自動車評論と小鳥

文鳥が手のまわりを飛び回っていて、けっこう爪が伸びていることに気がついた。「これ切らなきゃだめなのかな」爪楊枝よりも細いその足を見て、もし自分で爪切りをしなきゃいけないと思うと、むちゃくちゃ怖くなってくる。不安になってネットで「文鳥 爪切り」で調べてみると、「爪切りのショックで死んでしまうこともある」と書いてあって、ますます怖い。

実際に鳥を飼ってみると、あらかじめ本で読んだり、ネットで見たこととはイメージと違うと感じることは色々ある。もちろん正しい情報はたくさんあるけど、なんというか、実際に触れた肌感覚みたいなものは、やっぱり毎日接してみないと分からないものなのだ。当たり前だけど。

なんとなくそんなことを考えながら「自動車評論もこれに似ているかもしれない」と思った。車についても、文字で読んだものと、実際に所有して感じることには違いがある。自動車媒体の記事は、大抵が「情報」であって、「車との暮らし」が描かれているわけではないからだ。

私が車について書きたいのは、そういう「情報」じゃない。「この車を買ったら、こんなことしたいな」「こんなこともできそう」「乗ったらこんな気分になるんだろうなぁ」という「車がいる生活ってなんだか楽しそう」と伝わるようなものが書きたいのだ。ほとんどそれだけのためにこの業界に入ったと言ってもいい。

「この鳥は、成鳥になると約何グラムになり、寿命は約○年。オスかメスか見分ける方法はうんたらかんたらで、主食は○△□・・・」確かにそういう情報も飼う上で大切なことだけど、それは、共に生きる楽しさや喜び、悲しみ、しあわせとは違うんだなぁ、と。

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