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うどん職人はやめとけ?需要・将来性をデータとイラストで可視化してみた【市場分析】

どもー。
分析太郎です。

今回はうどん職人の
市場分析レポート
です。

仕事の将来性を把握する上で
市場分析は必要不可欠です。

起業するにせよ転職するにせよ、
将来性を把握しておかないと、
キャリア選択で痛い目を見ます。

なので分析太郎が、
データとイラストを駆使して、
将来性を分析しました。

それでは、見ていきましょう。

【※1】
そばデータも含むため、
そば職人になりたい方も
ご参考頂けます。

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【前編】うどん職人の将来性


まずは需給バランスを理解する

前編では、うどん職人の
将来性を確認していきましょう。
その前に、需給バランスについて説明します。

世の中には様々な市場があり、
その中でお金が取引されています。

そして市場の中には、
供給(事業者)需要(お客様)
存在します。

これらを釣りで例えるなら、
市場=釣り堀
供給=釣り人
需要=狙っている魚
と言えます。



そして、需要と供給にはバランスがあります。
イラストにするとこんな感じです。



本レポートでは、
うどん・そば市場が4つのうち
どこに分類されるかを、
行政機関と業界団体のデータを
フル活用して考察していきます。

それでは、本題に話を移しましょう。


うどん・そば業界の市場規模

それでは最初に、
うどん・そば業界の
市場規模を確認しましょう。

一般社団法人
日本フードサービス協会の統計によれば、
2021年のうどん・そば業界市場規模は
9,464億円、コロナ禍の影響で
ガクンと減少していました。

グラフを作成しました。


うどん・そば業界の市場規模推移(1975~2021・46年間)
出典:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス協会)


2010年代から上昇が続き、
2019年は過去46年間で最も
規模拡大したのですが、、、
コロナの影響でズドドーンです。

同規模の市場には下記市場が挙げられます。

  • 時計(9,281億円)

  • コールセンターサービス(9,419億円)

  • 学習塾・予備校(9,720億円)

国内市場の立ち位置としてはこのあたりです。


国内市場におけるうどん・そば市場の立ち位置
出典:市場規模マップ


そこそこの大きさという印象です。
この市場で、需給バランスは
どうなっているのでしょうか。



確認していきましょう。


うどん・そば市場の供給の推移

それでは、うどん・そば市場の
需給バランスを確認しましょう。
まずは供給から確認します。

ここでの供給は、うどん・そば屋の
店舗数
・従業者数

の2点について見ていきます。

はじめに、
店舗数から確認しましょう。

事業所統計調査報告書(総務省)、
経済センサス(総務省)によれば、
2021年のうどん・そば屋店舗数は
24,982か所、推移は
減少傾向にありました。

グラフを作成しました。


うどん・そば屋事業所数の推移(1996~2021・25年間)
出典①:H8 事業所・企業統計調査(総務省)
出典②:H11 事業所・企業統計調査(総務省)
出典③:H13 事業所・企業統計調査(総務省)
出典④:H16 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑤:H18 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑥:H21 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑦:H24 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑧:H26 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑨:H28 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑩:R3 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)


右肩下がりで減少傾向にあるようです。
コロナ禍に入る前から、減少傾向が
始まっていたようですね。

では、うどん・そば屋で働く人は
どう推移しているでしょうか。
グラフを作成しました。


うどん・そば屋従業者数の推移(1996~2021・25年間)
出典①:H8 事業所・企業統計調査(総務省)
出典②:H11 事業所・企業統計調査(総務省)
出典③:H13 事業所・企業統計調査(総務省)
出典④:H16 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑤:H18 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑥:H21 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑦:H24 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑧:H26 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑨:H28 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑩:R3 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)


