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地方創生の持続可能なお金のシステムってなんだろう?

地域創生、地主学研究家のANDY学長です。

きょうは地方創生における「持続可能なお金のシステム」について一緒に考えていきましょう。

さて、まずはこの「お金のシステム」を考えるとはどういうことか?

たとえば、
・地方創生に必要となるお金ってどうやってもらう?
・借りたお金をどうやって返していくの?
という話がありますよね。

そのお金のシステムを、簡潔にいうと、現在の日本の地方創生では、政府(内閣府)が掲げる定義と目的のもとで、政策に基づいた交付金や補助金(お金)を使い、課題を解決していくっていう流れになっています。

参照リンク:「地方創生の総合サイト」(内閣府)

そのゴールには当然、成果目標だったり、収支目標だったり、いろんな目標を立てるべきですし、課題を解決していくまでにどれ位時間がかかるかも想定していかねばなりません。

じゃあ他の国はどうかというと、実は、地方創生をする背景や定義は似ていても、意思決定の方法やお金の流れというシステムはまったく違うのです。

たとえばお金の流れでいえば、資本主義的には、投資をして利益を得るシステム(小さな政府)ですし、社会主義的には、個人や市場の意思に任せずに社会全体で共有するシステム(大きな政府)があります。

日本では、よく、個人には資本の所有を認める資本主義と、公共や政府には平等サービスを重んじる社会主義が併存しているねっと言われます。

「公共サービスに投資対効果を求めるんじゃない!」と言いながら、そのサービスが破綻すると、投資に失敗したのは行政や自治体が悪いからだという、、お金のシステムはごちゃごちゃになっています。

北海道芽室町の第3セクターが運営し破産手続きの開始決定がされた「新嵐山スカイパーク」

実は、経営に正解はないんですよ。
でもお金の流れと責任は問題ですよね。
(※行政はそもそも経営者じゃないし)

なので、きょうはお金のシステムを考えていくうえでのきっかけをみなさんと考えていきましょう。

1. そもそもシステムってなに?

システムというと、みなさんはどんなことを思い浮かべますか?

一般的にシステムというと、パソコンの基幹となる「情報システム」であったり、経営でいう組織やお金の流れなどの「経営システム」であったり、つまり自動的に動いていくようなイメージがありますよね。

システム(英: system)とは、多数の要素が集まってまとまりを持った組織や体系のことである。システムの語源は英語のsystemで「組織」「制度」「体制」「系統」「仕組み」という意味。

(Weblio国語辞典)

じゃあこれを地方創生にあてはめると、まちづくりや活性化を目的としたイベントやPR等の取り組みを実行する。それが持続可能なシステムになっていれば自動的にどんどんうまくいく。

神奈川県の磯子タウンマネジメント(まちづくり)の様子

でも、地方創生ってなかなかうまくいかないのはなぜだろうか?って考えみると、経営に置き換えてみることで深堀できていきます。

たとえば、
・組織や体制がうまくいかないのか?(ヒト)
・資産がうまくいかないのか?(モノ)
・お金がうまくいかないのか?(カネ)
・制度がうまくいかないのか?(情報)
というかたちで経営的に分解していきます。

行政はそもそも予算に対して、「歳入」と「歳出」しか項目がないし、利益を出すことや、経営で拡大することが目的ではないから、投資対効果を考えることはそもそもシステム(評価軸)になさそうです。

1.1 社会システムってなに?

