選挙というシステムが抱える重大な不具合についての考察

はじめに

 どうも、虚無の先と名乗らせていただいている者です。noteという形ではご無沙汰していましたね、待っていた方(がいるとは思えませんが)には申し訳なかったです。リアルがあまりにも多忙でした。ついでにネタも無かったのであまり書けなかったです。

 では、今回は選挙を作り替えることを考えたいと思います。とはいってもそもそも選挙は壊れてないから直す必要が無いと考えると思います。が、今の選挙というシステムには有権者の意見を反映しづらいという重大な問題点があります。選挙が有権者の意見を反映できないとなるとその目的を果たせないので修正する方向に誘導しようという話です。

(小話)ネット選挙について

 今回の話題への関係は少し薄いですが選挙のシステムの変更という観点から、ネット選挙についても述べていきます。

 政治に若い声を引っ張り込むためにネット選挙は有効です。が、ネット選挙にはその性質上、秘密選挙を守りづらいという重大な問題点が挙げられます。立会人を用意できない都合上、その投票が本当にその人の意志によってなされたものであるのかについて常に疑念が生まれてしまうわけです。その方法を提示することは避けますが、家族による干渉、会社による干渉をする余地はいくらでもあります。

 もちろん、洋上投票や、在外邦人の投票制度はあり、それらに立会人は存在しません。ゆえに十分に可能であるという反論も想定されます。ただ、そのどちらも物理的に干渉できる人間が少ないことが想定され、かつそれら2つの制度は通常の投票所に行って通常通りに投票することが実質不可能である方々でも選挙権を行使するための制度です。干渉される可能性はあれど、それは選挙権を無条件で失うよりマシであるため、このような方策がとられています。

 また、ネット投票の場合、通信の秘密も保証されていなければなりません。かつ、ネットワークに侵入されてデータが改変されてもいけません。そのセキュリティはかなり難しいものがあると考えられます。

 そんな中でネット選挙は若い人にとっては楽に投票できるため(筆者にとってもかなりうれしいものだと思います)有効でこそあれ、実現することは難しいと考えられます。

選挙はデータ不足

 今回、筆者が申し上げたいことを簡単に表すと選挙で得られるデータは不十分だということです。まあ何を以て十分とするのかには議論の余地はありますが、人材不足で無投票で終わってしまった地方統一選がある中で、議会に民意を反映させる手段は「代表者を選ぶこと」のみでは無いと考えています。世論を作り、代表者を思い通りの方向に誘導することも、その世論を代表者にとって見やすい形にすることもできると考えます。

データ不足って何?

 が、「データが不足」しているのならデータが十分な状態を定めないといけません。とはいっても、これは難しいので、そもそもの「データの大きさ」を定義したいと思います。これは簡単に定められます。

データ量の定義

(選挙から得られるデータの大きさ)=(選挙区の有権者数)×(投票の結果の種類の数(有権者数一人ごとの集計))

 ここで難しいと感じた方がいると思います。が、かなり簡単です。投票する側としては多くを書いたらデータが多いということです。例を出しながら示していきます。例えば有権者数5万人の選挙区にて二人の候補者から一人の代表を選ぶ選挙を行った場合は50000×(2+1)=150000となります(無効票、棄権もまとめて1通りとも数えます)。では同じく有権者数5万人の選挙区で三人の候補者から二人を選ぶ場合はどうでしょうか?日本の選挙なので書ける候補者は三人のうち一人だけです。なので50000×(3+1)=200000となります。

 このように投票用紙に書く内容を代表者の名前一人分に限定した場合データ量は高々人口の桁数にプラス1桁されるかされないか程度の数にしかなりません。市区町村議会の選挙であれば候補者が多くなるため、プラス2桁になることは考えられます。が、それでも高々その程度です。

 有権者1人からしたらせっかくわざわざ投票所まで出てきたのに出来たことは数人から1人を選ぶ作業のみ、それもその人に全部同意している訳でもないし、だけどその人以外の人は絶対に議員にしてはアカン人ときた。そんな絶望感というよりも、まあその人ならばまず当選するだろうという安心感があったら投票所に行く人は減ってしまうのではないでしょうか?

