DaiTamesue為末大

新しいスポーツをつくる仕事をしています。 人間らしさを探求しています。 https:/…

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新しいスポーツをつくる仕事をしています。 人間らしさを探求しています。 https://www.deportarepartners.tokyo/

最近の記事

トップアスリートが持つ特性の分析

長文ファンの皆様おはようございます。 トップアスリートは努力するだけではなることができません。「勝負強さ」と「ぶれない執着心」が必要です。しかし、これには裏の側面もあります。 勝負の時、アスリートは多くの期待を背負っています。観客がたくさんいる中で、自分のプレーでチームの勝敗が決まる。さらには観客もそれで一喜一憂するわけです。 よくアスリートは優しすぎるとダメだと言われますが、もう少し正確に言えば「共感を遮断できなければならない」だと思います。社会的重圧の正体は他者への

    • 今ここを生きる※『更生保護(令和6年3月号)』に寄稿

      2008年の北京を最後のオリンピックにしようと決めて競技を頑張ってきました。2008年のオリンピックは苦難の一年でした。まず1月頃にアキレス腱を痛めます。だいたいそこに痛みが出ると1ヶ月程度は走ることができません。 ようやく治ってきたと思った3月ぐらいにまた足を痛めます。今度はふくらはぎでした。4月のシーズンを迎えてもなかなか足が治りません。他の選手たちは皆試合に出ていい記録を出しているのに私だけ試合にも出られず、リハビリを続ける毎日でとても焦っていました。 ようやく足が良

      • 薄まらないものを握ることが戦略ではないか

        長文ファンの皆様おはようございます。 戦略を考える時「薄まらないものを握る」のが重要だと考えています。私は個人の人間なので個人でできることで考えてみます。 社会には薄まりやすいものがあります。例えば通貨、情報などでしょうか。物質的なものや情報は、供給可能なので、金や土地などを除いて薄まりやすいのだろうと思います。 何かが広がることは、自然と薄まることだとも考えられます。例えばSNSの参加者が10倍になるなら、自分をフォローしてくれている人数も10倍にならなければ占有率は

        • その手段でストレスを解決できると知ってしまった後に

          長文ファンの皆様おはようございます。 人間は辛い時に「解決する手段があると知っている」と、その選択肢が常に頭の中をよぎるようになります。 人間が何かを選択するのは、良い感情の獲得であり、悪い感情の解消だとも言えます。 人生は解消手段を知る旅でもあります。子供の時はイライラしても、お菓子を食べるとか、人に当たるとか、ゲームや漫画にハマるとか、そんな解消方法しか知りません。選択肢がないわけです。 大人はそうではありません。多様で、大量な感情の解消手段があります。酒、ギャン

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        マガジン

        • 足を速くするマガジン
          1本
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          1本
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        記事

          世界を見てそこに飛び込んだのか、飛び込んだから世界が見えたのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 私は散歩や、ドライブ、昔は全力疾走が好きなのですがふと 「移動しながら見ること、静止して見ることの違いはなんだろうか」と気になったことがあります。 進化の過程を振り返れば、移動する行為と見る行為はかなり密接に繋がっていたと考えられます。さらに突き詰めれば「見て(知覚)移動したのか、移動し見た(知覚)のか」となります。 生物に外界を知覚する器官が生まれ、外界に対して行為が生まれたと一般的には考えられますが、まず移動があり、移動によっ

          世界を見てそこに飛び込んだのか、飛び込んだから世界が見えたのか

          日本パン食い競争協会を設立するつもりです

          銀座木村屋×Deportare Partnersで、スポーツのハードルを下げ、美味しい楽しいパン文化を広めるべく、パン食い競争を始めました。 第一弾は、日本橋で4月6日に行います。遊びに来て下さい。

          日本パン食い競争協会を設立するつもりです

          人を育てるための質問を使いこなす技術

          長文ファンの皆様おはようございます。 質問は人を育てる上で重要なものだと思いますが、これを使いこなすのは難しいとも感じます。 第一に質問に対しての回答を評価してしまいがちです。 質問をしながら、自分の頭の中で正解を思い描いていれば、その質問は「相手に正解を探させる」ものになります。これでは「正解を答えよ」とするテストとあまり変わりません。 質問で他者を育てるには質問への返答に対してオープンにならなければなりません。それは言い換えると、答えではなく「相手が考えたこと」に

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          努力という技術の獲得方法

          長文ファンの皆様おはようございます。 努力の議論は「あるかないか」で乱暴になりがちですが、努力には技術があり、獲得することも可能だと考えています。 努力はある領域においての労力(行動)の投下と考えられます。しかし、同じ労力を投下する場合でも、主観的に喜びを感じる場合があります。それが夢中です。そもそも何かに夢中になれるなら努力論は必要ありません。 努力とは「主観的に不快感情を伴う一定の労力投下」ではないでしょうか。これをいかにして可能にするかが「努力の技術」です。 こ

