サンクスアンドラブレター

誰しも自分を肯定してくれる人を必要としている。と思う。

それも単純に褒めてくれる人ではなく、自分を深く理解し、それを受け入れ、良いところを噛み締め、愛でてくれて、時には間違ったことを教えてくれる人。

なんと都合のいい、と思われるかもしれないが、これは理性ではなくほぼ本能のようなもので、気づかないふりをしても、心の中でいつの間にか求めてしまっているのだから仕方がない。

特にわたしにとって文章というのは、恥ずかしげもなく、まるまんまをさらけだしている、いわば裸の本物の自分なので、もっともその「肯定」が必要だ。もし、攻撃されたりなんかしたらすぐ死んでしまうだろう。おそらく指を紙で切ったくらいのダメージでも死ぬ。いったんそうなると、怖くてとても裸では出ていけなくなってしまう。

フリーになって、こうやってビクビクする機会が増えた。様々な媒体と接するということは、そのぶん別々の価値観と向き合わないといけないわけで、そのひとつひとつに傷つくのが恐ろしくて「どんな風に武装しよう」と、服を着ることばかり考えるようになった気がする。

そんななかでも、わたしを肯定してくれた人がいた。「伊藤さんが思ったことを書いてもらいたいんです」と言ってくれた人がいた。それはもう、お言葉に甘えて、遠慮なく思ったことばっかりを書きまくった。裸で野っ原に寝っ転がって、ただ正直に車と向き合って感じたことを書いた。他でどんなに武装した、着飾った自分が嫌になっても、「この人がここで書かせてくれるなら大丈夫」と思っていた。

でも、しばらく、そこで書けなくなってしまう事情ができて、思ったよりがっくり来ている。ジェンガの一番下の一本を抜かれそうになっているみたいな。こうなってから、お礼を伝えても遅いよなぁ。

岸本さん、本当にありがとうございます。

岸本さんがわたしを肯定してくれたおかげで、フリーになってもひとりぼっちじゃないなと思えていました。これから自分がどうなっていくかは分かりませんが、すくってくれて、ありがとうございました。また何かで一緒にお仕事できることを祈って。そして、お互いしあわせに生きられますように!

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