夏、ルミナス。

廊下の奥から騒いでる声がやってくる
見つからないように非常階段に出る
悪いことしてないけど 見つからないように帰った

横断歩道が見えてきて 左から車が来てる
信号もない田舎道で 左に曲がるフリをして譲った
歩行者優先くらい知ってるけど 舌打ちされたくない

太陽に背を向けて 鬱向けば影法師
そんな瞬間の連続が薄暗い路地になる

けどね、新しいイヤホンを買ってもらったんです
少しくらい途切れたって大好きな歌は止まらない
道行く人が氷の彫刻ばかりでも 今だけは
今だけはちっとも一人じゃない 足早に駅に向かう

これから だって 会いに行く

''知り合い同士''がわめいてる 同じだけど仲間じゃない
邪魔にならないように端で待つ 手元の世界にただ居よう

羨ましいなんて思いたくはない 本当だよ
なにしにきてんだ なんのために 邪魔はしないでよ

でもね、すべてがはじまった瞬間 誰もが同じで
同じように美しくなれて 恨み節なんて忘れたし
隣の人がちゃんと人間に見えてた ありがとう
言葉にならないんだいつも ありがとう 素直に笑えてる

通り過ぎる街の声は嘘みたいに楽しげに響いて
今だけはちっとも一人じゃない 足早に駅に向かう
夜空を見上げた 光るビルばっかで星は逃げてた
それでも真っ暗な空は自ら輝いて

この夏が誰にも嘘をつかないように
すべての音楽は鳴っている

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