 しかし、まともな候補者を増やすことは正直な話、政治家という職業が議員報酬の削減の圧力がかかったり(実際に削減されたり)、収賄がよりバレやすくなった結果怪しい金儲けの手段も取れなくなったりしたせいで儲からなくなった以上、経済が主として誘導される有能な人間はやる気にならないという点から不可能に近いと考えています。また、法律を整備することで自身の息がかかった団体に直接金が誘導されるようにしている人がいるとかという噂を聞いたのですが…それが今どうなっているのかは岩の下にでも住んでいない限りは分かると思います。

提案:データを増やす

 ここで出てくるのがデータ量の向上です。選挙という公的な場で普通選挙と同等の全員の参加可能性と秘密投票が保証された中で得られたデータには確実に価値があるでしょう。

 ではどのようにしてデータを増やすのかについてですが、選択肢を増やします。「いやいや先ほど選択肢を増やすことは現実的でないとしていたじゃないか」と思うと思いますが、立候補者を増やすのではなく、選挙に世論調査を兼ねて行うことで選択肢を疑似的に増やします。マークシート方式で行えばある程度処理コストを抑えながら行うこともできるでしょう。

 それぞれの問の答えが独立した場合、選択肢が5つの問を1つ増やせばデータ量は約5倍です。5つ増やした場合約3125倍になります。10個増やした場合約1000万倍になります。この約1000万倍を候補者の人数を増やすことで実現しようとした場合、東京都の全有権者数と同じ人数が一つの選挙で立候補する必要があります。無理です。こんなレベルで有権者数に応じて爆発的に増えていくデータを基に政治家は判断を下せます。また、データのかけあわせも行うことができ、どの候補に投票したのかも含めたビッグデータ解析を行うことで、どの思想を持つどんな支持層にどうアプローチするのか、かなり選挙のやり方が変わると思います。

 簡単に言うと、選挙にデータサイエンスの基となるより多くのデータ収集を行わせることによって、選挙のやり方を変えようということです。

データを増やすことによって起こることが予想される影響

 もちろん、影響は他にも現れます。まず、政治家は投票行動に対して最適化されたアプローチを取ることが求められます(競争が働いていれば最適化されたアプローチを取れない政治家は淘汰されます)。一般的に支持の取り方が分からないとされている無党派層に対して最適化されたアプローチをとれます。有権者にとっても民意が反映されやすいことを意味するので良いでしょう(選挙結果が思い通りにならないと有権者はアホだとか言う人にとっては悪いかもしれませんが)。

 それ故に政治家は「政治を学んだ人間」だけでなく、データを扱える人間にも価値が生まれます。データの掛け合わせからどのような思想が多数派として存在しているのかを理解し、それに合わせて政策をチューニングする必要があるでしょう。

 ただ問題も生まれます。まず、有権者からしたら選挙でやることが増えます。元から興味無い方からしたら投票でさえ面倒なのに追加でアンケートもやらされるのは辛いものがあると考えられます。

 また、その結果に対して議員に十分な法的拘束力を確保できません。言うなれば、議員にそのアンケートに従う義務はないです。義務にするのなら議員は正直不要です。しかし、これは国民が国民を最も愚かな方向に誘導することを防ぎ得るものとも言えます。とは言っても平時では国民からしたらむずがゆいものにもなってしまうでしょう。

 それでも、こういったデータに基づく判断の例が増えれば増えるほど将来的に登場することが十分に予想できる政治判断用AIに与えられるデータにもなります。(あくまで予想されるだけで実際に登場することが望ましいのかはわかりませんが、もし、望ましいとされた場合にデータがある方が学習にかかる時間はデータ収集の時間を無くせるため、減少するでしょう。)

まとめ

 このようなマークシート方式の投票によって生まれた記入の簡便さを活用して、選挙に代表者の選択以外の世論調査という目的を付け足すことは有権者が政治に対してできることを少し増やし、政治家も有権者が何を求めているのかを理解する一助になるのではないのかと考えています。言うなればこれはマスメディアが信用を失いつつある時代に信用できるデータを提供する方法として良いものを一つ用意する形になります。

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