アントニオ猪木さんを偲んで、きょうは珍しくひとり酒なのに二杯目
アントニオ猪木、逝く。
61分一本勝負の末の壮絶な時間切れドロー、と言ったところか。最後まで負けなかったなあ。
と言ったところで、プロレスなんて生まれてこの方見たことがない人は「61分って何?1分って余分じゃないの?」って言うのかな。でもまあ良いんです。あの時代の『61分一本勝負』の雰囲気やら意味合いやらを何となく分かる人だけが、猪木さんの死を心底悼んでいるような気がしますから。
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たった一度だけ猪木さんに会ったことがあります。深夜番組にプロレスのプロモーションで出演してから地下の車溜まりでタクシーを待っていたところで、番組の技術ヘルプに駆り出されていた私も同じように帰りのタクシーを待つことになりました。黒人の逞しいボディガードを従えていました。テレビカメラも回ってないのに見栄だったのかなあ。それとも遭難した師匠の最期を看取った体験から警備には人一倍気を使ってたのかな。トレードマークの赤いマフラーも外さず(寒い季節ではなかったと思う)、とにかくイメージを崩さない人だなあと思いました。
でも、どこか寂しそうでした。2000年代の終わりだったと思います。「ずっと、好きだったんです」と、一声掛けたかったのですが、それを許さない侘しいムードがありました。ああ、もう猪木さんは戦い終わった人なのかな。そんな風に感じました。でも、それは私の勘違いだったようです。
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晩年の闘病は壮絶を極めました。彼の人生に戦いを終えるなんてあろうはずもなく、その衰えぶりを動画配信で人前に晒しつつ戦い続けました。
シン、ハンセン、ホーガン…いつも彼らの攻撃を目一杯受けてから反撃に転じて必殺技で仕留めた現役の頃の戦いぶりと同じように、病魔の攻撃を真っ向から受けた上で、逆転するんだろうか。するに決まってる。やっちゃえよ、猪木!(イノキ、ボンバイエ!はそういう意味だ)黒いパンツ一枚で額から血を流して悪役レスラーに怒りの鉄拳を振るう姿が蘇った。やっちゃえよ、猪木!頼むから、やっつけてくれよ。
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最後の1分まで戦いきって――。
アントニオ猪木、逝く。
きょうは珍しくひとり酒なのに二杯目です。
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猪木さんの訃報に接した日に、ちょうど読み終わった本があります。つい先日、出版されたばかりの本です。こういうシンクロも、あるいは猪木さんが書いた戦いのシナリオの一つなのかもしれません(んな訳ないか)。
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