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#ほろ酔い文学

お酒をテーマにした小説やマンガなどの、創作作品を投稿してください!

急上昇の記事一覧

俳家の酒 其の八「白鷹」

 だが待てよ。これでは答えになってはいない。神々の歌には言霊に寄せるものがあるが、果たして現代俳句において、それを意識することがあるのだろうか?  考えるほどに、あの人の残していった課題には「No」と答えざるを得ない。太古の歌を祈りとするなら、現代俳句はこころの叫び、あるいは呟きとでもいうようなもの。心を突き詰めることなど、神には必要とするはずもなかろう。だから、 「己を見つめる精神は、神代から受け継がれてきたものなのか?」 という問いに「Yes」とは言えない。  ところで

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40

孤独の話をしよう

孤独の話をしよう。 目をつぶると、暗闇がわたしを支配する。穏やかな悲しみが全身を豊かに覆い尽くして、ただ溺れてゆく。目が慣れてくると、暗闇のなかで、微かに光る星屑がある。まぶたの裏でチカチカと。その光がとても希望だとは思えなくて、ただまぶしさだけが絶望を深くする。だれかの輝きが、わたしの影を色濃くするのだから。 毎日楽しい訳がないなんてこと、思春期の頃にはとっくに分かっていた。なのに、なぜわたしは今も生き続けているのだろう。この虚しさを永遠に抱えながら死んでゆくだけの"に

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40

【連載小説⑫‐2】 春に成る/エスプレッソ・マティーニ

※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ エスプレッソ・マティーニ(2) 「え、この後ですか?」 「はい、三人でマスターの為に、お酒作ったんです。飲んでいただけませんか?」 この時、マスターは、少し痩せて、座っている事が多くなった。長い時間は難しいと思った私達は、バーの開店前の一時間で飲んでもらおうと決めた。 今まで学んできた事、それだけじゃなく、マスターと過ごした時間を思い出しながら、私の気持ちを込めた。 エスプレッソを受け取り、敬がシェイクし始める。初めて見るで

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8

個性と運命

こうやって文章を書いたり読んだりしていると、文字の羅列であるこの文章にも個々の癖だったり、その人らしさだったりがあるのが分かる。 顔も声も姿も見えない文字だけの世界でも、惹きつけられるということはあって、好きな文章、好みの文章というものに出会うこともある。 自分にはとても魅力的に思えても他者からしたら難解なめんどくさい文章にしか思えなかったり、単純で単調でつまらないと思う文章でも、別の人はなんて素敵な感性だ、と感じたり。リアルのその人ではなくその人が紡ぐ言葉がたまらなく好き

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青ブラ文学部 詩 「帰りたい場所」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜 傘も差さずに 冷たい通り雨にそぼ濡れて 飛沫くアスファルトの上で 立ち尽くしている君を見た 僕らの生きている時代は 夢を灯しても 暗く黒い風にかき消され 時に踏み付けられる 帰りたい場所は何処にある__ 生きていくことに 心は迷いながら揺れている "優しさ"を目にすることは 出来ないけれど 温かさを感じられるなら こゝろの奥深くにしまった 小さな声が聴こえる その純真なさゝやきに そっと耳をかたむけてみて まっすぐ

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58

俳家の酒 其の七「三文字」

 ところで、かつて日本一の酒どころであった伊丹の地は、伊丹風俳諧が起こったことでも知られている。池田宗旦が開いた也雲軒が核となり、裕福な酒造家を中心に文芸が盛んになった。  そのような中から、「東の芭蕉、西の鬼貫」とも讃えられた上島鬼貫が生まれている。鬼貫の生家は油谷の屋号で知られ、今はなき「三文字」を醸す大きな酒造だったという。  夏の日のうかんで水の底にさへ  これは鬼貫の句。それをなぞれば、連綿と現代に繋がる精神に触れられよう。心の内が鮮やかに浮きあがってくる。 「

