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凪ぐ、『ゴールデンカムイ』

『ゴールデンカムイ』を観てきました。ややネタバレありで感想を書きますのでご注意下さい。というか、アレなんですよね。原作を読んでいたらこれはもう、ネタバレも何もないです。

ほぼ完全に原作通りです。

物語の冒頭の日露戦争のシーンから、杉本救出作戦のあたりまでが、登場人物の紹介と共にほぼ完全再現されています。こんなに原作に忠実な映像化って他にあるんだろうかというくらい。びっくりです。

原作の漫画はかなり熱狂的な女性ファンが多くて、出来次第では相当にネットが荒れるのではと危惧していましたが、現状めちゃくちゃ凪いでいるのがクオリティの高さおよび皆の安心を証明していると思います。

映画としてはまず原作導入部のスケール感の提示が素晴らしいので、そのまま映像化することで十分に大作らしい仕上がりになっています。問題は「導入部でしかない」ことで、ここを一本の映画的にどういうオチで締めるのか注目していました。

結果は「主人公のバックグラウンドを最後に提示する」という脚本的な工夫でまとめていましたね。原作では最初からそれはわかっているのですが、映画だとクライマックスに明かす。これが謎解きのカタルシスを与えてくれるという仕掛けです。地味は地味ですが、それでもよく考えたなと感心しました。

キャストも豪華で好演です。特に鶴見中尉役の玉木宏さんの怪演がたまりません。「漫画から抜け出てきた感」では野際陽子さんの月影先生クラスだと思います。原作ファンはこれを拝みに行くだけでも十分に元がとれます。

というわけで、満足の仕上がりでしたが、キャラクターが大暴れするのはまだまだこれからなので、続編も楽しみにしたいと思います。

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