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素敵なお兄さんに道を聞かれただけ

改札を出て時計を見たら待ち合わせの15分前。よし、駅近のお店だから、ちゃんと余裕がある。

今日はとっても楽しみなご飯の予定があって、るんるんしながらエスカレーターを昇る。駅の4番出口を出る。ちょっと前まで住んでた場所、ちょっと久しぶりの光景。引っ越してからも何回か来たので、別にエモいってほどではないけど、でもやっぱり感情が動く。見慣れた景色を流しながら、足取り軽く歩いて行く。

ん??違和感を感じて目を上げると、若いお兄さんがこっちを見て何か言ってる。イヤホンを取って「?」という顔をすると「道聞いてもいいですか?」と。あーこれは、道を聞くふりして連絡先を聞いてくるやつか。でも素敵な人だなぁ。黒髪に、モノトーンでまとめた上品なファッション、こんな硬派な感じの人がナンパなんてするんだ。

ちょっと不審がりながらうなずくと、「スタバってどこですか?」と。スタバ?妙にピンポイントだな。記憶を辿って、右側を指差す。「あっちです。ここを突き当たりまでいくと…看板が見えると思います!」一生懸命腕を伸ばして説明する。「ありがとうございます!」お兄さんはそう言うと、爽やかな笑顔を浮かべて歩いていった。

ま、まさかの、ただ道を聞くパターンか。

置いてけぼりになった笑顔を回収して、ふっと警戒が解けると、自分が少し期待していたことが分かった。うん、ちょっと恥ずかしい。複雑な気持ちを蒸発させながら歩き出す。いや、ただ困ってる人を助けられたんだから、いいことしたよな。まじで微妙な反応しなくてよかったな。

予定通りお店には10分前に着いたので、Google mapで料理の写真なんかを見て待つ。ちなみに時間にはルーズな方ですが、先輩とのご飯だったらきちんと時間を守る方です。

(今回のお兄さんが素敵だったことは一旦置いておいて、)一般論として、知らない人から損得勘定だけで声かけられるのって本当に嫌だよね。けっこう怖いよね。ナンパに限らず。別にわたしはめっちゃ声をかけられるタイプってわけではないんだけど、飲み終わりの時間帯とかに声をかけてくるのは、普通に怖いからやめてほしいんだよなぁ。

てきとーなオヂが「モテたいならナンパの回数をこなせ!誰でもいいから、とにかく声をかけろ!」みたいなことを言っているのを見ると、辟易してしまう。「声をかける」ってことは「声をかけられる」側も発生するんだよね、当然だけど。わたしはサークルの新歓のチラシを断るみたいに業務的に流していけるほど慣れてもいないので、断るのにちゃんとカロリーを消費するので、けっこう迷惑だよなーって思っているタイプです。

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