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86

月見草と待宵草

「富士には月見草がよく似合う」と太宰は書いた。「月見草がほの暗い中に明瞭りと黄色く揺らぎ」と川端康成も書いていたし、幼い頃祖母も待宵草を月見草と言っていた記憶がある。花には詳しくないので、それを信じ割と最近になるまで待宵草を月見草だと思っていた。 祖母に手を引かれ、両親の仕事が終わるまで夕暮れの薄暗い土手を歩く。月見草が咲き始めたね、そろそろ蛍が飛ぶよ。と祖母が言った。 その時の空気感、祖母の手の温かさや声のトーン。土手に咲くやわらかな黄色の花たち。今でも鮮明に思い出す。今

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薫風で 袖口ひんやり ほろ酔い帰り

昨日、天気予報は最高気温が25度越えの真夏日だったので、半袖Tシャツで過ごしました。 午前10時に出かけましたが、予報通り暑く、 半袖から出た腕は日が当たりヒリヒリ… 午後に帰宅した時も部屋は暑く、とうとう今年初、エアコンの冷房ボタンを押下。 しっかり部屋で涼みました。 そして夕暮れどき。 馴染みの居酒屋に行きました。 今日はもう断然生ビール! と意気込んで店の暖簾をくぐりました。 が…黒板に書いてある今日の日本酒のメニューにある「澤乃井」をみた瞬間。 ビール決意をあっ

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29

幸せだから夢は叶った

親友の29歳のお誕生日祝いをしてきました。 私とお誕生日が2週間違いなので20歳の時から毎年一緒にお祝いをしているんですね。今年も一緒にお祝いする予定だったけど、急遽親友のお誕生日当日にお祝いできることが決まったのでサプライズで親友の分だけお祝いすることに。 成人式の時に【大人としての覚悟とは】ということを考えたんですね。毎年、このことについて考えていて。 気がついたら【大人としての覚悟】という議題からだいぶかけ離れて【幸せ・夢・諦める】について話し合ってました。 全部

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幸せな日々は、いつか終ると誰もが?言いますけども

今日は幸せな1日である。しかも、ここ数年はそう感じる日が多い。この日々は数年後、いや数10年後の未来の自分にとってどう感じるのか? あの頃は幸せだった…。 あの頃のように今も幸せだ…。 あの頃など記憶にもない…。 あれこれ想像しても無意味だ。 しかし、幸せは永遠には続かないとか、楽しい、幸せ!は若いときだけ的な言葉を耳にする。 確かに、病気や事故など予期せぬ出来事がめじろ押しの未来が待っていることは確かである。   だが結局はその状況に陥らない事には何も分からないし、対

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訪問者 (詩)

優しい、いい人のふりをして 誰かが私の前に現われたって やがて偽りの愛だと分かるのは 時間の問題ね いずれ、去って行くのよね だけど ちゃんと心のドアを叩いてくれたのは あなたが最初で最後 唯一無二の訪問者 そう、ずっとこの日を待ってたの

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92

夜の街

夜の街を歩くのは好きだ。自分がそこに溶け込んでいるかといえばNO。煌びやかなその中には到底いられない。 それでも夏が来る前の少し湿度を帯びてまだどこかひんやりとした空気を含む夜の風に当たりながら、楽しそうな人たちががちゃがちゃと行き交うのを眺めるのが好きだ。 アルコールの旨さを語り合ったり、店の雰囲気の良さを伝え合ったり、出会った恋の話で盛り上がったり。バカなことを言いながらとにかく笑って夜を過ごす。少しだけ夢を見たんだ。 吐く煙にため息が混じる。何もない。 春が来て夏

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4

あちらのお客さまからです

バーで飲んでいると、 注文していないカクテルを バーテンダーが差し出す。 「え、私、注文していな…」 顔を上げて言おうとすると 「あちらのお客さまからです」 とバーテンダーが訳知り顔で微笑む。 あちら、と言われた方向を見ると、 いかにもモテそうな若い男性が片手を挙げて、 人当りのよさそうな笑顔で合図をしている。 私もカクテルグラスを持ち上げ、 お礼を込めた乾杯を気取る。 …なんてドラマみたいなこと、 実際の生活で起こるのかね? と思っていた20代前半。 でも起こったんだよね

