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【選挙ウォッチャー】#0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議。

「LGBTは生産性がない」と語った杉田水脈議員の辞職を求め、今ではすっかり忘れ去られた「プレミアムフライデー」の7月27日、永田町の自民党本部前では大規模なデモが行われました。「生産性がない人間に税金を投入する価値はない」という「現代のナチス」を見るような発言をした国会議員に、多くの人が拒否反応を示した結果と言えます。「安倍晋三に反旗を翻す人間は『干す』」と言われている自民党総裁選を9月に控え、杉田水脈さんにとってはリップサービスのつもりだったのかもしれませんが、現代の自民党がどれだけ腐っているのかを象徴するような話に発展してしまい、BBC、アルジャジーラ、CNNなど、海外のメディアがセンセーショナルに報じています。

世界の人たちから「日本、半端ないって!」と思われているわけですが、自民党の議員たちが杉田水脈さんに一言でも注意するのかと思いきや、二階俊博幹事長が「人それぞれ人生観はある」と擁護する発言をかまし、もう自民党の内部に「オマエ、何言ってんだ!」と物申す人は殲滅されていて、安倍晋三仲良しシスターズの稲田朋美さんがTwitterで「私が自民党の政調会長だった頃はLGBTに寛容な社会を作る保守の議員として頑張ったわよ」と、いわゆる「女の争い」で苦言を呈すぐらいのものになりました。「自民党の品位を穢す極めて不適切な発言だ」と言って除名するぐらいのことをするのなら、まだ自民党を評価できようものですが、ここまで腐っているとなると、とっとと潰れた方がいい政党なのかもしれません。自民党の中にいたはずの「保守」の人たちは、本当に1人も生き残っていないのでしょうか。


#0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議

自民党本部前には主催者発表で5000人の方々が集まりました。いつもの自民党本部前抗議よりは多いですが、それでもLGBTの方々が殺到して大変なことになるという雰囲気ではありません。日本では国会議員が人権を侵害する発言をしても、「安倍総理にスカウトされた人だから」ということで自民党内で批判されるようなこともなければ、ネット上では「LGBTが差別されるのは当たり前じゃないか」と認めてしまい、抗議への不参加を呼びかけるLGBTの方もいらっしゃいました。残念ながら、日本という国は議員だけでなく、国民も「人権」に対する意識は低いのです。

それでも、抗議をしなければこんな発言が当たり前に繰り返される社会になってしまうと思って立ち上がった人たちが、ここに集まりました。なにしろ、「LGBTは生産性がない」という思想は、杉田水脈さんの個人的な意見ではなく、二階俊博幹事長も「個人の見解」として容認する「自民党の総意」なのです。その証拠に、都内で活躍するLGBTの区議会議員たちが抗議に参加し、自民党本部に抗議声明を届けようとしたのですが、あろうことか「門前払い」されてしまったのです。

自民党はこのような抗議集会があることを知っていて、だから警察が大々的に警備にあたっていたのですが、文京区議の前田邦博さん、世田谷区議の上川あやさん、豊島区議の石川大我さん、中野区議の石坂わたるさんが抗議声明を届けに行ったところ、議員たちの立ち入りを拒否し、「上司に何も受け取るなと言われている」と言い、抗議声明の受け取りさえ拒否しました。自民党の職員が中から出てきて対応することもなければ、「上司に言われているから受け取れない」と言い張ってきかない末端の警備員が門前払いするだけ。これはつまり、「あなたたちの声なんて聞きません」と言っているに等しい態度です。嘘でも「ご意見賜りました」と言うのかと思いきや、国民の意見に耳を傾ける気はゼロなのです。日頃の安倍政権の態度がこんな所にも表れているのです。

しかも、当初はめちゃくちゃデカい態度で拒否していた警備員。「オマエ、誰だよ!」とツッコまずにはいられませんでしたが、同行していた弁護士の大人の対応で少しずつ対応を軟化。最終的には警備員のオッサンが受け取ることで決着したのですが、これで自民党の職員や議員に伝わるのかどうかは超絶微妙です。自民党様の警備をしているというだけで態度がデカくなる警備員ですから、「このわけのわからない抗議は自分のところで止めるのが正義」と思っていても不思議ではありません。自民党の職員に自信満々で「こちらで適当に処理しておきましたから大丈夫です!」と言ってしまうくらいの無能だったら救いようがありません。今の自民党には、警備員を含め、それくらい信用がないので、この抗議の声が届く期待ができないのです。

