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日本で公開される映画の多様性を支えているのは、映画の配給会社。アップリンク ・クラウドの『Help! The 映画配給会社』から推しの配給会社を見つけてみよう。

2020年4月8日は、日本の映画館がほぼ全て休館した日だ。このnoteを書いている5月11日現在、地方の映画館は少しづつ再開してきたが、まだ東京の映画館は閉まったままだ。

監督たちの有志により始められた『ミニシアター・エイド基金』のクラウドファンディングは、3億2千万円以上と、ミニシアターを潰すまいという本当に多くの映画ファンの想いが想像もしたことがない大きなお金が集まり、全国の100以上の映画館を助けてくれる。アップリンク にも基金のお金が入金されるので、本当にありがたいことだ。渋谷と吉祥寺の家賃は半端なく大きいが、パルコが休業時の家賃の軽減を申し出てくれるので、渋谷分の家賃を考えなければならないが、正直なところ基金のお金では、全額をカバーできないがすごく助かる。

映画館は、お客さんが訪れる場所でわかりやすいが、そこで上映する映画を配給するのが配給会社だ。映画館が休館となれば、配給会社も映画を配給できなくなり、一気に経営が大変になる。お客さんからは見えにくい存在だが、配給会社こそが、映画祭やマーケットで世界の新しい映画を見つけ、時にはクラシック作品を発掘し、映画館に届ける役目を担っている。日本で公開される映画の多様性を担っているのはそうした配給会社なのだ。

アップリンクは映画館事業と配給事業の両方やっているが、配給事業のほうが大変だ。何が大変かというと、まず先にお金が出ていく。映画を発見して契約する際にまずお金がかかる。作品によって様々だが、契約金は、ミニシアター系の作品なら100万円から1000万円の範囲ではないだろうか。この契約金はMG(ミニマム・ギャランテー)といわれ、印税の先払いの最低保証金となる。映画の場合、権利は劇場で上映する権利、DVD・ブルーレイなどのパッケージにする権利。テレビで放送する権利、そしてインターネットで配信する権利と別れる。それぞれ印税率を交渉で決めるのだが、標準的には劇場が権利元に50%、パッケージが先方に20-25%、テレビが先方に60%、インターネットが先方に50%だ。それら先方に支払う印税の前払いの最低金額がMGという訳だ。売り上げから宣伝費はまず控除されるのが通例だ。

契約してから劇場公開まで、これまた時間がかかる。5月のカンヌ映画祭で契約した作品がその年に公開できれば良い方で、通常1年、遅い場合は2年もかかる。さらに公開前には宣伝をしなくてはならない。この宣伝期間が3ヶ月ほどかかり、宣伝費が大体買い付けの契約金より多くかかる。例えば300万円で契約した作品の場合、アップリンク だと500万円から800万円ほど宣伝費をかける。

すごく単純計算すると、買付金が300万円、宣伝費が600万円だとすると、事業総体が900万円で、その額をリクープするには、劇場と配給会社の分配を5割とすると、1800万円の興行収入をあげなくてはならない。『パラサイト』の46億円というのは奇跡を通り越して、太陽が地球とぶつかるくらいのことなので、最近では2000万円の興収というのは一つの壁ではないだろうか。いわゆるミニシアター系の興収は、それ以下の作品が多いということだ。

で、入金となると映画の上映が映画館が終わってからとなる。最初に映画の権利代を払ってから最低でも1年以上。そして宣伝費を使ってから最低でも半年後くらいに入金となる。それまで配給会社は持ち出しだ。なので、今回の新型コロナ禍で映画配給が中断してしまうと、1作品で1000万円以上かけた資金が全く売り上げが立たず、大変になるのだ。

アップリンクでは、映画館が休館しているので、オンライン映画館アップリンク ・クラウドでの上映(配信)を積極的に行っている。そこで、新しい企画として、先に述べたようにリスクをとって世界の多様な映画を日本に紹介している映画配給会社ごとに「見放題パック」を作り、20社以上が参加する『Help! The 映画配給会社』として、映画ファンに届ける試みを始めた。それぞれの会社がセレクトした個性が出ているラインアップだ。映画のタイトルで映画を見ることが多いと思うけど、こうやって各配給会社の過去作のラインアップを見ていると意外に自分が観ていた映画が一つの配給会社に固まっていることに気づくかもしれない。通常価格のパックとは別に、寄付込みのパックも作ってあるので、ぜひ推しの映画配給会社を見つけ、応援して欲しい。

アップリンク ・クラウド ↓

note内のHelp! The 映画配給会社 ↓









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