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6限目

やれやれ 端から何も解ってない私を残して 随分にみんなクタクタになっているんだね 小学校の高学年から 人間は永きの間6限授業 全部体育か道徳にしてしまえば そんなに茹だらなくて済むのに 朝見たおばさん6限目 昼間の講師さん6限目 気の良い薬局のお婆さんも夕刻は6限目 もうすぐ6月なのに、湿気も伴わずもう街はぐずぐずのゆるゆる 5月病って義務なんだっけ? 一抜けた、おれは #坂口安吾 君と #伊集院静 君と立川文庫読みかガラ集めに逃げるよ 空の雲の隙間を縫って #

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ガールズバー

 電車に揺られながら、瀬尾まいこの夜明けのすべてを読んでいた。私は窮屈な、二人がけの席に腰掛けている。大学三年生の春休み。高校生の時に連絡を取っていた友達に、久しぶりに会う。高校一年の時に遊んだきりもう五、六年は会っていない。  「前川さん綺麗だったね」  「うん、ほんとに綺麗だった」  「...…」 目の前では家族らしい三人組が、和気藹々と談笑している。母親と娘は盛んに結婚式での出来事について話している。父親は目線をぼんやりと持ち上げ、遠方の山の頂点を見るように、車内広告を

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青ブラ文学部 詩「君に届かない」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜 記憶の海の底深く 過去から来た波が静かに寄せて 無数の砂の粒が時間を刻んでいる 遠くに帆を張る船を 夜空に燦ざめく星々が導き 光の航路を描いている 人は皆__ 愛と喜び 悲しみと別れを繰り返し 潮騒のように心に打ち寄せて すべては交差していく ずっと思い出せないでいた 記憶の海の奥底深くへと この手を伸ばしても 未だに君に届かないでいる 〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜 画像:Seo In Guk 山

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52

20本目のYouTube配信は『茜さす空』という短歌をゆるふわ朗読いたしました〜🌆 https://youtube.com/shorts/z7ZK9PTzibM?si=L8ov99JFQB7wCId_

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俳家の酒 其の六「白雪」

 鰯雲ひとに告ぐべきことならず 楸邨  俳句の歴史は、試行錯誤の連続だ。子規の唱えた写生がむしろ足枷となり、哲学が欠落した言葉の羅列が横行。文学者・桑原武夫氏に第二芸術と揶揄されて、反論に窮した終戦直後の記憶もある。  そんな中でも生きながらえたのは、句会を中心とする座の文芸としての性格を有しているからだろう。言わば、文学というよりもゲームのような面白みが、多くの人を引き付ける。だが、それもまた芸術から乖離する要因だ。  川柳は、既に芸術性を捨て去っている。それ故に自由だ。

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アンメット第6話を見て。

より良い世の中になりますように、たくさんの理解が増えますように。 ほとんど私が感じていること伝えたいことでびっくり • 正直どちらの意見も痛いほど辛いほどわかってしまって、しんどくなったこのシーン。 私は障害手帳を持つほどの病状ではないかもしれないけど通院して服薬していてヘルプマークも持っている。 (このドラマで出てくる患者さん達の病気や症状とはまた違うけど) なのに自分のことを言われているようで見ていてすごく辛かった 最近は”ふつう”の生活を送ることができていない。

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飲み放題、食べ放題

「南江、一杯飲みに行くか?」 「いいですね!どこに行きます?」 「この前新しくできた駅前の居酒屋に行こう。飲み放題や」  居酒屋に着き、メニューを見てまずツマミを選ぶ。 「先輩、ツマミはこれぐらいで、あとの酒は、何飲んでも飲み放題ですよね?」 「そうよ、何でも好きな酒頼んだらええわ」 「いくらなんですか?飲み放題で、2時間ですか」 「ん?金?そりゃあわからん。まだ飲み終わってないし、飲んだ分だけを払えばいいだけよ」 「はあ?」 「飲みたい酒をいくら飲んでもいいから飲み放題だ

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