たとえマイノリティーだとしても、この声が政権与党である「自民党」の方々に届かないのだとすれば、この国で幸せに生きるのは難しいでしょう。未曾有の豪雨災害でたくさんの方々が亡くなっている瞬間にも自民党の総裁選のために会合を開いていた安倍総理です。国民が命からがらの状態にあっても、そういう人たちを放置してまで自分が総理大臣で居続けられるかどうかにしか興味がないのですから、男女のカップルが子供を産むか産まないかの「生産性」という観点で見ている部下の発言に注意なんかするはずがないのです。この国は人権意識だけでなく、あらゆるものがとんでもない勢いで衰退しているのですが、この事実に気付いている国民こそが「マイノリティー」になっているため、もう無視される存在になっています。恐ろしい時代に突入しています。しかも、このトンデモ発言にいくつかの政治家が反応しているのですが、ことごとくアホ過ぎてビビります。


■ 松井一郎知事の不適切な発言と謝罪

大阪府知事で「日本維新の会」の代表である松井一郎さんは、杉田水脈さんの不適切な発言を受け、「オカマもゲイも納税者だから生産はしているでしょ」とツイートしました。のちに、「オカマ」という言葉が差別用語だという抗議を受け、謝罪ツイートをしているのですが、こんな感じです。

昔はニューハーフや女装をしている方々を「オカマ」と呼んでいましたし、今でも「オカマ」と呼ぶ人は少なくないと思いますが、多くの方が差別的な意識を持って発言しているわけではないと思います。なので、言葉のチョイスが適切か適切ではないかは置いといて、このツイートの最も不適切な部分は「納税者であれば生産している」という価値観です。こうなってくると「納税していない人は生産していない」ということになり、杉田水脈さんの言葉を引用するなら「生産していない人のために税金を投入するのは無駄」になります。そうすると、病気などで働けない人、貧困で税金が納められない人には「税金を使うべきではない」ということになってしまい、社会の役に立っていない人と判断された人が生きることを認められなくなってしまいます。相模原市の障害者施設「やまゆり園」が襲われ、19人もの尊い命が奪われた惨忍な事件から、ちょうど丸2年。犯人である植松聖被告は「障害者は不幸しか作れない」などと言い、入所している障害者のために家族や国がお金を負担していることを「不幸」だと考えました。どうしてこのような発想になってしまうかと言うと、幸せの基準を「お金」にしているからです。障害者のためにお金が使われることは「不幸」で、世の中に貢献しているかどうかは「お金を稼いでいるかどうか」で決められる。この思想こそ、松井一郎府知事の「納税しているから生産している」などという発言につながると僕は考えます。しかし、当然のことながら、人の幸せというのは「お金」で決まるわけではありませんし、どれだけ納税しているのかで人の価値が決まるわけでもありません。そんなことを言うなら、納税するどころか税金でメシを食っている松井一郎さんこそ「穀潰しのクソ野郎」になるではありませんか。もちろん、税金があってこそ世の中が回るわけですから納税してもらわなければ困るわけですが、納税できない人が差別される世の中になってはならないのです。すべての人が幸せに生きるために「税金」というものが存在しているのですから。


■ 日本維新の会・足立康史議員に見るネトウヨの悲しい世界

杉田水脈さんは紛れもなく「オタサーの姫」ならぬ「ネトウヨの姫」だと思います。「オタサーの姫」とは、一般女子の争いの中ではけっして勝つことのできないパッとしない女子が、男ばかりのオタクのサークルに入ることで、モテない男たちからチヤホヤと姫のようにもてはやされること。基本的に臭いジジィばかりの「保守」の世界において、杉田水脈先生は一輪の花。臭いジジィたちがチヤホヤした結果、とてつもないミュータントに成長してしまったのです。ただ、自民党の議員たちが注意の一つもできない中、杉田水脈さんと一緒にテレビに出演し、ネトウヨ人気に乗って国会議員としての名声を手に入れようとしていた日本維新の会の足立康史さんは、まさかの正論を展開しました。足立康史さんはTwitterで公然と杉田水脈さんを批判しているのです。