うどん・そば屋の従業員数は
横ばいで推移していたものの、
コロナの影響によりガクンと
減少していました。

供給のデータを
簡単にまとめると、こうです。

・うどん・そば屋の数は減少傾向
・うどん・そば屋で働く人も減少傾向

つまり、
うどん・そば市場における供給力は
縮小していると考えてよさそう
です。

従って現時点では、
先ほどの四分類では
このどちらかに分類されるのでは
ないでしょうか。



では、需要はどう
推移しているでしょうか。
確認していきましょう。


うどん・そば屋の需要の推移

それでは、
うどん・そば市場の
需要がどう推移しているか
確認していきましょう。

まずは、世帯当たりうどん・そば代に
年間どれくらい支出しているか

確認します。

家計調査(総務省)のデータによれば、
2022年の一世帯当たり(総世帯)の
年間うどん・そば代は5,020円で、
推移はコロナ禍を経て上昇傾向にありました。
グラフを作成しました。


総世帯の年間そば・うどん代の平均支出金額推移(2000~2022・22年間)
※【390 日本そば・うどん】より作成

出典:家計調査(総務省)


おー。
コロナ禍を経て、
世帯当たりうどん・そば代支出額は
回復傾向にあるようです。

これはうどん・そば屋さんに
とってはいい傾向ですね。

ここからさらに、
市場規模からも考察してみましょう。

市場規模は、
全てのうどん・そば屋の
その年の売上の合計なので、
その年の市場規模を
うどん・そば屋店舗数で割ることによって、

一店舗あたりの
売上高の平均がわかります。

この数値が増加していれば
需要は拡大している
と言えますが、
減少していると、需要は減少している
ことになります。
どのように推移しているでしょうか。

表を作成しました。


うどん・そば屋一店舗あたりの売上高の推移(1975~2021・46年間)
出典①:H8 事業所・企業統計調査(総務省)
出典②:H11 事業所・企業統計調査(総務省)
出典③:H13 事業所・企業統計調査(総務省)
出典④:H16 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑤:H18 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑥:H21 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑦:H24 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑧:H26 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑨:H28 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑩:R3 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑪:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス協会)


おおー!

2021年はコロナの影響で
ガクンと減少していますが、
2006~2016年にかけて、
一店舗当たりの売上高は
増加傾向にありました。

その理由は、
うどん・そば事業所数が
減少しているのに対して、
市場規模が拡大しているから
だと
考えられます。

では、なぜ市場規模がここまで
拡大しているのでしょうか。

考えられる大きな理由の一つが、
インバウンドです。

日本では、
2006年に観光業を国内経済の基盤とする
「観光立国推進法」が成立し、
2007年に施行、2008年には
観光庁が発足しました。

観光立国へ本格的に
歩み始めたと言うことですね。

では、訪日外国人観光客の推移を
見てみましょう。
グラフを作成しました。


訪日外国人観光客数の推移(1964~2022・58年間)
出典:訪日外客統計 時系列推移表(JNTO 日本政府観光局)


2012年は835万人だったのが、
2019年には3,188万人の観光客が来ています。
7年間で3.8倍です。

このようにたくさんの
外国人が日本に訪れていたわけですが、
外国人からのうどん・そば人気は
かなり高い
ようです。

農林中央金庫は
訪日経験のある1,200人の外国人を対象に、
日本食について調査をしています。

その報告書によれば、
・「自国で知られている日本の料理は?」
・「自国で最も人気のある日本の料理は?」
という問いに対し、うどん・そばは
かなり上位にランクインしていました。

表を作成しました。


うどんの外国での人気度に関する調査(2023.4時点)
出典:訪日外国人からみた日本の"食"に関する調査(農林中央金庫)


