吹き切ることが大事?

お疲れ様です。音楽家、チューバ奏者、指揮者、金管バンドディレクターの河野一之です。

昨日は母校へお邪魔し、恩師でもあるRobert "Bob" Childs先生のリハーサルを見学させていただきました。

相変わらずの素晴らしいリハーサルで、無駄のないというか本質を的確に突くアドバイスに、あっという間の数時間でした。

とっても素晴らしい演奏会になると思いますので、ぜひご来場ください。後輩たち頑張っておりました、さし!

無料公演ですが、ご来場にはご予約が必要だそうでなので、以下リンクよりお申し込みください。

吹き切ることが大事?どんな演奏だったかが大事じゃない

突然ですが、日本の金管バンド業界にはオーケストラ同様コンテストがありません。吹奏楽コンクールは毎年盛り上がっていますが、金管バンドには”まだ”ないのです。

しかし、日本でオンラインやCDで聞く金管バンドのかっこいい、人気のある作品の半数はコンテストのために作曲される課題曲や、難解な自由曲のための作品が多いわけです。なぜならかっこいいし、コンテストで使われる=トップセクションのバンドたちが死に物狂いで練習した演奏の録音なわけですから上手いのです。

なので、日本のバンズマンが誰しもコンテストで用いられる曲、とりわけ最上級クラスのチャンピオンセクションの曲に憧れるのは当たり前の話です、よくわかります。

しかし、それゆえとても難易度が高く、ヨーロッパでも選ばれし奏者たちがしのぎを削って演奏する曲を吹きこなすというのは中々に簡単ではありません。

それゆえそういう難解な曲、コンテストでしようされる曲を日本で吹こうとなるとコンサートの一曲に組み込むか、体験会のような小規模のイベントで体験するしかありません。

もう一度聴きたくなる演奏か

使い捨ての世の中、情報が目まぐるしく発信される世界、新旧がすごいスピードで入れ替わる世界

そういう世の中で僕たちは生きています。でも本当に良いものというのはずっと残っています。

素晴らしい演奏、名演というのもその一つです。

僕は金管バンドは本当に名演が生まれるジャンルの音楽だと思っていますし、実際にそういった演奏も多いです。

そういう可能性があるアンサンブルで、ただ難曲にチャレンジし、音色やアーティキレーション(Articulation)、アンサンブル、スタイル、音楽性、そういったものが無視され、ただこなせば良いかのような演奏になってしまうのが勿体無いと思うのです。

もちろん人によってはそういった意味での”音楽”を感じにくい曲もあるでしょう(僕にもあります)、でもそうでない曲、コンテストの課題曲の中にも音楽性を十分に発揮し、聞く人たちにそのバンドの良さ、曲の良さ、各楽器の良さ、ひいては金管バンドの良さをお伝えできるような演奏ができるはずなのです。

アマチュアであろうとプロであろうと、音楽の主体性が「どうだ、この曲はこんなに難しんだぞ!すごいだろう!」とか「難しくて大変なんです、わー」といった自分主体になりすぎるのはよくなく、その曲と楽器、そして一緒に演奏する方々にこの曲を聴いたお客様にどういう風に感じていただきたいか、そして何を伝えたいのか、そういう一歩先の音楽表現を目指さない限り、どれだけ良い楽器、素晴らしい曲、良いホール、良い指揮者を連れてきても難しいのです。

なんのために吹くのか、聞く人目線での練習も時には必要ですね

Thank you

Kazz



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