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【選挙ウォッチャー】 京都府議選2023・京都市南区レポート。

 3月31日告示、4月9日投票で、京都府議選が行われました。
 京都市南区は、定数3に対し、4人が立候補しましたので、1人だけが落選する選挙だったのですが、明らかに1人だけ泡沫候補っぽい雰囲気の人が立候補していましたので、ある意味、選挙をやる前から結果が決まっているような選挙になってしまいました。面白さは全然ありません。

秋田 公司  69 現 自民党
小鍛治 義広 55 現 公明党
森 吉治   66 新 日本共産党
秋良 克温  54 新 無所属

 もはや京都だけの問題ではないかもしれませんが、今日は無料部分でバスを中心とした公共交通機関について考えてみたいと思います。こうした課題をどのように解決するのかということも、今後、議論していかなければなりません。僕たちが考えなければならないことは、めちゃくちゃ膨大にあるのです。




■ 京都市南区・選挙ボード解説動画


■ 検討され始めている「交通税」

 実は今、「交通税」なるものが隣の滋賀県から始まりそうです。
 全国初導入を目指しているのは三日月大造知事で、交通を維持するための新たな財源として「交通税」なるものを検討するとしています。京都市内では既に「宿泊税」が取られていますが、次から次へと新しい税金が生み出されて、僕たちの負担は増すばかりです。
 この「交通税」が語られるようになったのは滋賀県が初めてですが、フランスでは似たような税制が存在し、事業者から徴収する仕組みになっているようです。
 滋賀県の試算では、現状維持のために最低でも年間25億円が必要だとされており、最低限の本数を維持するために94億円、最も理想的な形を整えるためには128億円かかると計算しているようです。三日月大造知事はこの「交通税」の導入にかなり前向きで、「絶対やるマン」になっている雰囲気です。隣の京都府も似たような交通事情を抱えているため、参考にしてくる可能性があります。今後、「交通税」の導入をめぐる議論は加速化してくることでしょう。
 実は、日本のバス路線は、まったく儲からないものになっています。
 ただでも厳しいバス路線が、コロナ禍で利用客が離れ、全国の路線バス事業の9割が「赤字」になりました。2021年度は、全国218社中13社しか黒字だったところがないのです。しかも、大都市圏でバスを運行しているからと言って、必ずしも黒字であるとは限りません。東京の国際興業、大阪の京阪バスなども路線を縮小・廃止。富田林市の金剛自動車はバス事業そのものから撤退することになりました。
 また、黒字の会社であっても、どうして黒字を維持できているのかと言えば、不採算路線の減便や廃止などで赤字になることを避けられているからに過ぎず、結局、減便や廃止なくしてバス事業が成り立たないという非常に厳しい現実があります。
 燃料代の高騰などにより、バスの運行コストが上がっている上、バスの運転手さんが不足しています。日本バス協会は2030年度に3万6000人のバス運転士が足らなくなると試算をしていて、その大きな原因は「賃金の安さ」にあるといいます。
 バスの運転士の平均年収は399万円(2022年)。全産業平均が497万円なので、100万円ほど安い計算です。さらに、トラック運転手の賃金が477万円であることを考えると、同じ大型免許でお金を稼ぐのであれば、トラックを運転した方が魅力的であるという現実があります。
 世界的に見ると、バスや電車などの公共交通は、ほとんどの国で「公共サービス」になっており、ほとんどが民営化されていて、ビジネスとして成り立っている国は珍しいといいます。いよいよ日本は少子高齢化によって、他の国々と同様、公共サービス化していかなければならないターンに入っているのかもしれませんが、せっかく質の良い事業者たちが頑張っているにもかかわらず、ここに「ライドシェア」という概念をいきなり投入し、さらに事業者を滅亡させようとしているのが、今の日本です。税金ばかりが高くなって、質の良い公共交通がなくなる可能性もありますので、このあたりは慎重に見ていかなければなりません。


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