では、社会システムについても考えてみよう。

さきほどのシステムの中で、情報システムや経営システムとおなじように、社会にもシステムが存在するってことです。

社会システムとは、20世紀の社会学で中心的役割を果たした、社会を1つの全体的なシステムとしてとらえる理論。

(ことばんく)

急に難しくなったように思う方もいますよね。
じゃあ、ちょっと話を分解してみよう。

たとえば、私たちの生活や経済のシステムに関わる人たちを一つ一つ分解してみましょう。

国   日本
政府  地方自治体
市場  資本主義/社会主義
企業  株式会社
学校  国立、私立、市立
地域  組織、団体
個人  家族、自分

というように、組織や役割を切り分けて、地域社会の構成メンバーをひとつひとつ組み合わせて、社会を動かしていく。

つまり、これが社会システムになっていきますね。

地方創生をしていくうえではどんな地域社会の構成メンバーと付き合わないといけないのか?という前提条件が見えてきます。また、ここがうまくいってないから制度や仕組みもうまくいかないのかな?と洞察も深堀りできますよね。

この社会システムを動かすうえで、やっぱり国が何を考えて動いているのか?をまずは知ることが重要ですよね。


1.2 日本の社会システムってなに?

日本は欧米型の資本主義だよね?ってよく言われます。

でも社会主義なところもあるから、日本は平等でいい感じよねという、、
ふわっとしたところも言われます。

じゃあこの、〇〇主義については簡単におさらいしよう。

①資本主義 ケインズ「雇用・利子および貨幣の一般理論」
私有財産が認められる分、経済格差は生じやすい

②社会主義 マルクス「資本論」・エンゲルス(科学的社会主義)
より平等で公正な社会を目指す運動や思想

③共産主義 ②の発展
私有財産を認めず、生産手段や資本・財産の社会的共有と管理を目指した思想・体制

④新古典派経済学 マーシャル(自由放任主義)
①が経済成長と階級間分配に関心があるのに対し④は交換と資源配分を重視

日本の社会システムでいうと、国の政策が④新古典派経済学っぽくて、行政や自治体が②社会主義で、民間企業が①資本主義といった、トリプルスタンダードですかね。

いや、日本はもしかしたら④の先をいく、将来だれかがお金を払ってくれるので、今は資源配分だけ考えておこうという錬金術主義かもしれませんね。

いずれにせよ、このような哲学者がいて、国のシステムはこのようにするといいよねと設計・構築し、それが社会を動かしているってことがわかれば、国というのも経営と一緒だよねと分かってきますね。

1.3 お金のシステムってなに?

さいごに、最近よく話題にでる、地方創生のお金のシステムについてです。

地方創生におけるお金の流れについて、みなさんはお金をどう集めるべきだと思いますか?

お金はやっぱり
・市場(投資家)からあつめる
・補助金や助成金をつかう
・社債を発行する
というくらいの手段しかない。

結果として、地方創生をお金の流れを考えると、やはり社会システムに沿った考え方が前提となっているといえますね。

①資本主義であれば、
株主や所有者という投資家がおり、ビジネスをする。1億円投資したら1000万円ずつ返済(10年返済)する。

②社会主義であれば、
補助金や交付金を出し、政策に沿って課題を解決する。ユニバーサルサービスを基本にし、行政や自治体から公募した課題を事業者が解決していく。

③共産主義であれば、
私有財産を認めず、行政や自治体の公共資産を、計画に沿って管理していく。GDPや成長率、雇用率という指標を参考に計画的に予算をつける。

地方創生の失敗の多くは、補助金や交付金で出したお金に対する投資対効果が図りにくく、なにをもって成功(お金?)するのかの定義があいまいであるというところです。

日本国内で、この地域が人口増加だから成功だと・・・これを繰り返してもやばいということをみんなも薄々は分かっているんですよね汗。

さいごに:コミュニティ資本主義とは?

私が最近重要だとお伝えしているのが、

コミュニティ資本主義
という社会システムです。

地域社会がコンパクト化、国際化していくなかで、今後はコミュニティの存在と多様性が顕著となり始めています。

地域=組織、団体

からテーマやコンセプトに沿った地域づくりが人口集約のカギになっていきます。

また、これまでの経済学や経営学では、
政府×市場(公共×個人)
という2つの軸での社会システムが中心でした。
今後は第三の軸である「コミュニティ」について深堀をしていきます。


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