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命の危機!恐怖を感じた十五夜の晩の話【やっちまって後悔】~赤裸々シリーズ

「ねぇ、パパ・・・」

「このままでは死んじゃう。助けて・・・」

半泣きの嫁が深夜2時に
気持ちよく寝ているあなたを起こしにきたとします。

あなたが夫だったらどうしますか?

これは十五夜の晩に
私の身に起きた実話です。

あなたの住んでいる地域に
台風の被害はありませんでしたか?

私はというと被害はなかったのですが
昨晩は風の音がすごくて
なかなか寝付けませんでした。

「風の音」への恐怖。

そのトラウマを生み出したのは
十五夜でした。

今年の十五夜は9月10日。
綺麗に満月が見える晩のことでした。

夕方になって
「あ、ススキ取りに行かなきゃ」

お月見しようと約束していた娘が
ススキがないことに気づきました。

家族4人でススキを探しに近所へお散歩に。

思ったよりススキが見当たらなくて
探しているうちに
辺りはだんだん暗くなってきます。

少し焦りつつも
「川沿いにあるんじゃない?」
行ってみることに。

「あったー!」
ようやく見つけたススキ。

喜びもひとしおで
子どもたちはススキを持ってごきげんです。

家への帰り道
家から10メートル手前に生えているススキを見つけ

「こっちの道から来ればすぐ見つかったのにね~」
なんて家族みんなで大爆笑したものでした。

なんでかな。
家族みんなで少し歩いただけなのに
妙に楽しくて。

この何気ない時間を”幸せ”というものなんだな
・・・って
なんだかしみじみと幸せを感じた時間でした。

「晴れているし外で月を見よう!」

ススキを飾り、娘と作ったお団子を食べながら
テントの中から見た月は
とってもキレイに輝いて見えました。

そして、そこには
買ったばかりのテントがありました。

2~3人で寝られるくらいの小ぶりなサイズ。

ワンタッチで設営可能。
引っ張るだけでポンっと立ち上がるんです。

キャンプに憧れ、中古で買ったテントは
初心者には難しくて
なかなか日の目を見なかったので

ワンタッチで小さいから庭にポンっとすぐ出せる
このテントは
にわかキャンパーには救世主に見えました。

その日は、このテントのおかげで
家の横の小さなお庭が
あっという間にキャンプ場になっていました。

にわかにとって憧れの”キャンプ”

その場面は
もうすぐ目の前に来ていました。

***

キレイな満月を見られて
新品のテントも庭にあるとなれば
もはや準備万端。

テンションは最高潮です。

「今夜は晴れるから
このままテントで寝てみちゃおうか!」

十五夜の晩に初めてテントで寝る。

その後起こる出来事を知る由もない私たちは
安易にその選択をしてしまったのです。

恐怖の始まり

4人全員では寝られないので
小学生の息子と母(私)がテントで
寝ることになりました。

普段、息子に口うるさくいってしまう母。

息子と二人きりでテントで泊まることで
何かのきっかけになるかもしれない。

そんな下心もちょっとありました。

いつも妹に取られてしまう母と
二人きりの空間

息子もなんだか嬉しそうでした。

母と息子初めてのキャンプもどき。
(単なる庭DEテントだけども)

しかも、十五夜の満月の夜です。

これは良い思い出になるに違いない。
そんな予感がしました。

ライトを消すと辺りは真っ暗。

庭なのに庭じゃない、
そんな感じでした。

まさにキャンプ感満載でわくわくです。

「虫の声がきれいだね~。」
「外国人はこの虫の声が分からないらしいよ」
「え~、そうなんだ~」

なんて楽しく2人で話しました。

虫の音が耳に心地よく
秋の気持ちの良い夜でした。

…と思ったのも束の間、
夜が更けるにつれて
次第に風が強くなってきたのです。

びゅー
びゅー

風の音が虫の音をかき消し始めました。

心地よい虫の音に耳を傾けようとしても
どうしても風の音に持っていかれます。

びゅー
びゅー

テントが揺れます。

(まぁ、寝てしまえば分からないよね。
とりあえず寝てしまおう。)

びゅー
びゅー

しかし眠れません。

(いや、でも絶対良い思い出になるはずだから
ここで寝てしまえ!)

びゅー
びゅー

眠れません。

9時ころテントに入り
10時になっても
11時になっても

眠れません。

横を見ると息子は安らかな寝息を立て
気持ちよく眠っています。

(こんな音でも息子は眠れてるんだ。良かった)

(私も早く寝なくちゃ・・・)

びゅー
びゅおー
びゅぅおぉぉぉぉ・・・

弱まるかと思った風は一向にやみません。

それどころか
むしろ強まっているかのようです。

もはや眠れる予感がしません。

強風にあおられ
揺れたテントが背中に当たってきます。

ビシッ
バシッ

風は音だけでなく
確実に私にプレッシャーを与えてくるのです。

ゴーーーー

風は強まるばかり。

(もうここでやめた方がいいのかな?)

