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017 『バックスタッブを極めしキワモノ』第3章

息子は元気に育っていった。特に足が速かった。さすが義賊の息子。運動会の徒競走では負け知らずだった。この子ならバックスタッブを受け継いでくれるかもしれない…そう思った。

子どもに教えることは、自分が親から教えられたようなものになるのは自然かも知れない。

人を傷つけちゃいけないよ
ありがとうを忘れないように
嘘はつかないように(嘘をつかなきゃいけなくなるようなことはしないように)

この辺は幼い頃からうるさく言ってしまっていた。でもこんなのは小さい子どもにできるわけがないのだ。振り返ると本当に恥ずかしい。

嘘をつくなというのは特にうるさく言ってしまい、ときに厳しく怒ってしまった。だけどその結果、逆に嘘をつくようになってしまった。子どもとしては親に怒られたくないのだから嘘をついて逃げようとするのは当然だ。

忘れられないのはあの子が幼稚園の遠足で公園に行ったときの話。

お弁当のおかずに入っていたイカフライを地べたに落としてしまったらしく、遠足のお手伝いのママさんが「落としちゃったの?」と優しく聞いてくれたらしい。それに対して長男クレスは「飛んで来た」と答えたそうだ。イカフライが自ら飛んで来るわけがない。わかりやすい嘘というか言い訳というか、そのママさんは可笑しくて仕方がなかったと言っていたそうだ。わたしもこれを聞いた時はゲラゲラ笑った。

自分が疲れていてつい怒りすぎてしまった、そしてそのあとで自分の情けなさに気づいて凹む…というのは誰にでもあることかも知れない。でも子どもはいつだって、それを忘れたかのように近くにいてくれる。申し訳なかった…そう思ってぎゅっと抱きしめてあげる、ここまでがセット。

そんな明るくて元気が取り柄の長男が少しずつ変わってきたのは、反抗期を迎えたからだろうし、小学生の時の転校も少なからず影響していたと思う。

で、バックスタッブの話はどうなった?🤣

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