見出し画像

2016年10月のこと

作品を描き上げ、梱包する段階になって少々体調を崩した。

そして搬入の前日に入院、会期前日に転院。転院先で虫垂炎と診断され急きょ手術をすることになり、そのまま20日ほど入院することになった。基本的な虫垂炎をよく知らないのだが、虫垂炎にしては入院が長かったようだ。最初の段階で腹痛を数日間我慢してしまったことが良くなかったらしい。先月末に外来での抜糸が済み、一連の治療は終わった。

一方、藍画廊での個展は画廊のスタッフと私の友人と身内だけで進められていた。今となっては本当に感謝しかない。これまでは誰にも頼らず1人で頑張らなくてはと意固地になっていたが、入院したとたん真逆の、全面的に人を頼らなくてはならない状況に陥った。しかしこの出来事をきっかけに、信頼した状況に余計なことを考えず身を任せてみることの大切さを知った気がする。

手術前から入院中、心の中で繰り返したフレーズは「まな板の上の鯉」と「実存」。外科はとても明快な場所だった。切って治して貼って終了、あとは経過観察と。医師や看護師で行動や言動が今にして思えば少々苦手な方もいらっしゃったが、その時の私に感情的な反応はほとんど生じなかった。苦手とかどうでもよく、「こういう人なのか」程度に捉えて感情を交えず体調だけを事務的に伝達し、後は自分の療養に集中していた。(もちろん相手の様子によっては世間話もしたが)むしろそうならざるを得なかった。体力に、言葉や態度の裏を感じ取れるほどの余裕がなかったのだと思う。この時の感覚は今でも思い出せる。余計なことを考えていなかったなと。それが元気になるにしたがって、無益なアンテナを張る癖が再び復活しているということに対しては我ながら苦笑してしまう。マイナスな思考というものは身体が健康である程湧きあがるとでもいうのだろうか。

さて、個展会場に一度も行けなかったためなのか、制作に関してだけは余力がある。来年に向けての制作を始めようか…。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?