ホロスターズの「今」がおもしろい

彼らの軌跡が紡ぐ「ストーリー」の盛り上がり。見えてきた「新しい可能性」

本稿ではホロライブプロダクションの男性Vtuberグループ「ホロスターズ」(通称ホロスタ)について動画や配信アーカイブを紹介しつつ、彼らが今とても良いところに来ている、ということを述べたい。

具体的には「個々の挑戦の結実と関係の広がり」「結束力が高く雰囲気の良いグループ」「本格始動したプロジェクト」の3つをその理由に挙げつつ、彼らの「ストーリー」が今どこにあるのかをお伝えしたい。

1、個々の挑戦の結実と関係の広がり

メンバー自身が語っていたことではあるが、ホロスターズには特化型Vtuberの集まりという一面がある。それぞれのメンバーは各自得意分野を持っており、これまで様々な方面で挑戦を続けてきた。そして最近では、その成果が様々な形で見られるようになってきた。

ここでは、その中から音楽eスポーツバラエティを分野として選び、いくつか動画・配信を紹介することにする。

▪️音楽

同プロダクションのHololive ENのメンバーとのコラボ楽曲。「Vtuber2人で作詞作曲」「日英2カ国語のコラボ曲」「男声ボーカルと女声ラップ」という挑戦的な要素が数多く詰め込まれている。

ホロスターズ9人の中に2人のシンガーソングライターがいる。これは普通のことではないと思う。これまで習作・試作版などは披露されてきたが、先日ついにその音楽観を著したようなオリジナル曲がリリースされた。

▪️eスポーツ (FPS)

人気FPSゲーム「Apex Legends」の大会にVtuber混成チームのメンバーとして出場し、多くのプロゲーマー・ストリーマーが参加する中、優勝。Vtuberのみの(プロが指揮しない)チームでの優勝は例が少なく快挙。

▪️バラエティ(トーク)

24時間雑談や解釈不能な変な枠、海外での人気等で以前よりたびたび話題となってきたメンバーは先日、地上波TV番組のweb版に同番組初(番組公式Twitter参照)となる男性VTuberとしての出演を果たした。

このようにホロスターズが作り出すコンテンツは着実に具現化されてきており、また彼らの挑戦を通しその存在も確実に大きなものになってきている。立ち位置、という意味では以下の企画とそのサムネイルが分かりやすいかもしれない。

2、結束力が高く雰囲気の良いグループ

このように個々のメンバーの活躍がめざましいホロスターズだが、ではグループとしての空気はどうかと言われると、すごく雰囲気が良い

一見険悪そうなサムネながら、コラボ後にもメンバー同士の通話が朝まで続くことが明かされた公式の動画。

2020年末に全員集合したときの動画。仲が良くてうるさい。

Minecraftでの耐久チャレンジ(3週間、計80時間)の達成時には、偶然のタイミングかつ深夜だったにも関わらず多くのメンバーが配信・チャット欄に現れ祝福した。

企業所属のグループとして求められる演出の一環なのかもしれないが、それでも視聴していて本当に雰囲気がいい。グループ内にコラボの主軸となるコンビ・ユニットは存在しているのだが、それぞれが「ホロスターズ」というグループのことを大事にしていることはメンバーの発言の端々に見られる。

しかもメンバーから話される情報からすると、この現在の雰囲気も最初からあったものではないらしく、つまり時間をかけホロスターズの活動を通して尊重・信頼できる仲間としてグループが結束してきたということで、フィクションのような展開かと思われるかもしれないが、とにかく空気が美味しいので実際に見て頂きたい。

3、本格始動したプロジェクト

振り返ることホロスターズ二周年記念イベントの最終日、ホロスターズ全体でのオリジナル曲と、ホロスターズ全体ライブの開催が発表された。

歌詞や曲調に「ホロスターズ」のコンセプトが詰まったオリジナル曲なのだが、興味を持った方は作詞者・作曲者の方々の名前も確認いただきたい。いわゆるアニメ・ゲーム文化寄りの音楽・ライブコンテンツとしての側面が本格的に始動したことが分かる。