(でも息子は寝てるし・・・。
ここで起こすのもかわいそう。)

(いや、なんとか寝てしまえばいいんだ!
寝れ、寝れ、寝れ・・・私よ!)

(そうだ深呼吸だ
スーハー
スーハー・・・)

それでもやっぱり眠れません。

ゴーーーー
という強風の音を聞き続け

ビシーっ バシーっ
という背中を押すテントの圧を感じ続け

もはや数時間が経過しています。

そして
どんどん風は強くなってきています。

グゥオォォォォー

風の音が轟音になって響きます。
とどろく音と書いて轟音。

まさに轟音の名にピッタリの音だと思いました。

テントの揺れ方も
どんどん激しくなってきます。

(このままテントが風で飛ばされるとかあるのかな?)

さすがに不安になってきました。

(今更だけど起きて家に駆けこむか?)

(まずは息子を連れて行かないとだよね)

(でも、息子を起こせたとして
移動中にテントが風に飛ばされたらどうするよ?)

(ってか、敷いている布団とテントをどうやって持っていく?)

(一人では無理だよね。)

(かといって、息子にどこまでできるかわからないし・・・)

どんどん強まる強風に
恐怖感はぐんぐん高まってきます。

(でも、この強風だと何か飛んでくるかも・・・)

(テントじゃ何も防げないよね)

(なんか固いものが飛んで来たら死ぬとかありえるよね?)

(もしその事故で息子が死んだらどうするよ?)

(さすがにやばくない?)

ビニール素材のテント。
その不確かさは不安を増大させていきました。

そして、どんどん強まる強風の轟音は
確実に母の心を蝕んでいきます。

母の脳裏には
この文字が行ったり来たりしています。

このままでは死ぬかもしれない。

もはや冗談ではありませんでした。

丑三つ時の脱出劇

そして午前2時になる頃
母の心は完全に”死”という闇に包みこまれました。

闇に背中を押され、ついに決心。

家で寝ている夫を起こして、脱出を手伝ってもらおう。

こんな夜中に起こすのは悪いなと思ったのですが
背に腹は代えられません。

(このままでは死ぬかもしれない。)

(息子をみすみす死なせてしまうわけにはいかない。
命を守るんだ!)

もはやそういう設定になっています。

そうと決まればあとはやるだけ。

テントのチャックをスーーっと開け
まるで忍者のようにするりとテントを抜け出し
チャックをスーッと閉めます。

気分はスパイ。

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テントというしがらみから解き放たれた母は
ささささっと家に駆けこみます。

ドドーっと2階に駆けあがりベッドルームへ。

そこでスヤスヤ寝ている夫を見た途端
安心したのか急に涙が目に溢れてきました。

「ねぇねぇ、パパ。パパ」(涙声)
体を揺らします。

夫の目がスーッと開きました。

「このままでは死んじゃう。助けて・・・」

ぎゅうぎゅうに溜まった不安のせいか
声がかすれているのを感じました。

***

そこからの夫は
いつものただただ優しい夫ではありませんでした。

素早くテントまで駆け寄ると

息子を起こし
「風が強くなってきて危ないから家の中に移ろうね」
優しい声で伝えます。

「ママは布団だけ運んで」と私に指示を出します。

そして、テントをするするっとまとめ
荷物小屋に運んでいきました。

寝ぼけているはずなのに
てきぱきと何でもやってしまう夫。

その姿はヒーローに見えました。

ようやく部屋のベッドに横たわる私。

長時間の恐怖からやっと解放され
本物の”安心”がそこにはありました。

風の音が聞こえない
強風にもびくともしない

「家」ってものすごい安心感のある場所だったんだ。
心から実感しました。

ここまで「家」というものに
感謝したことはありませんでした。

屋根があって、壁がある。

それだけでこんなに快適だとは知りませんでした。

「家ってすごいね」と妙に感心しながら
ようやく眠りにつくことができました。

あれから月日は流れ
もはや十五夜の晩のことは笑い話でしかありません。

「ネタができたから良しとしよう」
と思ったのですが

昨晩の台風の風の音で
なかなか眠れなかったのは

私に「強風の恐怖」が染みついてしまった
からかもしれません。

(「きょうふうのきょうふ。」ってダジャレ?)

単なる風と侮ってはいけない。

自然災害を目の前にすると
人間はなんとも無力な存在です。

自然は私たちに恩恵を与えてくれますが
時に試練も与えるものだなと改めて感じました。

そして今回の教訓。

天気予報を見るときには
風速にも目を配る。

特に外遊びのとき!

当たり前のことなんですが
案外見落としがちかもしれないので
恥ずかしい話と共にお話してみました。

【今日の戦歴】
にわかキャンパー綺麗道
第1回目 完全なる惨敗。

これからどう成長していくのかお楽しみに。

最後に
今回の台風の被害にあわれた方には
1日も早いご回復をお祈りしています。

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火曜金曜更新中

綺麗道こと古川綾子でした。

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