          努力という技術の獲得方法

          それを禁止する人も、なぜそれを禁止しているのかわからない社会

          長文ファンの皆様おはようございます。 私はいろんな子供に教えることがあるのですが、子供がどう育てられているかがわかるシグナルがあります。 「これをしてもいいですか?」 と許可を求めるのか 「してはいけないことはなんですか?」 と禁止事項を確認するのかの違いです。 あくまで傾向としてですが、日本の子供は前者が多いです。この違いは自由が前提なのか否かだと考えています。 理由の一つに日本の明記されないルールの多さがあると思います。 禁止されていないのだけれど、やるとそれはやっち

          それを禁止する人も、なぜそれを禁止しているのかわからない社会

          身体に浸れる人は幸せになれる

          長文ファンの皆様おはようございます。 最近「身体に浸れる人」は幸せな傾向にあるのではないかと考えています。 花が綺麗だ、これが美味しい、動いて楽しい、触れて心地よい。これらを言葉に変換せず、ただただ浸れる人です。人が幸福を感じているまさにその瞬間、なぜ幸せなのかを雄弁に論じることはあまりありません。要するに幸せは身体的なもので、非言語的なのではないかと思います。 「身体に浸る」は簡単なようでいて難しいです。正確に言えば簡単にできる人は簡単にできるのですが、できない人には

          身体に浸れる人は幸せになれる

          為末が今やっていること

          最近「今何やっているのですか」と聞かれることが増えたので整理しておきます。スポーツを通じて人間らしい社会を作ろうとしています。 1、Deportare Partnersという会社の代表 小さな会社です。スポーツで社会と個人の可能性を開く、をやっています。 代表的なプロジェクト ・クラウドタイマー タイム測定器です。クラウドにタイムが飛びます。 ・ケプラータワー Jakuetsさんと遊具を作りました。 ・ランニングスタジアム ランニング施設の館長をやっていました。次は有明で村

          為末が今やっていること

          「再現性のない若年期での成功体験」がもたらす負の影響

          「再現性のない若年期での成功体験」がもたらす負の影響について今日はお話しします。 成功体験そのものは人に自信をもたらしてくれるので良いものだと思います。ただ、人生の早い時期に、偶然手に入れてしまった成功はその限りではありません。 例えば「20代でなんらかの形で成功した」人がいるとします。最高の気分でしょう。その高揚感の中で「成功は難しくない」という認識が生まれることがあります。 しかし、成功は複雑な要因に支えられています。自分自身の状態、社会の流れ、その時の勢い、それら

          「再現性のない若年期での成功体験」がもたらす負の影響

          なぜ人は動くのか。どうすれば人を動かせるのか。

          私は「なぜ人が動くのか」というメカニズムに興味を持っています。その中で「影響力」は大きな要素だと思います。 人が行動する際、「そうしなければならない」場合と、「そうしたい」場合があると思います。 組織内では前者の力が大きく働くと思います。組織では誰は誰の指示で動かなければならないと明記されています。 ただ組織内の力は組織内で閉じられ役割によって与えられているので、役割を失えばなくなります。 公式に相手を動かせない場合、非公式に動いてもらうわけですが、それには「人間は何

          なぜ人は動くのか。どうすれば人を動かせるのか。

          人生に意味はあるのか

          私たちは「意味」という言葉を使いますが、考えてみると大変興味深いです。 例えば「留学は人生にとって意味がある」と言えるのでしょうか。人生を豊かにするために意味があるのかもしれませんし、成長のために意味があるかもしれませんし、視野を広げるために意味があるのかもしれません。 一方でアスリートの短期的な競技力向上にとっては意味がないかもしれません。 意味は常に「何かに対して」存在します。何かに対して良いインパクトがある時のみ意味があると言います。単体では意味の有無は存在しませ

          人生に意味はあるのか

          人の振る舞いを決めるものは何か

          ラブロックがガイア理論というものを提唱しています。デイジーワールドという幾つかの色のデイジー(ひなぎく)しか存在しない地球環境を仮に作り、そこで太陽光の量を変化させるとそれに合わせて各色のデイジーが増減し、地球環境を恒常的に保とう(気温)とする現象を見つけました。 生物の身体が、刺激に対し、内部が反応することで身体の内部環境を恒常的に保とうとする性質と同じだと考え、地球を一つの生命体のように捉える考え方をガイア理論と呼びました。 この理論の興味深いところは、個々の生物はド

          人の振る舞いを決めるものは何か

          最高だったあの時の自分とどう向き合うべきか

          日経平均が過去最高を更新しそう(した?)という話があちこちで出ています。ようやくという人もいれば、他国ではとっくに何倍にもなっているとかいろんな意見が出ています。 私は陸上競技をやっていましたので、過去の数字と今の自分をずっと比較してきました。100mで0.1秒伸ばすのに11年かかりました。陸上はそういう競技です。 自己ベストは数値の上で自分を超えたと理解できるのでとても嬉しいものです。数字は客観的ですから。 言い換えると人は「客観的な指標」を示されないと、自分が成長し

          最高だったあの時の自分とどう向き合うべきか