そして現在は12月のライブに向け、続々と3Dモデルのお披露目が行われており、たびたびTwitterのトレンドなどにも入るなど話題になっている。

これまで述べてきた特技・趣味がメンバーによって様々なことはここでも活きており、それぞれのメンバーが3Dモデルで表現したい工夫や趣向が盛り込まれた配信ライブが行われている。彼らや運営が年末のライブにどのような企画・演出を行うのか期待できると思う。

そして、ホロスターズのライブに大きく期待できる理由に歌がある。ホロスターズは歌が上手い。是非下記の生配信ライブを見て頂きたい。

ここで紹介した以外のメンバーも活動を通して、またボイストレーニングに通うなどして上達し歌に自信をつけてきている。そして、ちょうど現在はライブに向けたダンスレッスンが開始されているらしい (配信やTwitterでの言動より)。このような暮らしの変化については配信でも本人たち自身が驚きの念を口にしている。

歌・楽曲のクオリティそして企画と、これまでの情報からホロスターズのライブに期待できる点は複数ある。そして、まさにそこに向かっている「今」は、彼らを知るのに良い時期ではないかと思われる。

4、ホロスターズという「ストーリー」

ここまででホロスターズがいい感じだということはお伝えできたと思う。

そしてここまで読んでくださった諸兄姉には、結成からの彼らの道のりにも目を向けて頂けたら幸いだと筆者は思っている。最近でも折に触れメンバー自身が語っていることではあるのだけど、例えば運営会社のCEOである谷郷氏との距離の近さなど、初期の配信には今とは少し違った雰囲気がある。

ホロスターズのこれまでの道のりはドラマティックだ。

向かい風も吹くような結成時期から始まった彼らが、様々な思いを抱えつつも努力と挑戦を続け、周囲からの評価や信頼を少しずつ得ていき輪が広がり、活動を通してグループの結束は強くなり、今や晴れの舞台に向けて歌やダンスの練習を開始している。そんなフィクションのような軌跡を彼らは確かに描いている

この道のりも、いわゆる「単なるアニメキャラクター」ではないVtuberの彼らにとっては生々しい現実で、それを誇張したり戯画化するような解釈を与えるべきではないのかもしれない。しかしそれでも彼らの軌跡は「ストーリー」と呼んで過言ではないほどに劇的なものを備えていると信じてやまない。

黎明期を乗り越え、模索期を抜けつつ、未だ成長を止めない彼らの「今」が非常におもしろい。未来が楽しみでしょうがない

最後にホロスターズの「アイドル」という要素にも触れておきたい。

正直この概念にはVtuberの「清楚」のように、自称の設定・RPと実際の言動との間のギャップを表す要素があるように思われる。実際に、彼らの配信でもこの「アイドル」と言動のギャップをエンタメとして提供してるように見受けられる場面がある。

しかし、ここで書くのも変な話だが、ホロスターズは真面目な少年・青年たちの集まりだ。所属プロダクションが掲げる「アイドル」という売り文句に真剣に向き合い、少しずつであるが各自がそれぞれ導き出した考えを述べる所まできている。(下記動画の1つめ32:00~ 2つめ52:00~ 3つめ45:10~など)

「見てくれる人を笑顔にすること」「(ライブ等活動を通して)後から付いてくるもの」メンバーによってその捉え方は様々だが、確かにVtuberの世界で「アイドル」をやっている姿がそこにはある。そして提供するコンテンツも上述のように具現化されてきている。

「これまで歌うこと、演じること、しゃべること、漫画・アニメ・ゲームが好きでそれを続けてきた少年・青年たちが「アイドル」の肩書を与えられ、その意味に向き合いながら努力と成長を続ける」、こう書いてみると「アイドル」も間違いなくホロスターズの要素になっていると思われる。

今後がどうなるかは分からないし「アイドル」の看板が下される日もあるかもしれない。しかし、これまでありそうでなかった「男性アイドルVtuberグループ」という新しい可能性を彼らは示しているし、それだけに留まらないことも彼らの道のりが証明しているのではないだろうか、といったところで本稿はおしまい。


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