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47才のキャンパスライフ 〜慶應一年生ミュージシャンの日々〜17 「魔法にかけられて」

 大学に通い始めましたとお話しすると、よく

 「いいなー! 学食とか懐かしいなあー!」

と言われる。確かに学食というのは何か魔法めいた響きを持っていて
「駅弁」や「立ち食い」もそうだけど、なんらかの特別な環境における食事というのは、我々の心の深くに訴えかけるものがあるようです。

 しかし残念ながら入学以降、学食でまともに食事をしたことがない。というのもお昼時はいつも混んでいるからである。一人席はいっぱいだし、たとえ4人掛けテーブルの1席が空いていたとしても、そこに

 「よっ! ここ空いてる?」

 なんて軽やかに座れるアイデンティティを持っていたら、僕の人生もまた違った趣きを持っていただろうなぁと思う。どうでもいい話だけど。

 では、まったく学食のネタがないかといえばそうではなく、今日は学食の表にある日吉Deliというお店で売っている牛乳のお話です。この牛乳は特にこのお店のオリジナルというわけではなく、広く全国に流通しているものなので、もし気になったら試してみてください。その牛乳というのは

雪印メグミルク北海道牛乳

 で、常温で長期保存が可能な、いわゆるロングライフ牛乳である。常温保存ができるということで、災害に備えた備蓄にも大変適しているということらしい。

 それだけ長持ちするのであれば、お味の方は…あれなんでしょ? とこちらのハードルが下がりまくったところに一口飲んでみると、

 これがなぜか不思議に美味しいのである。

 一口目を飲んだ時にまず感じるのは濃厚なクリーミーさだ。あの、クレミアっていうソフトクリームのクリーミーさに種類としては似ている気がする。最初はバターなど乳製品を加えた加工乳なのかな?と思って確認したんだけど、パッケージにはでかでかと成分無調整の生乳100パーセント使用と書いている。ほー。

 僕が現代の日本の牛乳のデファクトスタンダードと考えている明治の「美味しい牛乳」と比較すると、全体的に甘くはなくて、後味はどちらかというとキリッと止まるタイプである。最初のフックでインパクトを与えたクリーミーさも飲み進めていくうちに慣れてきて、爽やかに飲み進められる。

 全体的に甘くはないと書いたけど、これは特にマイナスというわけでもなく、おなじく日吉Deliの看板商品である揚げパン(プレーンシュガー)などの甘いパンと合わせると、これが実に名コンビになる。甘いパンがボケて、北海道牛乳が突っ込むみたいな、小気味良い漫才のようなリズム感のある食体験をすることができる。

 そんな風に感じているのはもちろん僕だけではなく、この牛乳の意外な(と言っては失礼だけど)美味しさは確かな評価を築いている。僕も最初は勧められて牛乳だけ買ってみたんだけど、売り場の方も牛乳だけという注文が珍しかったのか

 「この牛乳、美味しいですよねー! 私たちもいつも言ってるんですよー。ねえ?」

 とわざわざ厨房で作業中の同僚の方まで巻き込んで、僕のチョイスを賞賛してくれた。調子に乗って先日クラスメイトに勧めてみると、これまた大変好評であった。 

 なんでこんなにクリーミーに感じるんだろう?と乳脂肪分などを調べてみたけど、数値上は特に他の商品と比べて多いというわけでもないようである。不思議だ。それこそ学食という魔法で本当より美味しく感じている可能性もあるけど、それなら余計に本記事の趣旨には合ってるなと思いつつ、安心して今日もnoteを更新したのでありました。


なぜか(っていうのも失礼なんだけど)美味しい


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