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誰もが心の中にさみしい横顔を持っている

何気ない会話だけれども
気をつけないといけないなと感じたことについてです。

先日ラジオを聞いていました。
歌手の方とパーソナリティーの方が話をしておられたのですが
歌手の方が
「私はすごく人見知りで…
 〇〇さんは(このパーソナリティーさんのことを指して)
 そうじゃないと思うのですが」
とおっしゃいました。

それに対してパーソナリティーの方が
「そんなことありませんよ
 きっと人見知りでないふりをすることが
 上手になっただけだと思います」
と回答されていました。

それを聞いてすごく上手い返しだなと思いました。
相手の言うことを否定せずに
けれども自分の思っていることもちゃんと伝えておられたので
さすがだなと感じました。

ただこの会話を聞いていて感じたことは
自分が悩んでいることについて
他の人も同じように悩んでいるというようには
なかなか思わないものかもしれないなということでした。

また、明るい人を見たら
「この人悩みなさそうだな」というふうに
勝手に決めつけがちだなと感じました。

この「〇〇さんは人見知りじゃないと思うのですが」という言葉に私は
「あなたには私の気持ちはわからないと思いますけれど」という
ニュアンスを感じました。

これは私が
人見知りというところに日頃から引っかかりを感じているので
ちょっとうがった見方をしただけかなと思うのですが…

この「あなたに私の気持ちはわからないと思います」というのは
なかなかに攻撃力の強い言葉だなと思います。

誰かと喧嘩をした時に
言ってはいけない言葉、相手との関係をダメに知ってしまう言葉の一つに
「どうせあなたには私の気持ちなんてわからないでしょう」
という言葉があります。

この言葉の危うさについては何かの小説で読んで知りました。
(出典元を忘れてしまいました)

この言葉は相手を突き放すと同時に
自分を理解しようとしない、理解できない相手を責める
という意味を持っており
相手にダブルパンチを食らわせることができます。

また自分からは歩み寄る気がないということになるので
関係の修復ができないということになります。
「私のことわかってよ」と泣き叫んでいる方が
まだましなくらいとのことです。

この言葉がそういう意味だというのを知ってから
相手に腹が立って喉元にまでこの言葉が出かかっても
グッとこらえるようにしています。
(ただ反抗期の頃は親に対して結構言ってしまったので
 それに対しては非常に反省しています)

これらのことを考えていた時に
「誰もが心の中にさみしい横顔を持っている」
という言葉を思い出しました。

子供の頃に読んだ児童文学の中に出てきた言葉で
どんな本だったかちょっと忘れてしまったのと
厳密にこのセリフだったかどうかも不明です。
もしわかる方がおられたらぜひ教えていただきたいです。

子供心にも非常に印象に残ったフレーズでした。
「本当にそうだなぁ」と感じますし
同時にそれを結構忘れがちだなというようにも思います。

私も明るくハキハキしている人が羨ましいですし
人と楽しく交流できる人が非常に羨ましいと感じます。

ただ先ほどの
「人見知りではないフリをすることが上手になった」という言葉のとおり
どんな人であったとしても
10代半ばを超えて天真爛漫なまま
傷つくこともなく過ごしてきた人など皆無と言っていいと思います。

明るい人を見るとつい
「この人は私が持っているような悩みなんてないんだろうな」
と思ってしまうのですが
単に悩みなんてないフリをするのが上手になった
というだけであるということが大半だと思います。

過去に、通り魔事件の犯人の供述で
「幸せそうに見えたから刺した」というようなものがありました。
それを聞いた時は開いた口が塞がらないというか
なんて想像力が欠如してるんだろうと感じましたし
それこそ「あなたにこの人の何がわかるの?」と言いたくなります。

けれども同時に、この通り魔の気持ちを
私もなんとなくわかってしまうなとも思います。
気持ちが腐っている時に楽しそうに過ごしている人を見ると
「いいわよね、あなたは」と心の中で毒を吐く時もあるからです。

普段、大人になればなるほど
表面だけ触った言葉でやり取りをするということに
終始していることがあると思います。

お互いに平気で何も問題がないという顔をすることが上手になっているから
そういうことができるのかなと思います。

ただごくたまにその人の過去
深い部分で感じていることを聞く機会があり
普段は見せないさみしい横顔を垣間見る時があると
ハッとさせられることがあります。

私この人のこと表面だけで見ていたなとか
この人のこと何もわかっていなかったんだな
ということに気づかされるためです。

その瞬間急に、相手の姿がくっきりとして
普段は「私とその他の人たち」という世界観の中にいるのが
「私とあなた」というように
相手という自分とは別の
けれども同じようにもがいて生きてる人の存在がいるということに
気づかされるからだと思います。

この「誰もが心の中にさみしい横顔を持っている」という言葉を
なるべく思い出すようにしていきたいなと思っています。

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