実は足立康史先生、ここ最近はネトウヨの凋落を肌で感じているようで、ネトウヨに支えられている「日本維新の会」が終わる日も近いことをうっすら悟っているようなのです。なので、立憲民主党サポーターになってみたりして、ネトウヨには「敵陣視察だ!」と見せながら、実際には温度を探っているように見えます。もっとも、こればっかりはご本人が「そんなことはない!」と言ってしまえばおしまいなのですが、選挙期間中に「小選挙区で勝てなければ比例復活を辞退して政治家を引退する」と約束したのに、いざ本当に小選挙区で負けてしまうと、「多くの人に期待されている」と詭弁をホザいて、何の恥じらいもなく約束を破って比例復活で議員に返り咲いた足立康史先生なので、足元は完全にグラついています。足立康史さんは空気に敏感だからこそネトウヨをこじらせ、痛い議員の筆頭になっているので、このままでは自分の議員生命が終わってしまうかもしれないことに気付いていないはずがなく、ご本人は相当の危機感をお持ちだとお察しします。だから、このLGBTの問題には杉田水脈さんに正論を吐いたのですが、悲しいことにネトウヨには全力でスルーされていました。

立憲民主党に対するフワッとしたイチャモンには極めて短時間で「1216リツイート、2782いいね」がつけられているのに、杉田水脈さんに対する正論では1週間経っても「27リツイート、91いいね」しか伸びていません。11万3000フォロワーを持ちながら、この絶望的なリツイート数なので、ネトウヨの支持者たちから賛同を得るためには「まっとうなことを言ってはいけない」ということになり、フォロワーにウケるためにはひたすら偏るしかない地獄なのです。


■ 小野田紀美さんが同じ穴の狢である話

先日の西日本豪雨災害ではTwitterを使って効果的に被災地で役立つ情報を発信していた自民党の小野田紀美さんですが、杉田水脈さんの発言に触れ、こんなツイートをしました。

憲法で定められた国民の義務は「勤労、納税、教育を受けさせること」。義務を果たしていれば権利を主張して良いと思う。この発言の奥に、実は杉田水脈さんと同じメンタルがあることを感じずにはいられませんでした。最近、いろいろな所で「義務と権利」の話を聞くことがあります。例えば、給料の上がらないブラック企業では「給料を上げろと交渉する前に、まず売上を上げろ。権利を主張するなら義務を果たせ」みたいなことを言い出します。しかし、この理屈は最も肝心な部分が抜けているのです。それは従業員に「義務と権利」があるのなら、企業側にも「義務と権利」が存在し、従業員側に給料の値上げを求める権利があるとするならば、企業側には「社員の給料を上げる義務がある」ということです。そして、もし「義務と権利」に順番があって義務を果たすことが先だとするならば、まずは企業側は先に給料を上げなければならないということになるのです。それを従業員にだけ「義務と権利」の話を押しつけるのは明らかにアンフェアであり、もっと言うと、「基本的人権」というのは義務を果たす果たさない以前に存在するもので、働いていなくても、納税をしていなくても、教育を受けていなくても守られるべきものなのです。もし、そうではない場合、病気や障害で働くことができず、納税をできず、教育を受けることもできない場合には「死ね」ということになってしまいます。日本が近代国家であるというならば、そんな世の中にしてはいけないはずです。それをわかっていない人間が国会議員をやっているというのが大きな間違いなのです。

「文字数の問題で脊髄反射させてしまう書き方になっていた」と言っていますが、「義務を果たしていれば」の一文があるので、何を言っても無駄です。ただでも日本は人権意識の低い国としてお馴染みになってきているのに、誰かに聞いた「義務と権利」の話を何の疑いもなく、平気で使ってしまう国会議員がいる現実。世界の人たちは知れば知るほど驚きでしょう。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

杉田水脈さんの発言は、ただLGBTの方々が差別されただけの話でありません。この国には「人権」をちゃんと考えられる自民党の国会議員が存在せず、しかも、「差別をするな!」という当たり前の抗議に耳を傾けるつもりもないということです。安倍総理に逆らった者は出世もできず、国会議員としての仕事もさせてもらえなくなってしまうから、国会議員によって国民が傷つけられることがあっても、見て見ぬフリをする大人たち。せっかくの夏休みです。全国の子どもたちに、この酷いありさまを見てもらうことにしましょう。人を平気で差別する人間に、文句の一つも言えないクソみたいな大人たちが国会議員をして、アメリカのトランプ大統領の支援者のためにカジノを作って喜んでいるのです。国民が死にかけていても、国民が国会議員に差別されていても、「国民のために働こうぜ!」とか「そんな酷いこと言うなよ!」と言う自民党の議員は、ただの1人もいません。日本はこのまま自民党によって沈められてしまうのでしょうか。[了]


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