見出し画像

VIVE XR Elite 体験記事 (辛口注意)

はじめに

HTC NIPPON株式会社により実施された体験会に参加させていただきました。まず最初に、無償でこのような機会をいただけたことに感謝を表明させていただきます。VRデバイスは個人個人で合う合わないはあるものなので、実際に触って試すことができる機会は非常にありがたいものです。

今回は残念ながら、私には合わないものだったので、レビューは厳しめになります。HTCのファンの方や、既に購入意欲が高まっている方には、読んでいて気分の良いものではないと思います。どうかこれ以上は読まず、閉じてしまってください。

筆者のVR所有歴

Oculus Rift CV1
HP Reverb
Valve Index
Oculus Quest
Oculus Quest 2
Quest Pro
PICO4
Pimax 8KX
(PCVR以外ではPSVR、Gear VR)

それなりに多くのVR機器を購入しており、経験豊富なほうだと思います。これらの機器と比べての感想を述べさせていただきます。

装着感

PICO4、VIVE XR Elite (バッテリー付) > CV1、Reverb、Index、Quest 1 > Quest Pro、Quest 2 (エリートストラップなし)、VIVE XR Elite (グラスモード) > Pimax 8KX
(装着感は個人差による部分も大きいと思います)

グラスモード

背面のバッテリーを外して、前面のHMDだけ、眼鏡のような形のグラスモードのときの装着感ですが、やはり重量バランスが悪いです。簡単にずれてしまい、下を向いたときには落としてしまわないか不安になりました。

昔使用していた57gの3D VISION 2メガネでさえ、長時間の使用では左右の耳かけや、鼻の頭への負荷が不快でした。一方、こちらは273gです。VR機器というくくりでは軽いとはいえ、メガネのフォームファクタとしてはかなり無理があると思います。

通常モード

背面のバッテリーをつけた状態は普通…、でしょうか。特別良いと感じることもなければ、悪いと感じることもなく、PICO4と同じような感覚です。ただ、後述する頭頂部バンドが良くありません。

頭頂部バンド

Quest Proも頭頂部のバンドがなく装着感が悪いので、ユーザーによって頭頂部バンドを追加するハックが編み出されましたが、それをメーカーが最初から用意してくれている、ということですが…。

最初から普通にPICO4のような形にして欲しかったところです。装着時、紐のようなバンドがひねられてないよう整えて、頭の上にきれいに這わせるようにしないといけないのが煩雑です。

もちろん、このバンドは取り外すこともできますが、Quest Proの経験上、頭の上のバンドがないと強く締め付けることで固定するしかなくなるため、装着感は悪くなります。

やわらかい紐なので簡単にねじれてしまう

視度調整

近視を補正する視度調整機能があります。調整ダイヤルは0から6まであり、体感ではそのままディオプターに相当するように思いました。メガネの度数が-6.0D(視力でいえば0.1くらい?)までの方であれば、HMDの映像を見るのにメガネは不要になります。

一方で、それ以上の強度近視の場合はコンタクトレンズをするか、なんらかのフェイスパッド内に入れられるレンズが必要です。フェイスパッドが小さめのため、普通のメガネは入らないでしょう。

画質

綺麗さ

Quest Pro > VIVE XR Elite > PICO4、Quest 2、Reverb > Pimax 8KX > Index > CV1、Quest 1
(Pimax 8KXが最強ではないの?と思う方もいるかもしれませんが、8KXは視野角が広い分に解像度を割くので解像感はそこまで高くありません。また、レンズの綺麗に見える部分が非常に狭く、全体的な画質も良いとは言えません。2K近くの解像度を持つ他機種のほうが明らかに綺麗です)

VIVE XR Eliteの画質はPICO4に近いと感じましたが、PICO4はレンズに歪みがあり、暗い映像ではゴーストが目立つため、それよりは若干上だと思います。ただ、VIVE Focus 3が2448×2448だったのに、こちらは1920x1920と劣化してしまっています。

個人的に一番残念だったのはこの解像度です。¥179,000というプライスを正当化するには、廉価機のQuest 2やPICO4とは違うレベルの解像度が欲しかった。私の手持ちのVR機器はイレギュラーな8KXを除けば、2Kクラスが最大なので、2.5Kの解像度があれば購入していた可能性が高いです。

視野角

Pimax 8KX > Index > Quest Pro > PICO4、Quest 2 > VIVE XR Elite > CV1、Quest 1、Reverb

スペック上は対角110度ある、ということでしたが、実際にはPICO4やQuest 2より狭い範囲しか見えませんでした。これもかなり残念な部分です。

スペック上の視野角は液晶の表示範囲を表していると思いますが、実際に目から見える部分はレンズの端までになります。VIVE XR Eliteの場合、レンズが小さめなのか、視度調整機能が入っているせいなのか、内部液晶の見える範囲が狭く、スペック上の視野角をいかしきれていないようです。

CES 2023 - VIVE XR Elite - HTC VIVE Keynote ( https://youtu.be/GJ9jTTnUM90 ) より引用
レンズが小さく、実際の見える範囲が狭い
PICO Japan ( https://www.picoxr.com/jp/products/pico4 ) より引用
VIVE XR Eliteよりかなりレンズが大きいことがわかる

この部分は顔の形により個人差あるとは思います。レンズと目の位置が近くなれば見える範囲はより広くなるので、薄いフェイスパッドを使用すれば改善されると思いますが、この価格帯で数があまり出ないであろうハードにサードパーティが独自フェイスパッドを出してくれるかは不明です。似た価格帯のQuest Proでは、やはりサードパーティによるアクセサリーはかなり少なく、独自フェイスパッドはありません。

無線VR

体験会では、SteamVRのカヤックのゲームを、無線VRで試すことができました。遅延や圧縮ノイズを感じることもなく、QuestやPICO4のVirtual Desktopと同等だと思います。

MR画質

VIVE XR Elite > PICO4 > Quest Pro > Quest 2

現状、一番MR画質が綺麗なVRデバイスだと思います。PICO4のパススルー映像がきちんと遠近感をもって見える感じです。

おわりに

これはQuest Proにも言えることですが、やはりハイエンド機には、廉価機とは別格の性能を有してほしいという思いがあります。特にHTCは、実質的に前機種であるVIVE Focus 3で2.5K解像度を実現していたのに、なぜその部分を劣化させてしまったのか残念でなりません。

体験会に行く前は、PICO4を売ってVIVE XR Eliteに乗り換えることも真剣に検討していたのですが…、残念ながら想定を超えてくることはなかった、というか、想定よりすこし下でした。ただ、絶賛されているレビューがたくさん出ているので、私には合わなかった、というだけでしょう。

最後になりましたが、再度、発売前のVR機器を試す機会を与えてくださったHTC NIPPON株式会社に御礼申し上げたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?