『紫陽花の撮影の、
被写体になってくれる方募集』

カメラマンを目指している人たちの、
Instagramを眺めていて見つけた。

その人の写真をスクロールしていく。

海、カフェ、イルミネーション…
どれも広範囲にぼかしが入り、
どこかメランコリーな雰囲気が漂っていた。

どんな風に被写体を入れているのか、
見たかったが、
どの写真にも人が写っていなかった。

余計に気になったので、DMしてみることにした。

『初めまして。中西理央と申します。

都内中心に、
被写体モデルとして活動しています。
21歳で、被写体歴半年程です。

紫陽花の撮影の件を詳しく知りたくて、
DMしました。
ご返信お待ちしております。』

こうやって、仕事が決まることはあまりない。
だからあまり期待はしていなかった。
モデルをやるのは好きだし、お小遣いくらいになれば良いかなと思っている。

数時間後、返信が来た。

『初めまして。DMありがとうございます。
小池晴翔と申します。

カメラマンのアシスタントをしながら、
カメラマンを目指しています。

理央さんのInstagramも拝見しましたが、
アンニュイな雰囲気が、
私が撮りたいイメージに合うと思いました。

6月上旬、鎌倉で浴衣を着ての撮影となります。
お時間は、3時間程度になる予定です。
よろしくお願いいたします。』

礼儀正しそうな人だ。

そのまま返信の文字を打ち始めた。

『返信ありがとうございます。
是非、被写体やらせていただきたいです。
よろしくお願いします…
…

ーーーーーーーーNo.2に続くーーーーーーーー