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PILOT NOTE

14
受験記まとめ。全14話
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2016年1月の記事一覧

1.そしてパイロットを志した

2008年、大学2年生の夏休み中の僕は山梨県の富士スバルラインのワインディングロードをバイクで駆け上がっていた。

工学部の2つ上の先輩である東さんの愛車、CB400クラッシクのテールランプを追いかける。

右へ左へと重心を移動させながらコーナーを抜け、エンジンの一番トルクが出る回転域までアクセルを吹かして加速していく。

夏なのに鳥肌が立つ。バイクで山を登る時のこのワクワク感がたまらない。

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2.再現性

​さすがに蝉の声は聞かなくなったとはいえ外は残暑という言葉が相応しい程のほんのり蒸した暑さだ。

僕はクーラーのよく効いた家庭教師先で高校2年生の純也に三角関数を教えながら地球の丸みを想像していた。いわゆるアースカーブだ。

円の直径に線を引くと地球に赤道が引かれたように見える。

本当はsin60°を教えるために描いた絵だけど。

「飛行機は揚力の他に、僅かながら遠心力で飛んでいるだ。第1宇宙速

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3.English=chance. ≠tool.

壁の時計は全てロレックスだ。

金ピカ塗装のイギリスの高級車ベントレーがターミナルの1番目立つ所に鎮座している。確率1/2000のロトの1等商品らしい。こういうのを"show off"というのだろう。

当時は中東バブル真っ只中である。

僕は初めて見るドバイ空港に圧倒されていた。中東に来たのはもちろん初めて。

イメージ通りのターバンを巻いた人達が闊歩している様子がアラビックの国に来たことを

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4.自社養成は日本と香港で

経営学部の食堂は学会後の簡単な食事会を行える程綺麗だ。採光も景色も申し分なく、うちの大学の名スポットの1つでもある。
メニューは工学部より平均して200円くらい高いのだけれど、定食形式で個人的には大好きだ。工学部から遠いのだけが難点。

竹本さんに会うのは初めてだった。東さんの競合他社に自社養成パイロットとして就職が決まった竹本さんは経歴がちょっと変わっていて、アメリカの大学からうちの大学に編

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