見出し画像

隅々まで上下関係が働く社会で、小さく心の消耗を続けている


こんばんは、塩谷です。

仕事の都合で大阪の実家に帰省していたのですが、10月21日の夜から体調を崩し、しばらく入院することになってしまいました。今は大阪の病院で安静にしています。

幸いにも順調に回復していて、今週中には退院出来そうなのですが、お仕事関係ではたくさんのご迷惑をお掛けしてしまい、ごめんなさい。

とくに熊本でイベントを企画してくださっていた方々、参加予定だったみなさまには、本当にご迷惑をお掛けしてしまって……心苦しい限りでした……。かならず、どこかで埋め合わせさせてください。


ここnoteでのマガジンも、月4本の更新のお約束を破ってしまうのでは……と焦ったのですが、衝動的に書いていたものの公開してなかったものが下書き欄に地味に溜まっていたので、そちらをポツポツ出していきたいと思います。蓄えがあってよかった……。

noteの月額マガジンは、私たちのような人間の生きる術としてはとても良いのですが、個人でやっている場合、蓄えがなきゃ弾切れしちゃいますね。そこはやっぱり、チーム戦の強さを痛感します。




生まれてきた時を除けば、入院をするのは初めてです。初めてなのに、初めてじゃないような居心地で驚いてます。ぶっちゃけ、すごい居心地が良い。なんだろうこれは。すんごい普通の市民病院なのですが……。


宿泊するといえば飛行機やホテルですが、そういうのとは全然違うこの感覚。

なんでだろう? と思ったのですが、サービスに無駄がないのと、看護師さんたちがめちゃくちゃカジュアルなんですよね。

「これ食べれました〜?」
「あ、いいですね〜」
「これ痛いよね〜…ごめんごめん!ちょっと我慢!ちょっとだけ!」

みたいな感じで接してくれる。ホテルのように過剰なサービスもないけれども、清潔だし、UXは良いし、必要なものはだいたいある。

そして何より、社会的地位、グレードみたいなものがとっぱらわれている空間は、居心地が良いのかもしれないなぁ〜…と思いました。


私たちの生活には、隅々まで上下関係が働いていて、そこで小さく心の消耗を続けてしまってることがあります。

これは上下関係の「下」だけが消耗するわけじゃなくて、立場上「上」だったとしても「気を使われないようにしなきゃな」「心の距離感が遠すぎるな」「立場上、それなりにしっかりしなきゃいけないな」などの心労が付きまとうんじゃないかなぁ。心が硬くなっちゃう。

さらに日本の接客は、型にハマッた喋り方やマニュアルの暗唱をしていることが多く、そういうものも心を「硬く」してしまう気がします。

ニューヨークの販売員さんなんかは、営業中でも飲食したりガム噛んでたり、座ってたり、SNSしてたりすることをよく見かけます。「雑か!」と見えますが、ちゃんと仕事さえやってくれれば、べつに、誰も何も迷惑しないですよね。商品が汚れたりしたらアレですが。


私も昔、アパレルの販売員を1年、アートの販売員を1年やっていたことがあります。19歳の時と、23歳の時。両方百貨店でしたので、求められる接客レベルは厳しかったです。

ですがよくよく考えると、「なぜ立って待機しているのか」という点に、合理的な理由なんてあんまりないんですよね。思いつく範囲では万引き対策と、試着したいお客さんの空気を察知してサポートすることくらいですが、狭い店内だと別に座っててもそれくらい察知できます。


とくにお客さんのいない時間なんかは、SNSを使い、それで集客していた方がよほど店のためになるかもしれないのに、時間を有効活用出来ず、ただただ立ってニコニコしておかなきゃいけない。

そこに疑問は抱いていましたが、大きな百貨店だったので、小さなアルバイトの意見が通る訳もなく。脚を痛めながら、長時間たち続けてきて、いつもと違う声色で「いらっしゃいませぇー」と唱えまくっていた気がします。今思えば、アンドロイドみたいです。アンドロイドに迎えられて、お客さんの心がほぐれる訳もありません。



と、少し脱線してしまいましたが、とにかく「これさえあれば十分な、でも清潔なサービス」「人間らしいカジュアルな接し方」は、場の空気をとても和やかにするなぁと思ったのです。

あと、タメ口効果もすごい。そもそもタメ口で接客されるところって、病院と地方のタクシー、大阪の商店街くらいじゃないかと思うのですが。(もちろん、敬語を使う看護師さん、お医者さんもいますが……)


Photo By YansuKIM


私が去年から夏に開催しているクリエイターキャンプ #BuzzCamp南三陸 では、上下関係をとっぱらって、みんな高校生の修学旅行みたいな感じで行くんですね。そうすると、打ち解けるのがめちゃくちゃ速いし、ブレストでの意見もバンバン出る。

別にBuzzCampではタメ口を推奨している訳ではありませんが、自然みんなタメ口になっている人が多い。会議室で名刺交換から出会ったら、なかなかこうはならないよなぁ……と思わされます。


こういう点は、メディアにも応用できるかなぁ、と。

「記憶に残るWebメディアの作り方」としては、私流のやり方ですが、


ここから先は

1,965字 / 1画像

¥ 250

新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。