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テイルウィンドを追いかけて

いつかの昨日を待ちつづけるから
夢は色濃くなる

読みかけた本の隙間にいれた指の
隙間から見えたことばは雨の色

羽化しない繭に横顔が映る
低い鼻頭は産毛を帯びており
発光して見える

読みかけた本に顔を伏せるように
記憶にすらならない
隙間も忘れてことばは今満ちる

ポニーテイルが揺れる
雨を嫌がって束ねいて揺れて
雨をけた、けた

浮腫む無垢
見続けるほど色は濃くなり
濃くなるほど
重荷になってしまう

ポニーテイルが揺れる
嬉しいときだけだったなら良かったのに
ときどき泣くのを我慢して
傘もささずに走って揺れた
傘をささずに走って濡れた

どこまでも走るよりなかった
どこにもいないのに
どこまでも走るよりなかった
どこにも行きたくなんかないのに
どうすることもできないから走るよりなかった

ポニーテイルが揺れる
嬉しいときだけだったなら良かったのに
ときどき泣くのを我慢して
傘もささずに走って揺れた
傘をささずに走って濡れた

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