食べ切ってからアイスだけを口に含む。もっちりした感覚を先に楽しめば、しっとりした食感がより際立つと言う。おかしなルールだなと思いつつ、彼女の白くてふっくらとしたほっぺをつつく。愛情を示す僕なりのルールだった。

【No.-105 命にふさわしい(藍煩い㉒)】
河川敷に座って絵を描く。瞳が藍色に変わっても、見える景色は変わらない。僕を見るみんなの目が変わっただけだ。画家になりたい。という夢の見過ぎで視力が悪くなる。午前十一時、まっしろなキャンバスに、まっしろな絵の具を塗りたくった。これほど命にふさわしい遺作が他にあるだろうか。

【No.-113 泥塗れ】
仕事もせずに絵描きを目指している彼に「贅沢は言わないから、慎ましく生きていたい」と皮肉を込めた。彼はキャンバスから目を離さずに「慎ましく生きる事が贅沢だと思わない時点で、実に贅沢だと思うよ」と吐き捨てる。どろどろに腐敗した絵の具が、私達の行く先を暗示しているようだった。

【No.-124 命を描く】
額縁描きに絵を頼む。そのものではなく、絵を飾る額縁の方を描いてもらうのだ。登場人物の物語を彩るように、水彩で象られた額縁が淡い明かりを生み出す。彼女の手にかかればどんな後悔も、未練も、額縁に飾って思い出に仕立てる。光を直視できない人にとっての、安らかな救いとなるように。

【No.-125 フラクタル】
坂の上の研究所で色の実験をしている変わり者の学者がいた。この世界には白と黒の二色しかないのに、新たな色を生み出そうとは馬鹿な考え方である。何度も、何度も、何度も、失敗を繰り返して、今までの積み重ねが無色透明になっても探求は続く。いつか、世界中がいろんな色で溢れるように。

【No.-151 雪葬】
雪合戦に興じる子ども達を横目に、まっさらな歩道へと踏み出せずにいた。綺麗なものは汚したくないくせに、少しでも濁ってしまえば気にしなくなる。私のせいじゃないからと『誰か』を言い訳にする浅ましさを、雪の中に埋めて消えたかった。白い吐息が揺れる。私の軽薄な命が、しんしんと――

【No.-173 色災の街(正しい街の破片③)】
街に足を踏み入れた瞬間、私のつま先から色が失われていく。古い写真のようにモノクロになった体と景色を眺める。過去に色の大洪水が街を襲ったそうだ。身を寄せ合い、少しずつ色を取り戻しながら復興を目指す。目の色も、肌の色も、この街では等しく。そこに人種や国境なんて関係なかった。

【No.-183 額縁の街(正しい街の破片⑬)】
花や鳥、風や月に額縁が飾られていた。「私達は、主役じゃなくていいのです」額縁描きが微笑む。住民達は小さな物語を彩ることができれば幸せだと話す。展望台から外を眺めると、街に額縁が飾られていた。きっと、みんなが主役なのだろう。誰かを想い、何かを願える淡く輝いた人達、全てが。

【No.-187 糸結の街(正しい街の破片⑰)】
住民の指に彩り豊かな糸が繋がっていた。恋仲なら赤い色、憎んでいる人なら黒い色と、関係が糸によって可視化されるのだ。醜い本音を隠そうとも、否が応でも感情が筒抜けになってしまう。糸だらけの街に絡まっては息苦しさを纏った。結ばれた糸の先を拒むように、どこにも踏み出せずにいる。

【No.-197 嘘吐の街(正しい街の破片㉗)】
羽の生えた人々をみな怯えるように暮らしている。虹色の羽を持った女性が街の地下に閉じ込められていた。嘘を吐く度に成長する羽は、吐いた種類によって色が増えていく。綺麗なはずの象徴が忌むべき形状に変わる。「それでも、私達は生まれ育ったこの街が好きです」体が蠢く。背中の羽は――

【 No.-198 胡蝶の街(正しい街の破片㉘)】
命を落とす瞬間、建物が崩れる一瞬にそれらは胡蝶に変わっていく。セルリアンブルー。アリザリンレッド。マゼンタ。明滅する無数の蝶が街を覆い尽くす。体の色が感情を示しているようだった。人差し指に橙色の蝶が止まる。懐かしい気がした。街も、私も、胡蝶が見ている夢なのかもしれない。

【No.≠015 命画】
私にはラクガキを実体化させる力があった。血の繋がっていない娘のために、おもちゃの絵を描いていたある日、娘も猫のラクガキを実体化させた。あぁ、やっぱり私の子だと愛おしく思い、娘を強く抱きしめる。涙が流れ落ちた。頬に触れた先から娘が滲んでいき、やがて一枚の絵に戻っていった

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