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映画『おーい! どんちゃん』を観てどうしても記録したくなりましたので。

とても久々にnoteに記録を残します。
先日4/14。目黒シネマにて沖田修一監督作品『おーい! どんちゃん』を拝見しました。普段は感想など記録を残すようなことはしないのですが、アフタートークも含めてとても良い映画体験になったのでこの場に記していこうかと思います。
いつか、未来の自分も見返してほしい。



〇作品紹介


先ずは作品紹介を。
と思い調べてみると沖田監督自身が記したnote記事がございました。
ぜひこちらをご覧ください!

驚くことにこちらは自主映画です。沖田監督が有名になる前の作品ではなく、なった後に製作・公開がなされた作品です。
アフタートークでも語られていましたが、手の空いた俳優さんたちも撮影班にまわされていたそうです。
さらに驚くことに、目黒シネマでのアフタートークには沖田監督自らがオファーをして出向いたとのこと。
宣伝効果も含めて……というようなこともおっしゃられていましたが、まさにその通りで、チケットは前日から完売。横側の通路にパイプイスを並べて開催されるほどの盛況っぷりでした。


〇アフタートークにて



作品についてはいいかなと思うので、私が興奮しっぱなしだったアフタートークでのお話を。
※ここからはネタバレ要素が少しあるかもしれません。ご了承ください。

当日はキャストの方々と登壇。
司会進行はいません。沖田監督自身がその役を務めます。

まず初めに”えのけん役”の『大塚ヒロタ』さんとやり取りで、沖田監督がとても魅力的なことをおっしゃっていました。それは大塚さんに出演依頼を出した時の話です。

「子供が生まれたので、少しいいビデオカメラを買ったんです。それで遊びませんか?」
※沖田監督のnoteから引用いたしました

映画撮影を『遊び』と言っていたのがとても印象的でした。
いえ。もしかすると『おーい! どんちゃん』は、本当に『遊び』だったのかもしれません。
とにもかくにも、それくらい自由な――それくらい等身大な画の連続であったことに間違いはありません。

続いては脚本について。

沖田監督の話では、冒頭で主人公たちがどんちゃんに会うまで(だいたい二十分)しか脚本を用意していなかったそうです。

「それからどんちゃんの成長(どんちゃんができるようになったこと)に合わせて撮りたいシーンが生まれていきました。
 最初はこんなに長い作品になるとは思っていませんでした」

本編は157分あります。
最初は歩くことも、しゃべることもままならなかったどんちゃんが、走ったり、いただきますをしたり、名前を呼ばれたら返事をしたりと、そこにはたしかな”成長”が映し出されています。
この作品を前情報なしに拝見すれば、赤ちゃん役の女の子と幼児役の女の子を起用した”二人一役”の脚本のように思ってしまうかもしれません。
しかしこの作品は撮影に三年間をかけ、どんちゃんを追いかけ続けております。エンドロールが終わると、自転車に乗れるようになったどんちゃんも登場したりと、観客全員がどんちゃんの成長に立ち合った、お父さんお母さんのような気持ちになってしまうのではないでしょうか。
※そういうことを抜かすやつに限って結婚もしてなければ子どももいないんですよね…


ほかにも『引っ越しのシーンに合わせて引っ越した家に、いまも沖田監督が住んでいる』という話や、『奇跡的に最初と最後が「アイスクリームが欲しい」と言ったやり取りでつながってしまう』などなど貴重なお話しが聞けました。
もう書くの疲れたのでこのへんで終わりたいと思います。


〇さいごに

個人的に大笑いしたシーンは、郡司の劇団での稽古シーンです。
天狗と結婚する物語。という演劇脚本に、真剣に取り組んでいる劇団員たちがあまりにくだらなく、こらえることができませんでした。

さらには精神病を患ってしまい、遠くの病院に入院することになった劇団主宰:富田さん役を沖田監督自身がやっています。
豪快にどんぶりに食らいつき、郡司が食べる山盛りの蕎麦もおかまいなしに箸をつける。
そのあとは足湯につかりながら淡々とソフトクリームを食べ、とどめは電車で帰っていく郡司を、まるで青春ドラマのラストシーンのように走って見送る。
そしてそれらのシーンすべてを、白いワンピースの患者衣すがたで撮るという……。
尺的には数分程度しかないのですが、圧倒的な存在感を発揮しております。


普通の人より”間違いなく”多くの映画を観ている私がおススメします。

きっとあなたにとっても『味わったことのない映画体験』になるかと思います。ぜひぜひ…。


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