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「病気のせいで俺の人生はボロボロだ」異なる心のあり方の謎。

 みなさん、こんにちは。

 今回は、オンラインや当事者会での経験をもとに、精神疾患に対する異なる反応について考察したいと思います。
 具体的には、同じ精神疾患で症状も類似している当事者同士で、一方が「病気のせいで俺の人生はボロボロだ」と嘆き続け、もう一方は病気を受け入れて楽しく友達と過ごし、趣味を楽しんでいる場合を想定します。

 なぜ同じ病気や症状を持つ人々でも、心のあり方がこれほど異なるのでしょうか?

 統合失調症や他の精神疾患において、同じ病気や症状を抱える人々が異なる心のあり方を示すことは珍しくありません。これは、個人の経験、環境、資源やサポートの差異、そして心理的な対処能力など、多くの要因に起因しています。

 以下に、両者の心のあり方が異なる理由を考察します。

 ●個人の経験と考え方
 精神疾患の症状に対する考え方や解釈は、個人の経験や思考パターンによって大きく異なることがあります。一人の人々は、病気を「自分の人生をボロボロにするもの」と見なすかもしれませんが、もう一人の人はよりポジティブな視点を持ち、病気を受け入れて前向きな考え方を採用するかもしれません。

 ●心理的な対処能力
 心理的な対処能力やコーピングスキル(ストレスに対応する技術のこと)は、個人の心のあり方に大きな影響を与えます。精神疾患の症状に対処するために、適切な対処法やストレス管理手法を持つことが重要です。楽しく友人と過ごすなど、自分ができる趣味を楽しむ人は、健全なコーピングメカニズムを持っている可能性があります。

 ●サポートシステムと環境
 個人の周囲のサポートシステムや環境も、心のあり方に影響を与えるでしょう。精神疾患を受け入れて楽しむ人々は、家族や友人の支援を受けている可能性があります。また、適切な治療や精神保健専門家との連携も、心の状態に良い影響を与えると言えます。

 これらの要因が結びついて、同じ病気や症状を持つ人々の心のあり方が異なることがあります。精神疾患は複雑で、個人の経験、対処能力、サポートシステムなどの要素が相互に作用し、心のあり方を形成することがあります。

 次に、心理的な対処能力やコーピングスキルの違いについて詳細に考察します。

 ●経験と学習
 過去の経験や学習は、将来の対処能力やコーピングスキルに影響を与える可能性があります。例えば、困難な状況に直面し、それを乗り越えるために適切な対処法を学んだ人は、同様の状況に対処する際により適切なスキルを持つことができるでしょう。

 ●社会的なサポート
 社会的なサポートは、心理的な対処能力とコーピングスキルを向上させる上で重要な役割を果たします。家族や友人の支援や理解を受けることで、個人はストレスや困難に対処するためのリソースや手段を得ることができます。

 ●個人的な特性
 個人的な特性や性格も、心理的な対処能力やコーピングスキルの差に影響を与えます。例えば、自己効力感や楽観性の高い人は、困難な状況に対処する際により柔軟で前向きなアプローチをとる傾向があります。

 ●心理的なリソース
 心理的な対処能力やコーピングスキルは、個人の心理的なリソースにも関連しています。自己認識、自己規制、ストレス管理、問題解決能力など、個人の心の資源や能力が十分に発達している場合、より効果的な対処やコーピングが可能となるでしょう。

 「病気のせいで俺の人生がボロボロだ」とおっしゃた方は、オンライン上の内容から、高学歴なようで大学を病気のために中退したようです。さらに発達障害(ASD・ADHD)を抱えているようで、こだわりの強さから「認知的柔軟性」の硬さがあるようです。
 「認知的柔軟性」とは、一般に「外部環境からの変化に対して考え方を柔軟に変化させることができる能力」と定義されます。認知的柔軟性が高いと、複雑な状況下でも、複数の視点や見解、多様な考え方を駆使し、それ以前とは異なる選択肢をより多く見出すことができます。
 一方の当事者は発達障害(ASD・ADHD)を抱えており、認知的柔軟性が低い可能性があります。発達障害を持つ人は、固定的な思考パターンを持つことがあるため、精神疾患に対する柔軟なアプローチが難しいかもしれません。

 最後に、「障害受容」についても考えてみました。

 障害を受容できる人とそうでない人の決定的な違いを特定することは難しいですが、以下にいくつかの要素を挙げます。

●心理的な柔軟性
 障害を受容できる人々は、柔軟な思考や心理的な柔軟性を持っていることがあります。彼らは困難な状況に対処するために新しい視点やアプローチを見つける能力を持っており、柔軟に調整することができます。

●自己受容と自己肯定感:
 障害を受容できる人々は、自己受容と自己肯定感が高い傾向があります。彼らは自分自身を否定するのではなく、自分の弱点や制約を受け入れることができます。また、自分自身を価値ある存在として認め、自己肯定感を持つことができます。

●サポートシステムと社会的なつながり
 障害を受容できる人々は、サポートシステムや社会的なつながりを持っていることがあります。家族や友人、専門家や支援グループなどのサポートを受けることで、困難な状況に対処し、障害を受容する力を強化することができます。

●前向きな対処と成長のマインドセット:
 障害を受容できる人々は、前向きな対処と成長のマインドセットを持っています。彼らは障害を乗り越えるために自己成長や学びの機会を見つけ、困難な経験から成長やポジティブな変化を得ようとする意欲を持っています。

 これらの要素は、障害を受容できる人々が持つ傾向や特性を一般的に表しています。しかし、個人の経験や状況によって異なる場合があります。また、障害を受容する能力は、時間をかけて発展させることができるスキルかもしれません。 

 心理的な柔軟性の観点からは、精神疾患によっては「人格水準の低下」を伴うものがあります。(個人的に「人格水準の低下」という表現は別な表現にならないかと思うのですが。)
 思考という点では、複雑なものを単純化して捉えてしまい、簡単に思い込んで信じ込み、訂正が効かない思考様式であること。昔は倫理的だったのに、非倫理的なふるまいになってしまうこともあり得ます。
 個人が複雑な現実を単純化し、誤った信念を抱くことがあり、その信念が行動に影響を与えることがあります。個人の特性によって、心理的な柔軟性が制約されることもあるかもしれません。


 「病気のせいで俺の人生がボロボロだ」と嘆く人に対して、その負担を単純に自己責任とするつもりはありません。精神疾患は複雑で、多くの要因に影響されるものです。
 適切な治療に向けて患者さんは治療の主体者として積極的な役割を果たす必要がありますが、その際には適切なサポートと理解が不可欠になります。
 精神疾患に対する偏見を減少させ、適切な支援を提供することが重要でしょう。

 さらに病気の進行度や症状の重さも、心のあり方に影響を与えます。一方の当事者が病気の影響を強く感じ、人生が困難であると感じる一方で、もう一方の当事者は病気を適切に管理できているかもしれません。したがって、病気の進行度によっても異なる反応を表すことがあるでしょう。

 最終的に、精神疾患に対する反応は複雑で多様であり、個人の経験、特性、環境、そして疾患自体の特性に影響されます。
 支援と理解が提供されることで、異なる心のあり方を持つ当事者たちが、自分自身と向き合い、充実した生活を築く手助けができるでしょう。

 これらの洞察が、精神疾患とその影響について深く理解するのに役立つことを願っています。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

もし、サポートしたいと思っても、そのお金はここではない他の何かに使ってください。僕の方はサポートがなくともそれなりに生活できておりますので。