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春にただよう

子どもが産まれてもうすぐ4ヶ月になる。
日々書き溜めておきたいことだらけなのに、なかなか書く時間がとれずにここまで来てしまった。

この4ヶ月は、変化の波の中を泳いでいるようだった。

出産後、あちこち痛む身体を抱えながらの育児のはじまり。

産まれたばかりの我が子は軽くて小さくてまだ目も合わなくて、まるで夢の中にいる生き物を抱いているようだった。

毎日寝不足で満身創痍なのに、不思議と子どもの泣き声が聞こえると一瞬で目が覚める。暗がりの中、オレンジ色の明かりを頼りに授乳した夜の時間は二人で深海にいるような感覚だった。不安で心細くて、けれど胸の中にすっぽり収まるあたたかな温もりが「大丈夫だよ」と伝えてくれているような気がした。

目を見て笑う、「あーうー」と声を出す、足の力が強くなる、色々な表情をする、昼夜のリズムができてくる。

授乳・おむつ替え・お風呂・寝かしつけの繰り返しの毎日の中、気がつけば子どもはぐんぐん変化していく。

意味のある言葉はまだ話さないけれど、その分全身で気持ちを伝えようとしている我が子の生命力に圧倒される日々だった。

3ヶ月が過ぎ、体重が生まれた頃の倍になりずっしりとしてきた頃、私の緊張や心細さも少しずつ和らいできた。季節も巡って春になり、あたたかい風と淡い色の花たちが、怒涛の日々をのりきったご褒美をくれているように感じている。

子どもがご機嫌な時間は、絵本を読んだり歌を歌って過ごしている。そうしているうちに、空想の世界や音楽が大好きだった子どもの頃の記憶が蘇ってくる。子どもと過ごす時間を通じて、心の中にある子どもの頃の自分にも出会いなおしているのかもしれない。

今は自分の輪郭が揺らいで、曖昧になっている状態だ。生活リズムは子どもに合わせてとてもゆっくりだし、お仕事もお休みしてしばらく経つ。これから何にアクセルを踏みたいかも、まだ決まっていない。焦る気持ちが全くないかというと嘘になるけれど、この状態を心地よく感じている自分もいる。

この時間が未来にどうつながっていくのかはまだわからないけれど、子どもと一緒に感性をひらいて漂う日々を存分に味わってみたい。

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