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許してあげている

自分のウチの窓から見える
早朝の空の、青みがキライだ
また一日がはじまってしまうのか
今日を生きていかないといけないのか
そんな気持ちになって
たまらなくなってしまうから

自分のウチの窓から見える
夕陽の、あのオレンジがキライだ
明日という日は、きちんと来ますよ
また明日、決まった時間に
お会いしましょうね
なんて、夕陽が言っているようで
胸がはりさけそうになってしまうから

自分のウチの窓から見える
深夜の、あの暗闇がキライだ
あの暗闇は、外にいるくせに
ウチの中にいるわたしなんかより
ぜんぜん、さびしそうにしてなくって
そういうとこが、なんだか、生意気で
まったく、好きになれない

けど、深夜、外を歩くと
ときどき、あの暗闇が
ねこに会わせてくれたりする
だから、深夜のあの暗闇は
生意気ではあるんだけど
しかたなく、許してあげている

ねこに、みちびかれ
暗闇をすすむのは
案外、わるくないものだ

暗闇をすすみながら
世界が、ねこと暗闇だけで
埋めつくされてしまえば
いまより、少しは……

なんて、起こりもしないことを
真剣に、考えてしまう



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