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現在、映画館を作っている立場から映画館の換気について説明します

現在、「アップリンク京都」という映画館を京都の烏丸御池に4月16日オープンする新風館の地下1階に作っています。

これから説明することは、映画館が安全だという事ではなく、映画館というのは厚生労働省の管理下の元、各都道府県の興行場法の条例を元にして作っているので、映画館とはこういう換気の基準で作られているということを知って欲しく記するものです。

映画館は密室だから、2時間も映画を観ていると一気にウィルスに感染してしまうと普通は思うのではないでしょうか。ただ、今回の新型コロナウィルス (COVID-19)だけでなく、毎年冬にはインフルエンザが流行するので、興行場法では、映画館内でのインフルエンザ感染予防対策として換気の量を決めています。

具体的には床面積1m2あたり、1時間あたり75m3の換気をしなさいと東京都では定められています。ただし、加湿器を設置した場合は、1時間あたり25m3の換気量でいいとしています。座席1席を0.5m2とすると。1時間あたり12m3、イメージとしては1mX1mの面積が12mある体積の空気が1時間で入れ替わるということですが、想像しにくいですね。で、この数値は満席の場合を想定して換気を行う数値ですので、映画館に観客が半分くらいだと、一人当たりの空気量の換気は十分にされていることになります。

この数値は都道府県によって違い、今、京都の新風観地下1階に映画館を作っていますが、京都は加湿器を設置して空気を加湿をしても換気量の軽減措置がなく、床面積1m2あたり1時間あたり60m3の換気が義務付けられています。

加湿においては保健所の指導は湿度40%を目安にするよう指導されています。換気する空気を加湿する装置が加湿器です。映画館で加湿器はどこに設置されているかというと天井裏ですので通常目にすることはありません。アップリンク渋谷の場合は小さな映画館ですので天井に設置したエアコンにより換気と加湿を行っていますが、加湿が十分ではないので保健所の指導により各劇場内に床置き型の加湿器を設置しています。因みに、アップリンクでは、新型コロナウィルス対策として、換気、加湿とも通常より運転能力を高く設定しています。吉祥寺は通常は風量を大中小の小に設定していますが、現在は大に設定し、加湿は通常40%ですが、現在は43%に設定しています。換気の風切りが音が少し強くなっていますがご理解ください。

換気はウィルス対策もありますが、密室の場合、酸欠の対策でもあります。人は二酸化炭素を吐くので換気を十分にすることは言うまでもありません。

ウイルスの空気感染には諸説あるようですが、保健所によると湿度が低いとウィルスが感染しやすと言われているので、十分な換気と加湿を指導されています。ただ、加湿の基準も都道府県によって違うようで、日本も南の方は冬の東京程乾燥しないのか加湿の基準は違うと聞いたことがあります。

映画館を作ることは、実はこの機械式換気、加湿設備を設置することにかなりの予算が割かれます。普通は換気ダクトは天井裏に隠されていて目にすることはないのですが、アップリンク吉祥寺のロビーで上を見上げていただければ、ダクトが何十匹の大蛇のように天井を這いまわっているのを目にすることができると思います。

換気・加湿の設備のコストは、ざくっと言うと映画館の総予算の3分の1かかります。換気と遮音は相反するので換気ダクトにつける消音チェンバーなどコストがかかります。残りの3分の1は壁と天井とその防音遮音、最後の3分の1はプロジェクター、スピーカー、サーバーなどの映写機器。映画館は換気という衛生面でコストをかけているということを理解してください。

興行場法のもと、換気の数値が定められ、保健所の指導で加湿をされた映画館の空間は、少なくとも満員電車よりは感染リスクは低いのではないでしょうか。

ただ、感染リスクもそうですが、ご自身が発病はしていないけど保菌者という場合も現状の状況を見ているとありえると思いますので、人に感染させることも常にあるということを意識した行動をとることも大事だと思います。

このテキストはどこが安全、どこが安全でないかを記したものではないということを再度お断りしておきます。

トップの写真はアップリンク吉祥寺の換気ダクト、下の写真はアップリンク京都の加湿器です。

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以下、映画館での映画鑑賞を行う場合の注意についてのツイートしたテキストを追加します。

映画館は興行場法で規制され換気は十分にできています。しかし、岩田教授の屋外サッカー場で観戦する場合のウィルス感染の注意を読むと、飛沫感染、濃厚接触を防ぐことが大切とのことです。

――席の横とか前後とかでのリスクの違いはありますか?

あまりないと思ったほうが良いです。一番危険なのは対面で向き合うことなんですね。口とか鼻からウイルスが飛んでいくので。サッカー観戦ではみんな同じ方向を向いてますから、リスクはそこまで高くない。

――後ろでヤジを飛ばしているような人がいても? 唾をまき散らして。

後ろを向いて言い返したりしなければ大丈夫です。ひたすら無視して知らんぷりをして前だけ向いて観ることが大事ですね。

ということでしばらくの間、インド映画などの応援上映の企画は行いません。
誰もが保菌者の可能性があります。熱っぽかたら外出はやめましょう。

映画鑑賞の際には以下のことを守る必要があると思います。

映画鑑賞の際の感染予防のルールとして
1)熱がある、風邪かなと思ったら外出しない
2)入退場時に手を洗う、アルコール消毒する
3)上映中口を開けて、叫ばない、笑わない
4)決して後ろを振り返らない

を守って楽しく映画鑑賞をしてください。

最後に、マスクではウィルスが防げないという記事のリンクも貼っておきます。

5月31日追記:今はマスクをするのは、感染防止というよりも自分が感染しているサイレント・キャリアの可能性があるので、他人に飛沫感染させないためにマスクをするという人が圧倒的多数だと思われます。

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※文系女編集者がわかるまで感染症医に聞いた「マスクが新型コロナ予防にならない」理由。ポイントは「粒子の大きさ」

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70917?media=frau

参考記事
岩田教授のインタビュー
https://www.targma.jp/j-ron/2020/03/04/post727/




一番のサポートは映画館で映画を観てくださることです。 アップリンク渋谷・吉祥寺をよろしく。