この結果から、
「外国人観光客の増加が、
うどん・そば屋市場の
拡大に寄与している」
という
仮説を立てることができます。

その仮説が正しいかどうか、
確認してみましょう。

確認方法としては、
店舗あたり年間売上高と
外国人観光客数の相関係数

調べます。

相関係数とは、
2種類のデータ間の関連性(相関関係)の
強さを示す指標
のことです。

-1から+1までの間を取り、
-1に近いほど負の相関関係、
+1に近いほど正の相関関係

だと言えます。

・負の相関:一方が増えると一方が減る
・正の相関:一方が増えるともう一方も増える

詳しくはこちら↓


インバウンドと
うどん・そば市場の売上高は
どのような関係にあるのでしょうか。

グラフを作成しました。


訪日外国人観光客数とうどん・そば市場規模の散布図(2000~2021・21年間)
出典①:訪日外客統計 時系列推移表(JNTO 日本政府観光局)
出典②:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス教会)


訪日外国人数とそば・うどん店の売上高には相関があると考えられる


かなり強い正の相関がありました。

つまり
訪日外国人数が増えるほど、
うどん・そば屋の売上も伸びる

と考えられるわけです。

なるほどなるほど。
では、訪日外国人は
今後増えるのでしょうか。

インバウンドの数は
コロナの影響で激減しました。

先ほどのグラフでは、
2019年が3,188万人に対し、
2022年は383万人でした。
改めてグラフを見てみましょう。


訪日外国人観光客数の推移(1964~2022・58年間)
出典:訪日外客統計 時系列推移表(JNTO 日本政府観光局)


この記事を作成している時点で、
2023年データは10月時点まで
公表されていました。
2022年データと照らし合わせて
見てみましょう。

表とグラフを作成しました。


2022・2023年の1~10月訪日外客数の推移
出典:訪日外客統計 月次報告(JNTO 日本政府観光局)


おー!
インバウンドは増加傾向のようです。
2023年10月時点の外国人旅行者数は
1,989万人でした。
これは素晴らしい傾向ですね。

ちなみに行政もかなり強気なようで、
コロナ騒動があったにもかかわらず、
「2030年6,000万人」という目標値は
変更しない
ようです。


訪日観光客の増加には、
今後も一層力を入れることが
考えられますね。

これは、うどん・そば市場にとっては
かなりいい動きなのではないでしょうか。

またコロナのような
世界的な非常事態が起きないことを
祈るばかりです…。

さて、需要のデータを
簡単にまとめると、こうです。

世帯(総世帯)あたりうどん・そば支出金額は増加傾向。うどん・そば市場はインバウンド数と正の相関があり、2023年のインバウンド数は10月時点で前年比5.2倍で推移。日本政府は2030年6,000万人を目標に掲げており、今後も様々な施策が実施される可能性あり。

さて、データが出揃いましたね。
それでは、結論に入ろうと思います。


分析太郎の結論

まとめると、
うどん・そば市場の
需給バランスはこうです。

  • 供給:うどん・そば屋店舗数は減少傾向、従業者数も減少傾向。

  • 需要:世帯(総世帯)あたりうどん・そば支出金額は増加傾向。うどん・そば市場はインバウンド数と正の相関があり、2023年のインバウンド数は現時点で前年比5.2倍で推移している。日本政府は2030年6,000万人を目標に掲げており、今後も様々な施策が実施される可能性がある。

結論を出しますね。
冒頭の需給バランス四分類で言えば、
ここに当てはまりつつあるのでは
ないでしょうか。



うどん・そば市場の予測需給バランス


釣り堀(=うどん・そば市場)の中で、
釣り人(=店舗数・従業者数)が減る中、
魚(=世帯当たり支出金額、訪日外国人数)が
増加傾向にあることから、
このような結果になりました。

いかがでしたでしょうか。
今回は、うどん・そば屋の市場分析を行いました。
ただ、これは日本全体の需給バランスであり、
当然ですが地域によって偏りが生まれます。

日本は他国と比較しても、
地域によって文化が特色が
段違いに異なります。

香川県がうどん県と呼ばれるように、
地域によって消費性向は異なります。

従って、
日本全体だけでなく、
さらにお住まいの地域についても
詳しく分析する必要があります。

そこで後編からは、
うどん・そば市場のレッドオーシャン・
ブルーオーシャンな都道府県

特定していきます。

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