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『Beep21』麻野一哉特別インタビュー 〜サウンドノベルの進化と「街」〜クリエイター・リユニオン・ファイル Vol.8

多くのファンを魅了した名作を生み出してきたクリエイターに取材し、そのルーツと秘話をお届けしていくシリーズ「クリエイター・リユニオン・ファイル」

▼Vol.1〜Vol.7 過去のリユニオン・インタビューシリーズはこちらから

8回目の今回は、セガサターンの名作「街」の総監督を務めた麻野一哉氏が登場

ゲームの黎明期から活躍してきた麻野氏は
早いもので、還暦60歳をむかえたとのこと。

「ドラゴンクエスト」に魅了され、チュンソフトに入社。
中村光一氏、内藤寬氏、山名学氏ら、天才肌の
クリエイターの元で力を発揮し、サウンドノベル
という新たなタイプのジャンルを生み出した麻野氏。

多数の名作を世に出した実力派クリエイターである
麻野氏のルーツを紐解ひもといていくと、要所要所で
出てくるのが「分岐」というキーワード。

幼少期の頃に出会った「分岐」と
その後の数々の「分岐」。

セガサターンの名作として名高い
サウンドノベル「街」のエピソードを含め
数奇な人生の交差点と分岐をお届けしていきます。

ぜひ最後までご覧ください。

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◆麻野一哉氏自身による回顧録コラム「日々是分岐ひびこれぶんき」もスタートします。こちらもあわせてご覧ください!

麻野 一哉(あさの かずや)1963年3月28日生。兵庫県尼崎出身。1987年10月に「ドラゴンクエストⅢ(1988年)」開発中のチュンソフトに入社後、スーパーファミコンでサウンドノベル「弟切草(1992年)」「かまいたちの夜(1994年)」を生み出す一方で、「不思議のダンジョン」シリーズ(1993年〜)も創出。2002年にチュンソフト退職後はフリーランスとして活躍し、大学での講義や地図塗り位置ゲーム「テクテクライフ」を運営。今回はチュンソフト黎明期の頃の話や、新しいジャンルのゲームが生まれてくるまでの興味深い過程、そしてセガサターンの名作「街」の数々の舞台裏を語っていただきました。どうぞお見逃しなく!

麻野氏の近況

──麻野さんにはセガサターンの「街」の頃に何度も取材させていただき、誌面にたくさん登場していただきましたが、もう四半世紀以上が経ちました。大変ご無沙汰ぶさたしておりますが、最近の近況とか活動などお伺いできますか。

麻野 今もやっている「テクテクライフ」が一番のメインですね。

© テクテクライフ 現実世界での移動がゲームの地図とリンクした位置情報ゲーム「テクテクライフ」。
© テクテクライフ 自宅近辺からでもすぐに始められて、移動が楽しくなる。
© テクテクライフ 自分の毎日の移動で真っ白な世界がどんどんぬられていく。

あとは大学でゲームの講師をやっているんですが、コロナの時は全部(講義が)オンラインだったので、結構つらかったです。教室で対面しながら授業をするのと違って、オンラインだと生徒の反応が全然わからなかったですから。

──大学の講義ではどういう授業を?

麻野 元々は留学生に日本語を教えたりする中に「日本文化」というジャンルがあって、茶道とか書道とか、歌舞伎とか能、あるいは日本文学とかの講義がありました。その一方で、やっぱり留学生って、みんな20歳ぐらいの若い子なので、アニメ・ゲームというコースもあるんですね。

──留学生向けにゲームの講義を。

麻野 アニメのほうにはアニメの先生がいて、ゲームのほうは僕が担当しています。

──ゲームの黎明期からを知っている麻野さんの授業は楽しそうですね。さて今回は、昔の取材の際にはあまり聞くことがなかった、麻野さんの幼少期のお話などもお伺いしてみたいのですが、お生まれは1963年で、兵庫県に?

麻野 (兵庫県)尼崎です。

──当時はどんな環境、というか雰囲気でした?

麻野 生まれた頃はわからないですけど、覚えてるのは、学校での外遊びでは、三角ベースやったり、”缶蹴り”じゃなくて僕ら”まる消し”って言ってた遊びとかね。家に帰ってきたら、あの頃はテレビが娯楽だったので。ドリフターズとか土曜日に見て、それのまねを学校に行ってするとか。漫画とかも読んでましたけど、うちはあんまり自由に買わせてくれなかったんで。どちらかというと友達の家に行った時に読んだりして。アニメはまだそれほど(数が)なかったですね。テレビアニメは少ない時代でした。「妖怪人間ベム(1968年)」とか「カムイ外伝(1969年)」とか。あと、一番影響を受けたのは「もーれつア太郎(1969年)」です。あと「天才バカボン(1971年)」も見てましたね。

貴重な大阪万博のガイドブックと「分岐」の原体験

麻野 いちおう、今日は当時のものをちょっと持ってきたんですけど。

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