見出し画像

街によって表情を変えるドイツと、私がヨーロッパを愛する理由


冬の終わり、初めてのドイツは、褐色とグレーがかった世界だった。

中世の騎士たちの世界が垣間見える歴史品、街中に溶け込む、かつての王が住んだ城、第二次世界大戦の痛い爪痕。

歴史の重みが、ドイツの空気には含まれていた。

記事で紹介する都市

歴史の詰まったおもちゃ箱
〜ニュルンベルク〜

ミュヘンから一時間近くの場所にあるニュルンベルクは、小さな城下町だった。”歴史の詰まったおもちゃ箱”とも呼ばれるらしい。

駅を降りて城下町に入ると、まるでハリーポッターの世界のようだった。


中央広場に出ると、聖ローレンツ教会があらわれた。パリのノートルダムの大聖堂を初めて見た時の感覚に似ていた。
一つ一つの小さな彫刻、近づけば近づくほど気づく芸術の細やかさに、思わず目を奪われた。


聖ゼーバルドゥス教会。ニュルンベルク最古の教会の中には、美しいオルガンがそびえ立ち、ステンドグラスが美しく輝いていた。

有名なニュルンベルク城。高台に登ると、ニュルンベルク市内を一望でき、博物館も併設されていて、中世の世界を知ることができる。


鎧や剣に盾。その一つ一つが、職人技で芸術品だった。武具をつくる職人は、生涯を懸けて己の作品を創り、その武具を使う戦士は、命を懸けて自分の領土を守るために戦うのだと、ひしひしと感じた空間だった。


こじんまりとした可愛らしい街並み、売られる鮮やかな花々、地元の居酒屋のビールとソーセージ。
ニュルンベルクで過ごした5日間は、記憶の断片に眠っている。クリスマス時期にも、この街にまた行きたいな。


◇◇◇

ドイツの水の都
〜ハンブルク〜


ICE(ドイツの特急列車)でニュルンベルクから5時間かけ、ハンブルクに北上。

ドイツ最大の港町であり、北のヴェネツィアと呼ばれるほど美しい風景が魅力的と言われる。

最も有名な観光スポットは、赤レンガが立ち並ぶ倉庫街。

あいにく曇っていたけれども、晴れていたらきっともっと美しく、夜のライトアップも名物と言われている。


ハンブルク市庁舎。エメラルドグリーンの屋根が印象的で、宮殿のような外観。


ハンブルクの中心にあるアルスター湖。
湖の周りでは、人々が座っておしゃべりをしたり、アイスを食べたり、音楽を奏でたり。

街の中心にこんな憩いの場があることが素敵だなと思った。晴れの日は、一日中、湖の前で歌う人の綺麗な歌声を聞きながら、ゆったりと過ごせてしまいそう。

先ほどのニュルンベルクとは味が変わり、ハンブルクは大きなショッピングモールがあり、人口も多く、活気のある明るい街だと思った。

「水の都」という言葉のように、ハンブルクの空気は澄んでいて、きれいで、少し冷たくて、海の近さを肌で感じた。

ハンブルクの港では、日曜日の朝早くに、フィッシュマルクと呼ばれる有名な魚市場が開催されるそう。
次はフィッシュマルクにも行きたいな。

◇◇◇

繁栄と哀愁の影を持つハンザの女王
〜リューベック〜


ドイツの北のバルト海の沿岸町には、いたるところにハンザ同盟の面影が見られると言われる。

ハンザ同盟とは……中世時代に通商、交易上の利益保護を目的として結成された連合体で、王侯貴族の支配を受けない自由都市のネットワーク

https://allabout.co.jp/gm/gc/445580/

中でも、ハンザ同盟の実権を握っていたリューベックには、当時の繁栄が色濃く残っており、その美しい旧市街は「ハンザの女王」と呼ばれるほどだ。



駅から旧市街に向かうと見えてくるのは、「ホルステン門(Holstentor)」。
15世紀後半に、町の防衛と権威の象徴のために建てられた頑丈な門。門の上部には、「内に結束を、外に平和を」という文字が書かれている。

不思議で、威厳のある、おとぎ話の中のような門だった。

ホルスステ門を抜けてすぐ、トラべ川沿いには、塩倉庫が並ぶ。
ハンザ同盟時代、塩は富や権威と結びついていたと言われ、重要な資源だったそう。

聖ペトリ教会から街を一望。


奥に見える緑色の塔はマリエン教会。マリエン教会には、第二次世界大戦の爆破で落下した鐘がそのまま今も展示され、当時の被害の大きさと戦争の悲惨さを伝え続けている。

散歩心をくすぐる街並み。
路地裏や小道に入ると、壁の落書きや煉瓦造りの建物を切り取ると、まるで絵のようだ。


リューベックは、独特な雰囲気のある街並みだった。かつてハンザ同盟で栄えた都市と言われているが、どこか哀愁漂う不思議な空気が流れていた。

それでも、その哀愁漂う空気は、決して私を暗い気持ちにさせるのではなかった。中世時代の繁栄と、世界大戦の荒廃の時代を生き抜いた都市だからこそ、希望が、街に微かな温もりを与えていたのかもしれない。

◇◇◇


こうして改めて記事を書くと、ドイツはその都市により表情を変えること、空気が全く異なることがよく分かる。

歴史の重みや、その都市に生きた人々の魂、華やかな時代を謳う色彩と建造物、世界大戦の悲惨さを伝える爪痕、心を洗う郊外の豊かな緑と自然。

土地に身を置くだけで、五感が沢山動くから、私はヨーロッパを愛することを止められない。

初めてパリに恋して虜になった四年前から、ヨーロッパを好きだった理由を、大人になった今なら言語化できる。

感性が踊る。生きている感覚がある。


「行けばいいじゃん。ヨーロッパ。」

あまりに軽やかに発されるその言葉に、頷けるほどの覚悟を今は持ち合わせていない。
魅力と重みが混ざった二言だ。

それでも定期的に行きたい土地で、私はこれからもヨーロッパの歴史や芸術、文化を学んで、訪れるたびに生き生きと、全身で、土地に詰まった過去と今の人の想いと感性を感じ取って、写真と文章で表現していきたい。


◇◇◇

読んでくださり、ありがとうございます!
3月に出張で訪れたドイツです。
観光の記事をようやく書けました。

参考にしたサイトです。



あこ


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?